1-67.仮想魔人
ダメだ!武良様の魔法障壁は、チョー硬い!!
タムは、手詰まり感に陥る。
これまで訓練して来た、魔獣に対する攻撃では、武良様に通用しない。
何か、他の新しい発想や視点が、必要だ
新しい発想や視点と言えば……『執事』に聞いてみよう!
『パル!』
『はい♪タム様』
『どうすれば、武良様の魔法障壁を、打ち破れる!』
『あ〜……それは、無理です』
『なっ!なぜだ!?』
『真の勇者様ですよ。無限の魔力ですよ』
『あ……』
『ただ……』
『ただ?なんだ?何でも良い!ヒントくれ!!』
『現在は、衛兵隊の『魔族対策の可能性』を計る、演習中です』
『!そうか!初回演習のクリアには、衛兵隊だけでも『魔族に対応出来る』と、認められれば良いのか!ありがとう!』
『御役に立てたなら、幸いです♪』
よし
『コレド隊長!!』
『おう!なんだ?タム!』
『隊長の使い魔に、問うてみて下さい!初回演習クリア条件は、衛兵隊単独での『魔族対応』の可能性だと!』
『えっ!?そうなのか?デージー』
おう。隊長の使い魔の名は『デージー』か。
『アィ。初回限定デスけどね』
妙な口調だが、コレド隊長が良しなら、関係ない。
『ならデージー。今回、使えそうな魔族対策は?』
『アィ。魔族には、破魔魔法は如何でしょう?』
『なるほど!使用許可の破魔魔法は?』
『アィ。初心者マークさんは、六尺棒に魔力を通す事を、推奨致します』
『え!?この六尺棒を、魔刀に出来るのか?』
『アゥ。魔刀程は、斬れ味は増しませんが、打撃力が増しまぁす』
『魔族には?』
『アィ。前回の魔獣でも、対応出来ると思いまぁす』
『良し!全員!六尺棒に魔力を通せ!!!』
『『『『『はっ!!』』』』』
全員手持の六尺棒に、集中する。
全員の六尺棒が、青く光出す。
『青色の光!?そうか。『聖魔素』の守護符与だから、『悪魔素』を破魔出来るのか!!』
タムは、衛兵隊だけでも、『魔族を調伏出来る可能性』をつかんだ事を、確信する。
『よし!武良様を打ち破る事が、恩返しだ!いっせいに聖なる力を、武良様にぶつけろ!!』
コレド隊長は、発令する!
『『『『『はっ!』』』』』
衛兵隊八十名の六尺棒は、聖なる青い光に、輝き出す。
その輝きは、衛兵隊全員を包み込む。
「ほほう♪やるな!では、こちらも『次の手』を出そう!」
武良は、ニヤリと微笑みながら、両手を天に差し上げる。
少しぼやけた武良の身体は、グングンと大きくなって行く。
『がっはっはっは!タイ・クォーン衛兵隊だと!?烏合の衆ではないのか!?』
見上げれば、先日の『巨大都市災害級』の大型魔人ではないか!
ほとんど真上に、巨大魔人の足裏が見える。
『おい、テミ!!初回ミッションは、優しいんじゃ、なかったのか!?』
少しビビったオレタムは、自分の使い魔に、わめく。
『大丈夫ですよ。皆様は既に『勇者様レベル』なのですから。みなさんが力を合わせれば、一撃です♪』
テミは、当然の事の様に、述べる。
『……具合的な方法は?』
タムは素直に教えを請う。
『魔法の効能を左右するには、幾つか条件があります。先ずは魔力差デスが、皆様は問題ありません。次に、『具体的なイメージ力』『想像力』です』
いつしかパルの言葉は、全員の使い魔と重なり、全員に伝わる。
『さて、巨大魔人を、御覧下さい。でかいですねぇ』
パルは、感心した、声を出す。
つまり、圧倒的な体格差により、『人族はどうせ、巨大魔人には勝てない』と思い込んでしまうのだ。
実際の格闘技でも当てはまるが、戦う前から気後れしていれば、体格や力などの条件が上だったとしても、『気合い』入った格下に負けてしまう場合がある。
『……理屈は理解したが、具体的には、どうする?』
『御自身が巨大魔人より、巨大な体格に成ったと、想像して下さい♪』
『……そうきたか。思い浮かべれば良いのかな?』
『……タム様、妙に素直ですねぇ』
『パルの助言に、間違いは無い。また私は、このアーマーの初心者だ。習熟するまでは、助言に従うべきだと思う』
『……御役に立てて居るなら、幸いです♪』
『まだか!?打ち合わせは、終わったか!?』
上級に浮かぶ、巨大魔人のどら声が、高い空に響く。
衛兵隊全員は、巨大魔人を見上げる。
にやり
先ほどの様な、畏怖な感じは、消え去った。
『では、お相手をさせてもらおうではないか!皆、巨大化をせよ!!』
コレド隊長の発令が、響き渡る。
衛兵隊全員は、グングンと大きくなって行く。
気が付けば、巨大魔人を、同じ体格の衛兵隊八十名が取り囲んで居た。
『打て!!』コレド隊長が、発令する!
『『『『『応!!!』』』』』
青く輝く、八十本の六尺棒が、巨大魔人に集撃する!!
ドゴンッ!!!
『ぐわぁあああ!!』
巨大魔人は絶叫と共に、青い光に包まれて、消えて行く。
『見事だ』
武良の、ほがらかな褒め言葉が、衛兵隊全員の意識に入って来る。
気が付けば衛兵隊全員が、武良に向かい、同心円に六尺棒を構えていた。
『!整列!!』気が付いたコレド隊長は、発令する。
『良くやった。これで君達だけで、魔族・魔人を、破魔出来る』
武良は全員に、『勇者の御墨付き』を、認定する。
『質問があります!』
タムが、挙手をする。
『なんだ?タム!』
『今の……巨大魔人や、我々の巨大化は、勇者様の『幻覚』で、ありましたか?』
『私が巨大魔人化したまでは、幻覚だ。しかし、諸君の聖魔力が巨大化し、巨大魔人と同等な悪魔素を破魔したのは、事実だ』
『ありがとうございます!!』
『……では、その整列のまま、動くなよ。質問するな……近付く敵に気取られ無い様に、戦闘準備を開始する』
武良は全員の、ヘルメットの戦術管制ディスプレイに、レーダーに映る現在近付きつつある、赤い点の敵の情報を示す。
『いいか。敵に先手を取らせる。この敵は……勇者が相手をしなくては成らない。手をだすなよ!』
『しかしタケヨシ様!衛兵隊のメンツが!』コレド隊長が、抗議する。
『違う。私が直接『返り討ち』にしなければ、終わらない戦いなのだ。だから、手を出すな』
『……失礼いたしました』
コレド隊長は、整列体制からピクリとも動かず、武良に音声のみで謝意を示す。
『では、この布陣に移動せよ』
レーダーの図に、布陣が色分けされ、表示される。
現在の横一列から、横四名縦五名の20名に分かれ、速やかに武良に向かい、並ぶ。
そして『訓練終了後の解散のテイ』で、展開して居た障壁を解除する。
すると、敵方向から見れば、武良までの火線が、わずかに通る。
キュン!!
早速、大型機銃の弾が唸りをあげて、武良に飛んで来る。
ギン
武良は、難なく飛んで来た弾を掴み取る。
ドゴンッ!!!
まるで、対戦車ライフルの様な銃声が、敵方向から時間差で聞こえて来た。
ぽい
武良は、小石の様な弾丸を、無造作に芝生に捨てる。
じゅう
まだ、熱い弾丸は、芝生を焦がす。
御読み頂き、ありがとうございます。
次回投稿は、5月22日を予定して居ります。
うーん。
『産みの苦しみ』を、味わって居ります。
しかし、必ずや、完結まで書きたいと思います。
御感想や御意見をいただけたら、幸いです。
よろしく御願いいたします。




