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1-62.朝もやの正体は

カムランです。


タケヨシ様から下知された、白い『ばとる・あーまー』を装着して、待機中です。


しかし『けいけんちのこぴー』てのは凄いですね。


今日初めて装着した、白い『ばとるすーつ』を、問題無く使いこなせますからね。


早く鍛錬して、『こぴーされたけいけんち』を、身に付けたいですね。


「集合」


おっと行かねば。


ではまた。

朝もやの中を数人の男女が、タイ・クォーン教会公園の芝生の間の小道を、のんびり歩いて居る。


しかし全員、初日の様なフル装備だ。


「こんな朝早く呼び出すなんて、何なんだよぅ;(ーωー;)」

武良が召喚された当日に、武良を暗殺しに来た刺客達の内の、スナイパーのラルフが、眠そうにボヤく。

その唇は、フル装備の重さに『 3 』に尖る。


「まぁ、ガマンしろ。新型装備を拝めるんだ」

スポッターのハリーは、胸にぶら下げた愛用の双眼鏡を右手でいじりながら、ラルフに見学の有効性を説明する。


「敵対の可能性ある俺達に、公開すると言う事は、それだけ新型装備に自信があるんだろうな」

隠密近接静殺傷方専門のマイクは、冷静な分析を述べる。


「でもさ、最新装備なのでしょ。って事は、光子達の装備と比べると……」

マイクの妹のキャシーも隠密近接静殺傷方の達人だ。光子と東郷に気を使いながら、意見を述べる。


強化服のフェイスカバーを、フルオープンにして歩いて居た東郷と光子は、同時にうなづく。

「まず、全ての基本性能は、強化服(これ)より上だろうな」

東郷は、あっさり認める。

「そうね、まるで歯が立た無いでしょうね」

光子も、ハッキリ肯定する。


「えーと。前は『うちらの強化服最高!』とか、言って無かったかしら?」

キャシーは苦笑しながら、まぜっかえす。


「今まではな。しかし『現実』を認識出来ないと、返り討ちに合うだけだ」

東郷は、サバサバと述べる。

光子も、東郷に同意とばかりに、うんうんと頷く。

「そうよ!だって武良様って、雑談中の片手間で、うちらの強化服のプログラムの不具合を調節されちゃうのよ!!これから拝見出来るのは、そんな武良様が、本気で作られた『戦闘強化服』なのよ♪」

光子の瞳は、怪しく光って居る。


「……ミツコ……何だかワクワクしてない?」

キャシーは呆れて、光子を(うかが)う。


「えへ♪」

光子から、とびきり良い笑顔が返って来る。


「ダメだこりゃ。あんた達完全に、タケヨシ様に心服しちゃったのね」

キャシーは、やれやれ、と首を振る。


「……俺も同感だな。本当に強い相手にゃ、しっかり巻かれないと」

スナイパーのラルフは、サバサバと述べる。


「「「「…………」」」」


現実的な視点や意見を持つ全員、無言に成ってしまう。

ラルフの意見は、全くの同感だからだ。


……問題は、どうやって、それぞれの里に、その『現実』を理解させ、絶対強者(武良様)に従わせるかだ。


伝書鳥(でんしょとり)の返事は?」東郷は、ハリーとマイクに聞く。


「「無い」」

ハリーとマイクは、言葉少なく、ハモりで返答する。


武良様の許可を得て、事の経緯を事細かく、それぞれの里に報告した。


聞けば、タキタル隊長も、もう三度も返答を督促したそうだ。


「マズいなー」マイクは、ポツンとつぶやく。

「そうね」妹のキャシーも、ポツンと返答する。


ハリーもラルフも、東郷も光子も、渋い表情に陥る。


それぞれの里の、この『長い沈黙』は、良くない反応だ。


それぞれの里の『生え抜き』の刺客達が、わざわざ依頼を受けたのに、武良(ターゲット)暗殺(達成)出来きなかった。


それだけでなく、殺そうとした相手の慈悲を受けて、ノコノコ無傷で帰還すると言うのだ。


つまり。武良勇者様やタイ・クォーン教会は、それぞれの里に対して、『殺すまでも無い、弱い刺客だから、返すよ』と、プライドを叩き壊す行為を行い、それぞれの里に喧嘩を売ってしまったのだ。


この、それぞれの里の沈黙は、絶対に、巻き返しの戦いを近々(いど)んで来る。


お人好しさん達(武良様や教会)には、どうすれば良かったのか、わからないわよねー」

キャシーは、さみしそうに微笑む……とても、美しい微笑みだ。


この場合、どう言う行為が正解だったかと言うと。

武良様や教会(お人好し達)は、勝負が付いた時点で刺客達(我々)を全員バッサリ殺し、『居なかった者達』として遺骸はゴミの様に捨てれば良かったのだ。


お人好し(武良様)は、嫌いじゃ無いがな」

キャシーの兄のマイクも、ポツンとつぶやき、ほほ笑む。

とてもダンディーな、微笑みだ。


「……そうなんだよなぁ」東郷も、微笑む。


全員が武良の、のんきな笑顔を思い出し、微笑む。



◯ ◯ ◯



「第二公園は……ここだよな?」

ラルフはキョロキョロと、朝もやの向こうを伺う。


しかし、人の気配がしない。


「えーと、そうね。その(ヤブ)に隠れてたから。第二公園のはずよ」

光子は見渡しながら、反射的に初めて武良を見た光景を思い出す。

武良は、光子が隠れて居た薮前に歩いて来ると、ゆったりと舞い始めた。


(優雅な拳舞だった……)


ただ舞って居る様だが、確実に相手の急所に叩き込む、拳や蹴りや体当たりの一撃を、見て取れる。

理想の武術だは。

光子は、密かに修練しようと、決めて居た。


「で、タケヨシ様は、どこに居るんだ?」ラルフが、案外見通しが悪い、朝もやの先を伺う。


「どれ」

東郷はマスクを下ろし、レーダーを見る。


ピン


音源を一つ打つ。


しかし、反応は無い。


「おやぁ?反応が無いな。誰も居ない様だぞ」

東郷はつぶやく。


「あら。連絡内容を間違えたかしら」


おはよう


「「「「「「うわっ!」」」」」」


方向をつかませない声で、武良の声が、刺客達のすぐ側で聞こえる。


「たっ、武良様!ど、どちらに?(ねぇ!レーダーは?)」

光子は、短距離通信で、東郷にささやく。


(ダメだ。何も反応が無い!武良様を探せない!)

東郷は焦る声で、ささやき返す。


悪いね。性能試験をさせて貰ったよ。スモーク解除。


シュパッ!


急に朝もやが、一瞬で消える。


第二公園の広い芝生の真ん中に、ポツンと武良は立って居た。

夜明け前の薄明るい青空が、高い。


「おはよう」武良は、ニヤリと笑う。


「うわ。朝もやと思って居たのは、タケヨシ様の防衛兵器なのかよ!」

ラルフは、畏怖を感じた表情と成る。


「……で。新装備の衛兵隊は?」マイクは、不機嫌そうに、つぶやく。


「集合」武良は、微笑みのまま、つぶやく。


がさり


急に、少し後ろの薮が動いたかと思うと、白いバトル・アーマーが、出て来て歩き出す。

茫然自失の刺客達の横をすり抜け、武良に向かう。


武良の周りに、白いバトル・アーマーが、静かに音も無く、三三五五に集まって来る。


「……気配が……無い」

隠密近接静殺傷方のプロのマイクが、その事実に、驚愕する。

白いバトル・アーマーの気配を、マイクは(とら)えられなかった。

つまり、白いバトル・アーマーは、自分の背後を簡単に取れる。

そして自分は、肝臓を刺し抜かれて初めて、その事実に気が付き、絶命するのだろう。

マリアも隠密近接静殺傷方のプロだが、兄同様に感じ、顔色も青くなる。


「整列」武良は、再度発令する。


スッ


約80体のバトル・アーマー達は、無音で、一斉に整列する。


確か武良様は、今日から教会衛兵隊に、バトル・アーマーを渡すと言っていたはずだが。


しかし、そのバトル・アーマーの、音の無く油断ない所作は、厳しく鍛え抜かれた少数精鋭の軍隊モノだ。




御読み頂き、ありがとうございます。


次回は、4月24日に更新予定です。

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