1-55.カレーからの、御聖体
うまい、美味い♪
ダメだ。『かれーらいす』を食べる、スプーンが止まらない♪
カムランは一度スプーンを置き、汗だくの顔を拭く。
最近、食堂に来るのが、楽しみで仕方が無い♪
ほら、衛兵隊は基本『肉体労働』だろう。
肉体労働の後は、美味い『肉』を、たらふく喰わないと!ニヤリ
俺達の良き理解者な勇者様が、ステラ伯母ちゃんに指示して、食材や味や量を、改良して下さった。
三度の食事が、楽しみで仕方が無い♪
うし!、午後も頑張るぞ!!
「うまい!」
カムランは汗だくのまま、ガツガツと、むさぼり喰う。
「本当だな。辛いけど、うまいとはな」
タムは水を口に含み、ひりつく舌をおさめると、再度スプーンを取り上げて、赤茶色の料理に挑む。
今日の昼食は、勇者様の世界の料理の『かれーらいす』だ。
ほどよい辛美味さで、食がススム。
「タケヨシ勇者様の世界の食物は、多彩なんだなぁ。一度お邪魔してみたいなぁ」
あらかた食べ終わったカムランは、そんな感想を述べてから、水を一気に飲むと、手ぬぐいで滝汗の顔をゴシゴシ拭う。
「そうか。今度招待しようか?」
「うぇっ?」
カムランは急に降って来た、声の方を見上げる。
声の主を認識して、顔が引きつる。
「勇者様へ!起立!!」
タムは大声で、食堂全員に号令する!!
ガタン!
ガタガタ!ガタン!!
広い食堂に集まる衛兵隊全員が、慌てて起立する!
「あぁ、スマン。そのまま食べすすめてくれ。着席!!」
武良は、全員に発令する。
ガタン
全員素直に着席し、再度、猛然と『かれーらいす』を喰う。
がつがつがつがつがつ。
衛兵隊全員、静かに食べススム。
「カムラン。『カレー』は、どうだ?」
武良は、目の前で汗だくのカムランに、声をかける。
「うまいです!」カムランは、ニヤリと笑う。
「よし。私の訓練に付いて来れたら、私の世界に招待し、多彩な料理を堪能してもらおう」
武良も、ニヤリと返す。
「おごりですか?」カムランは、確認する。
「そうだ。あ、コレは無しだぞ」武良は、右手の小指を、クイッと立てる。
「え〜!肝心な所じゃないですか!!」
「ダメだ……あー、じゃぁ美味い酒と料理を、ここで振舞おう。後でカタログを見せよう」武良は、苦笑して、妥協案を出す。
「えー、はーい」(=3=)カムランの唇は、不満げにとがる。
「皆、食べ終わったら、話を始めよう」武良は宣言する。
「「『美味しい〜♪』」」
セルガ×メルダ×ケルシーの感嘆の声に振り返れば、いつの間にかセルガとメルダは皿を抱え、カレーライスを頬張っている。
電脳AIケルシーは、セルガの味覚に乗っかり、カレーを堪能して居る。
「ステラ伯母さん。私にも一皿おくれ」武良は苦笑いしながら、厨房にのステラ伯母さんに声をかける。
「はいよー♪」
気立てが良さそうなステラ伯母さんは手早く、品出しカウンターに、カレーライスを盛った皿を出してくれる。
武良は皿とスプーンを取り上げ、セルガとメルダの向かいに座る。
「おばちゃん!お代わりあるかい?」
早くも平らげたゴツイ衛兵が、空皿を抱え、伯母さんに差し出す。
「あいよ♪」
皿を受け取り、ライスを詰め込み、カレーをタップリよそう。
「俺も!」
「俺もだ!!」
あっという間に、ゴツイ野郎どもの行列が出来る。
◯ ◯ ◯
「「「「「ぷっ、は〜♪」」」」」
衛兵隊員全員が、満腹に顔がとろけている。
「満腹か?」武良は、ほがらかに笑う。
「……タケヨシ様。満腹すぎて動けません」
真面目なタムも、流石にまぶたが重くなる程に、眠い。
「あぁ。大丈夫。今日集まってもらったのは、コレの適性検査を、行うだけだよ」
武良は、ほがらかな笑顔のまま、ステージの方を促す。
皆、促されるままに、無人のステージを振り返る。
全員が集える食堂の一辺の壁に、部隊長などが立ち、作戦行動を説明する用に、一段高いステージに成っている。
そこに、真っ白い全身装甲のバトル・スーツが、突然現れる。
「「「「「おおぉおぉお!」」」」」
全員の眠気が、吹き飛ぶ。
「……おい。アレ。魔獣八匹をまとめて吹き飛ばした、勇者様の銀色全身甲冑の……色違いじゃね」
「本当だ!俺たちの間を、一瞬で駆け抜けた甲冑だよ!」
「……『勝手に飛び出す甲冑』なんて、俺ら庶民でも使いこなせるのか?」
「それで……適性検査か!」
一斉に、ささやき出す。
「適性無ければ、使えないのかな?」
不安そうなささやきが、誰かから出る。
「いやいや。最終的には全員が使えるようにするよ。適性は十人十色だからね。適正に合わせた訓練を一人一人施すんだ。全員が魔人と戦える様にする」
武良は皆の不安に、キッパリ断言する。
「……おいタム……本当に、強化して下さるんだな……」
まだ汗だくなカムランは、彼なりに、感動して居る様子だ。
「……本当だな……」
タムも、タケヨシ勇者様の『本気』を感じられて、嬉しい。
「では今から、適性検査の準備を始める。セルガさん。御聖体を御願い致します」
武良は、セルガに一礼し、促す。
「御聖体?」
「……教会ミサで、口に入れていただける、アレかい?」
「適性検査に、どんな関係が?」
「はい。では、御願いいたしますは」
セルガは、食堂入口付近に控えていた、神官見習いに声を掛ける。
「ハイ♪」かわいい声で答え、廊下に出る。
「「「「「失礼しまーす♪」」」」」
数十人幼女達は、めいめい何枚かの皿を載せた御盆を両手で持ち、入室して来る。
手分けして、衛兵隊全員の前に皿を置く。
見れば皿には、一枚の御聖体が、のっている。
「では、その御聖体の『効能』を説明しよう」
武良は立ち上がり、歩き出し、バトル・アーマーの隣に立つ。
「君たちはこれから誰よりも『最前線』で、魔獣・魔族・魔人に立ち向かわなければ成らない。誰よりも悪魔素の影響を、直接受け『魔族化』してしまう可能性が高い。そこで対抗措置として、『聖魔素』で組まれた護符を、君達の身体に付与する。その付与する媒体が、この御聖体だ。この御聖体を食せば、君たち一人ひとりが、聖湖に立つ『聖成る御柱』と同じ『聖魔素の結界』と成る」
……ごくり……
誰かの喉が鳴る。
そうか。この白い全身甲冑を受けるという事は、最前線で魔族との戦いを担うと言う事を、衛兵隊全員が、やっと実感できた。
俺に、出来るのかな?
そんな漠然とした不安が、隊員達に、湧いてくる。
「大丈夫だ。コレを装着し使いこなせば、私と同等に戦える。ここにいる全員が、この白い全身甲冑を装着すれば、何百匹の魔獣を倒せる?。魔人は、何十人倒せる?」
武良は、ニヤリと笑う。
思わず全員が、仲間を見渡す。
この全員が、白い甲冑姿に、成れるのか!。
心強い。皆で戦えば、怖く無い。
思わず全員、納得のニヤリが、出る。
「そして、もう一つの効能は、軍事行動などの『多人数の団体行動』で、絶対に発生する昔からの問題を、確実に解決する」
武良は、またしても、断言する。
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次回更新は、3月31日(木)を予定しております。




