1-70.エンジェル・シンクロ
ズシン ズン ズシン
「うーん。すごいパワーだわね……もしかして」キャシーが、いぶかしむ。
「あぁ。実戦部隊を出して来たな」ハリーは、うなずく。
マイクも、一つうなずく。
「うーん。見に行けないかしら」
「邪魔に成るだろ」
『観戦出来ますよ♪』アンドロイドが、話し掛けて来る。
えっ。と、アンドロイドに注目する。
『そちらに、立体映像を映します』
アンドロイドが、障壁の方を見る。
アンドロイドが見た方向に、武良の背後からの、立体映像が立ち上がる。
◯ ◯ ◯
ドヒュン
瑠璃色の巨体が大気を切り裂き、凄まじい早さで、動く。
余りの早さに、残像でしかとらえられない。
さらに。
ドシュン
瑠璃色の動きの隙間から、凄まじい勢いで発射された弾丸が、凄まじい勢いで武良に襲い掛かる。
ガキン
『邪魔に成らない所に散れ……俺の獲物だ♪取るなよ!!』
見えない速度で飛んで来る弾丸を、無造作に片手で取って捨てながら、武良は衛兵隊全員に命令する。
(((((取れねーよっ!)))))
衛兵隊全員が無言散開しながら、念話統合通信で、叫ぶ。
ギュン
瑠璃色の残像が、急激な方向転換を行う。
ドシュン
やはり、残像の影から弾丸が飛んで来る。
◯ ◯ ◯
「親父……」
東郷が、瑠璃色の高速移動体を認識して、つぶやく。
「里は。実戦部隊を動かしたのね」
光子は、残念そうな口調で、つぶやく。
「そうか。あの瑠璃色の移動体には、東郷君の父上が乗って居るのだね」
開祖シンは、微妙な表情に成る。
「はい。スポンサーの貴族から、里に従軍を求められた際の、実戦部隊です。御覧の通りの機動力と戦力なので、貴族の『隠し球』として従軍します」
開祖シンは、瑠璃色の移動体を『鑑定』しながら、感心した様に何度もうなずく。
「ほほう。強化服に、強化服を重ね合わせたのか。これは上手に『使い慣れた技術』の、重ね合わせをしたね。魔族に対してもそうだが、国同士の紛争でも、武功を挙げたのだろうね」
「はい。もっとも三代ほど前から、ウチとスナイパーの里と近接殺法の里と合同で、作戦を受ける事が増えましてね。それで、それぞれの親貴族同士が、三つの里に共同出資したので、貴族間の連携も増えました」
東郷は、素直に答える。
「ふうん。貴族同士の、利害関係が一致したのだね。しかし、残念だが……」
「……はい。父は、『絶対強者』の意味を、思い知ってしまうでしょう」
東郷は、寂しそうに微笑む。
◯ ◯ ◯
ドシュン
ガキン!
瑠璃色の移動体が通り過ぎるタイミングで、『狙撃』が行われる。
なかなかの『いやらしい』タイミングで撃ち込まれるので、少々うっとおしい。
ふん。3カ所から、打ち込んでくるか。では。
『セルガさん』
『はい』
『後方の3ヶ所の、狙撃手を御願いできますか?』
『うけたまわりました。衛兵隊3名を、使わせて頂きますは』
『どうぞ』
教会神殿の地下に、新たに設けられた司令室の中央で、セルガの額に浮き上がる、タイ・クォーンの金色紋章が、光る。
『タム、カムラン、ヤバの三名は起立』
『『『は!』』』
『以上の同期率高位三名に、エンジェル・シンクロを行います』
『『『は?』』』
『そのまま、待機!』
『『『(うへ;)はっ!!』』』
『エンジェル・シンクロ、発動!!』
タム、カムラン、ヤバのアーマーが、青白く輝き出す。
バサッ!!
三人の背中から『天使の翼』が、一気に現れる。
そして、両手首と両足首にも、小さな翼が生えて居る。
白を基調としたアーマーには、白い翼はよく似合う。
ヘルメットの頭上には、光輪が見られ、まるで天使の輪の様だ。
『さて三名は、その天使の意匠のままに、飛べる。飛んで三カ所の狙撃手を制圧せよ!』セルガさんは、司祭長の威厳で、発令する。
『『『はっ!(マジかよっ;)』』』
バサッ!
天使の翼は、三人の意識にあわせ、広がる。
バサッ!
三人は、左小脇に六尺棒を構え、一気に天高く舞う。
◯ ◯ ◯
「えっ!何よ?あの天使の羽根は?」
キャシーは、飛び上がるバトル・アーマーを見て、叫ぶ。
「東郷の親父も、人外なチートだと思って居たが……上には上が、居るんだねぇ」ラルフは、呆れ顔でつぶやく。
『武良マスターの記録によりますと、タイ・クォーン教会守護天使ワードマン様の祝福の『受け方』を、ワードマン様と検討して居られたら、出て来た発案の一つだそうです』アンドロイドは、丁寧に解説してくれる。
「えっ!ワードマン様も絡んでるの!ズルくない⤴!?」
キャシーは、不満げに唇がとがらせる。
「……現在ワードマン様は、武良様に『使役』される御立場だろう。そりゃぁ、協力するよ」ハリーは、冷静に分析する。
『えぇ。なんでもワードマン様は楽しそうに、ノリノリで御自身からも、多数発案されてたそうですよ』
「……そう言えば天使って、楽しければドコまでも『悪ノリ』するんじゃ無かったか」マイクの表情は、焦りで青い。
「そうか!それなら武良様も、『悪ノリ』では同類よね!
最悪なのは武良様には、デタラメな発案を、具現化させる技術も技能も発想力もあるし!」
兄の発言に、武良×ワードマンの組み合わせで、どれだけの新たなチートが編み出され続けるのかに気が付き、焦る。
御読み頂き、ありがとうございます。
(追加)エンジェル・シンクロの出現が、唐突と感じましたので、最後に文章追加しました。
次回投稿は、6月12日を予定しております。
よろしくお願い致します。




