1-66.『草』
「あれっ?」
爆発音は派手目だったが、タムの感じた爆発の衝撃波は、海水浴場で海に浸かって居る時、岸に寄せる波の様に緩やかだった。
(なるほど、俺は現在勇者様並みに、身体強化されてる訳だ。
これは、イケるかもしれない。後で、武良様に挑んでみるか)
「どうかな?。なかなかに『身体強化』されて居るだろう」
武良は、ニヤリと笑う。
武良は右手の六尺棒を、衛兵隊に向かい、ダラリと自然体に構える。
「無礼講で稽古を始める、遠慮無く、かかっておいで」
しかし、武良には、一分も隙が無い。
(よし!やってやる!!)
「衛兵隊九期、タム・ディード!行きます!!」
「ガスタン・リム!行きます!」
タムとガスタンは、一番手の打撃を、武良に打ち込む。
タムは、左顔面に。
ガスタンは、右すねに。
シュン!
シュン!!
ブン!!
「「うわ!!?」」
なぜか?タムとガスタンの方が、高く飛ばされた!!
タムとガスタン以外の衛兵隊からは、武良は六尺棒を、多分、八の字にゆっくり振っただけの様に見えた。
「真円流、『いなし返し』」武良は、にこりと微笑む。
すたっ
「「おっ、とと!」」
タムとガスタンは、空中で宙返りし、何とか隊列の後方に着地する。
「次は、誰かな?」武良は、ワザとらしく六尺棒を、背後に引く。
「「「えい!」」」
「「「たぁっ!!」」」
弾ける様に、左右から、数人が六尺棒で襲いかかる。
「ハッ!」
ジャララン!
襲う側全員の六尺棒を、巻き込んで、絡め取る。
「「「「「「えええええ!?」」」」」」
シッカリ握り締めているはずなのに、簡単に六尺棒を、取り上げられる。
「行くぞ!」
武良は、自分の六尺棒で、ただ単に横に薙ぐ!
ドガンッ!!
「「「「「「「うわわわわっ!!!」」」」」」
手ブラに成った数人は、中空に舞い上がる。
『コレド隊長!集団戦闘指揮を願います!無作為攻撃は、こちらの隙が出来て、武良勇者様に付け込まれてます!!』
タムは、アーマーにセットされてる念話で、コレド隊長に提案する。
『なるほど!!では、コレドが指揮を取る!一番槍、前へ!!三番槍は、勇者様の背後に回れ!!』
一番慣れた命令に、衛兵隊達は、一番良い反応を始める。
『一番隊!!打てっ!!』
数人の六尺棒は、一気に武良の鳩尾に迫る。
ドスン!
『殺ったか?!』
『ダメだ!魔法障壁?で、防がれてる!!』
武良の鳩尾を見れば、数本の六尺棒の先端は、数センチを残して浮いている。
『うごけ!動け!!止まるな!!二番槍!!!かかれ!!!!』
コレド隊長の発令は、立続けに絶叫で続く。
◯ ◯ ◯
「……なぜ、田畑三郎の名前を、御存じなのです?」
田畑光子は里でも、血筋しか知らない田中 三郎を口にした、目の前の壮年男性を、いぶかしむ目で見る。
「それはな、私と田畑三郎とは、武良の世界で、長年の親友だったからさ」
開祖シンは、ほろ苦く微笑む。
「えっ?そんな。では、開祖シン様は、何歳なのです?」
「忘れたよ。まぁ訳あって、100才は超えたのかな?」
「でも。これまで田畑三郎は、開祖シン様の事を、一度も話した事はありませんよ」
「だろうね……何故かと言えば、彼が私を、裏切ったからだろう」
「え?裏切った?なんで?」
田畑光子は、驚きに、思わず敬語を忘れる。
「なんでかって?それは彼が、敵国の三代目の『草』だったからさ」
田畑光子は、再再度の驚きに、またも仰け反る
『草』とは、諜報部員が敵国に永住し、敵地の住民と同化して、二代、三代に渡り諜報活動をする者たちである。
勿論、田畑光子も『草』の何たるかは、知って居る。
事実『草』としての活動を、示唆された事がある。まぁ、敵国の男性と結婚しなくては成らないので、断ったが。
東郷との事もあるし。
御読み頂き、ありがとうございます。
次回は、5月15日(日)を予定して居ります。
色々と改稿予定です。
しばらく週一ペースで、投稿させて下さいませ。
何とか、完結まで行きたいので、投稿はつづけたいです。
……見棄てないで下さい〜




