1-61ヴァーチャルで
何故、俺は『侍』に成ったのだろうか。
何故、マリアと結婚したのだろう。
闘争にまみれる人生に、安定する生活は、邪魔では無いのか?
死を覚悟する生活なのに、マリアを待たせて居て良いのか?
しかし『侍』に成った事を、後悔して居ない。
マリアを娶った事も、満足して居る。
両立出来るのか?
俺は、矛盾して居ないのか?
『……あっ!ああっ!!』
武良が構築したプライベート・ヴァーチャルの中に、武良の愛妻マリアの、艶のある矯正が響く。
「マリア、愛しているよ」
武良はマリアの耳元で、愛を囁きながら、マリアへの手管を、送り続ける。
『あぁっ、だめっ!えっ!ちがうの!私も、愛してるは!……あっ!!ダメっ!』
……えっと。しばらく戻れない話を、事細かくマリアに説明して居たら、案の定マリアは泣いた。
いつもの調子で、慰めていたら……まぁ、盛り上がって来てね。
実際に『侍』ヴァーチャルの、五感の再現性能は、生身と何ら変わらない所まで来ている。
(ヴァーチャルS◯Xの、実証試験を兼ねて居るのは、マリアには内緒である)
初めてだが、ヴァーチャル感度を最大限に上げて、プライベート・ヴァーチャル内で、マリアを襲って見た。
いつもならヴァーチャル通信は、短い連絡でしか使わないし。
速攻で帰宅するので、大概生身同士の、肉弾戦に成る。
……俺的に、ヴァーチャルS◯Xは、有りだと証言しよう。
……子作りも、理論的には、転送技術を使えば、イケるよね?
まぁ、実行しないけど。
◯ ◯ ◯
『……そう。いつ戻れるか、分からないのね』
武良の腕の中で、くつろぐヴァーチャル・マリアは、寂しそうな表情になる。
「そうなんだ。以前の様には、頻繁に戻れない……月単位に成ってしまうかも……」
武良も、申し訳無い表情に成る。
『……だからヴァーチャルS◯Xを、試したのね』
マリアは苦笑する。
ギクっ!(バレてる)
「まぁ……ね。これなら毎日『話』は出来るよ」
『あら『話』だけで良いの?』
武良は、マリアへ口づけする。
『うん♪んっ!あっ!』マリアはすぐに、反応してしまう。
『うん!もうっ!ズルいは!キスでごまかさないで!』
「ごめんゴメン。兎に角これまで通り、毎日マリアと逢う為に、ヴァーチャルするよ」
『……分かったは。でも、気を付けてね。何より貴方が大事なんだから』
「うん。必ずマリアに『ただいま』を言うよ」
『うん』マリアは、武良を抱きしめる。
マリアの豊かな曲線美な身体は、武良をふんわり包み込む。
「マリア。気持ち良いよ」武良も抱き返す。
やはり愛の維持には、親密なスキンシップは重要だと感じる。
地球全体が一時間以内の通勤圏内と、構築される前の、過去のサラリーマンが、単身赴任していたと言う記録があったが。
どうやって、家庭を維持させていたのだろう?
◯ ◯ ◯
「マリア。もう少ししたら、こちらも安全が確保される。そしたらマリアも、一度おいでよ」
武良は、添い寝しまがら、提案する。
『イイわね。異世界かぁ。どんな感じかしら?』
マリアも、興味深そうに微笑む。
「そうだなぁ。弱肉強食だねぇ。強い者の意見が、通りやすい見たいだね」
『あら。武良の意見が、通りやすいのね』と、クスクス笑う。
「何も、言ってないが……」
『地球でも、武良の意見が、通りやすいじゃない』
まぁね。
『侍』は地球上の世界に、平和布武を行ってきている
武良は、他の『侍』から、一目置かれている。
『異世界探訪、楽しみだは。……おやすみなさい』
激しい運動の後なので、さすがにお互い睡魔がおとずれる。
「うん。おやすみー」
武良は、マリアに優しくキスをする。
プライベート・ヴァーチャル起動のまま、朝までマリアに添い寝する。
◯ ◯ ◯
「うーん」
ここはタイ・クォーン教会で、武良にあてがわれた、迎賓館の貴賓室である。
武良は貴賓室のベッドの上で、ヴァーチャル起動のまま、目覚める。
武良の腕の中で、ヴァーチャルだが、まだ夢の中のマリアの寝顔を、愛でる。
ヴァーチャルだろうが、なんだろうが、マリアは愛おしい。
(あと15分で、起きなきゃなぁ。やれやれ)
でも、マリアの側から、離れたく無い。
(ずっとこの、二人だけの世界で生きられたら……)
ふっ
無理な妄想は、無理矢理払い飛ばす。
そんな「生温い」ことを実行すれば、後悔するのは自分だからだ。
ひりつく殺気の中で、存分に振るう拳と剣。
油断すれば、寝首を掻き切られる生活。
そんな弱肉強食の世界に、身を置く事を選んだのは自分だ。
(しょせんは、戦闘狂なんだろう)
そんな男が、妻を娶ってしまった。
(しかし、マリアと結ばれた事は、後悔して居ない)
武良は『闘争と安定を求めた、矛盾する自分』に苦笑いしながら、気配無く立ち上がる。
『行くの?』
武良が気配を発し無くとも、ヴァーチャルのマリアは目覚めた様だ。
「おはよう。あぁ。今朝はやっとこさ『朝飯前の合同訓練』だよ。開祖にも、御手伝いを願う」
『見てて良い?』
「良いよ」
武良とマリアは、しばし、見つめ合う。
◯ ◯ ◯
「じゃぁ、いってらっしゃい」
武良自宅の夫婦の寝室で、ベッドの上から、マリアはヴァーチャルの武良を、送り出す。
『いってきます』
武良のヴァーチャルは、武良自宅の寝室から、消える。
「ふぅー」
マリアは、ごろりと仰向けになり、ため息を付く。
天上に揺れる、鶴の折り紙のモールを、見詰める。
そうかぁ。日本に行った時、武良と共に買ったっけ。
思えば、不思議な人生だは。
主人の無事を祈りながら、主人が死線をしのいで、武勲を立てる事を願う。
何と言う『矛盾』
……今更悩んでも、仕方が無いか。
……武良の死生観を、ありのままに、受け止めるしか無いのよね。
結婚した時に、覚悟したはずなのに……
「よし!」
ガバッと勢い良く立ち上がる。
(たゆん♪)
マリアのケシカラン身体は、はつらつと揺れる。
……武良が、帰宅ごとに襲い掛かるノモ、致し方無いかと。
私が私なりに出来る事を、頑張らなきゃ!
マリアは、そそるお尻で、ぷりぷりモンローウォークしながら、シャワールームへ向かう。
(たゆん♪)
御読みいただき、ありがとうございます。
うーん。御休みいただきましたが、中々まとまりません。
慌てずに、話を続けて行こうと思います。
次回更新は、4月21日(木)を予定して居ります。
御意見御感想をいただけたら、幸いです。
よろしくお願いいたします。




