1-47.神官見習い生の義姉
ライガは機嫌良く、教会神殿の廊下を歩く。
向かいから、女性警護人のカルナが、さり気なく歩いて来る。
二人が、交錯した瞬間!目にも止まらぬ早業で、御互いの手の中のメモが、交換される
ぐっふっふっふっ♪
ライガは満面の笑みをする、が、挙動不審が、怪しい。
望みのメモが手に入り、ライガの表情は、いっそうニヨニヨし始める。
さて♪今回のカルナ御姉様の御話は、如何かしら♪
「よいしょ!よいしょ!」
迎賓室の大きなテーブルに、次々と製本された書類が、多数運ばれて来る。
運んで来るのは、多数の神官見習い達だ。まだまだ、ほほえましく幼い。
「やぁ、君達も御手伝いかい?……たしか、ライガとサイガ、だね」
タイ・クォーン教会の神官服を着た、ティーンエイジャー双子美少女二人が、見習い幼女達より多くの冊数を抱えて運んで来る。
プリナ・ハム公商市場の炊き出し時に、魔族化しかけたマクソン夫妻に、そろいの六尺棒を構えて対自した、元気な双子姉妹だ。
「「タケヨシ様♪こんにちは!」」
双子らしく、二人は見事にハモりで答える。
うんうん。美少女双子姉妹の元気な笑顔は、イイね♪
武良が名前を覚えていてくれたのが、なお嬉しそうだ。
……茶髪碧眼色白美少女ライガが、その碧眼で武良を凝視し、妙にニヨニヨ笑っているのが、嫌な予感を呼ぶが……
「タケヨシ様。今度私の戦闘魔法を、診て頂けませんか?」
含みある表情で、ライガはソツなく問うて来る。
「良いよ。近日中に衛兵隊の訓練もあるから、神官も合同で訓練しよう。そこで診させてもらうよ」
「「わーい」」双子はハモりで喜ぶ。
あれ?サイガも喜んでいる。君も来るのか。まあいい。理由はどうあれ、研究熱心なのは良いことだ。
「「セルガ義姉様。他に御手伝いは御座いますか」」ライガとサイガは、ハモりで問う。
「ありがとう。書類は、元の書棚戻してもらうから、呼んだら来てね」
セルガは笑顔で答える。ディグリーさんとセルガさんの義姉妹の様に、二人の指導ペアがセルガさんなのかな?。
「「わかりましたーではまたー」」元気にハモる。
ライガとサイガは、幼女の見習い生を引き連れて、迎賓室を退室する。
「へぇ。見習い生も総出で、手伝うのですね」
「はい。時間があれば、教会会計計算も手伝わせます。そうして、神官『見習い生』は、仕事を覚えて行くのです」
セルガさんは、キリッとした表情で答える。
「おおう。子供扱いしないのですね」武良は、感心する。
「神官とは、自ら神に発願して成るモノなのです。ですので、神官見習い生と成った時点で、(幼くとも)一人の成人とみなします。ので、見習い生と言えども、自主的に仕事に付く事を求められます」
「ははぁ。表向きは、幼女でも『一人の成人』として扱う。しかし実態は、見習い生が終了するまで、ペアと成った先輩神官が義姉として、時には母として、修行で疲れたその幼女の精神を慰めると……確かに、義姉妹制度は理にかないますねぇ」
武良は、さらに感心して、何度もうなずく。
武良はそこで、ハタ!と気が付く。
隼。この書類達は、本棚から動かさずとも、読み込めたよな。
はイ。
武良は脳内会話で、無言で、隼と確認する。
これはもウ、正直にお話すべきかト
そだね。ケルシーとファルにも『遠隔捜査』覚えて貰わなくてはいけないし。
「あー、あー……セルガさん、メルダさん」
「「はい」」
「ごめんなさい。実はこの書類達、本棚から動かさなくとも、隼とケルシーとファルには『遠隔捜査』で、読み込めるのです。ど忘れしてました。ごめんなさい」
武良は二人に、しっかり頭を下げる。
「まぁ。そうなのですね……あぁ、御気になさらないで下さいませ。次回からは、あの娘達も楽出来るのですね。へえ……『えーあい』達は、すごいのですね。どこまで便利なのでしょう。気を付けませんと『堕落』して、神に怒られそうですは」セルガは苦笑する。
「確かに。私の世界でも、そうでした。便利過ぎて、当初は自堕落に陥る人間も出ました。が、そこは心掛け次第かと。A.I.と二人三脚で過ごす事で、単純労働から解放され、より想像的な人生を過ごせる可能性を得られます」武良は、にっこり笑う。
「……『えーあい』はもう『笹木武良勇者様の秘宝』として『そう言うモノだ』と、受け入れますは」セルガさんは、苦笑する。
「良い意味で『あきらめ』と『ひらきなおり』は、大事ですね」メルダさんも苦笑する。
「では。今から、ケルシーとファルの便利さを、存分に味わっていただきましょう」武良は、苦笑しながら、宣言する。
御読みいただき、ありがとうございます。
花粉が!つらいす。
次回は、3月13日(日)に、更新予定です。




