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1-43.本当に、欲しいモノ。

薄暗い部屋の中央に、ポツンと豪華な椅子が置いてある。


ジジジジッ


ヴゥン


ジジジジッ


その椅子に座る、画素粒子の乱れた、女性?の立体映像が現れる。


ジジジジッ


セルガの双子の妹、セルナの映像であった。


立体映像のセルナは、顔を上げる。


ほしい。


たけよしさま。


ほしいい


……なにを?


しょみん?……わからない


ほしい


わたしの、ささきたけよしゆうしゃさま


ちょうだい


ほしいの


たけよしさまの 御霊 を!!!


よこせ!!たけよし!


おまえは! わたしのものだ!!


……おねがぁい


ちょうだい……


笹木武良の御霊を!!!


ジジジジッ


ヴォン


セルナの立体映像は、おもむろに消える。


また椅子は、ポツンと薄暗い部屋に、置き去りにされた。


「おい! タイ公都は、しばらく塩漬けたぁ、どう言う了見だ!! 説明しろっ!!!」


茶髪で碧眼イケメンの商人・ジョイス・ターンは、優雅に椅子に座るセルナを、激しくののしる!


「言葉の通りよ。魔王と『誰か』さんが、魔人ガムザンをソソのかしてくれた御陰様で、『真の勇者』様の公都探索行動が早まってしまったの」

魔王では無く、セルナ自身の御霊は、清楚(せいそ)な笑顔で、ジョイスの恫喝(どうかつ)のような猛抗議を、サラリとスルーする。

つまり現在は、セルナの御霊が、自身と魔王の力を支配して居るのだ。

いや、魔王以上に、威風堂々として居る。


「フン! どうせそいつ(笹木武良)の『欲望』を、そそのかせば、コロリと言うなりになるさ。現公爵の様にな!!」ジョイスは、あくまで自説を押す。


「ふぅん。現公爵と公爵亭魔核は、あっさり笹木武良(真の勇者)様に、押さえられたのに?」セルナは、にこりと微笑む。


「ぬぅ……いきなり公爵亭に入るとは、予想だにしなかったからな」ジョイスの声のトーンは弱まり、痛いところを突かれた、苦い表情をする。


公爵亭の魔核は文字通り、公爵領の防衛感知(センサー)・防衛機構をつかさどる。調整すれば『魔族波動』を、探知されてしまう。


「先日、拝謁(はいえつ)させていただいた、『真の勇者』笹木武良様は、(まさ)しく歴戦の『真の勇者』よ。『どこ』で死戦を闘い抜いて来られたかは知れ無いけれど、数多くの称号持ちの現役戦士よ。一見(いっけん)、肩の力が()けてる様でも、背中にも目がある御方よ。油断禁物。うかつに動けば、これまでの仕込みは、根こそぎ退治されてしまう」セルナ、記憶を思い浮かべる表情をし、断言する。


ちっ


ジョイスの、舌打ちが聞こえる。


「らしくねぇな。御前(セルナ)さんこそ現公爵を、とことん(おとし)めたいんだろう? ここで手を引けば……」


ガシッ


いきなり! ジョイスの喉が(つか)まれ、()め上げる。


「ふぐっ! ぐ、ぐがっ!」ジョイスは声が出せず、苦しさに慌てる。


彼の喉を締め上げて居るのは、セルナの華奢で肌白い左手だ。双子のセルガと同じ碧眼が、紅く輝いて居る。


彼女は、つい今まで、そこの椅子に座って居たはずなのに。


「ぐぐぐがっ、がらろろっ!!」


ごきんっ!


どさっ!


ジョイスは、あっさり首を()し折られ、床に仰向(あおむ)けに倒れる。


「たわいない事。笹木武良様は、ベンチですぐ隣に座って居たのに、私の攻撃をアッサリ弾かれましたは」セルナは、倒れたジョイスを、下げずんだ目で見る。


「知らねぇよ! ひでぇなぁ。修復は大変なんだぞ!」ジョイスは、頭部がダランと前に垂れ下がっているままで、のそのそ起き上がる。両手が手探りで、垂れ下がった自分の頭部を探る。


「もう少し、下ですは」セルナは、助け舟を出す。


「おし」ジョイスは、何とか頭部を、両手で保持する。そのまま、元の位置にもどす。


ごきん。


間抜けな音がして、ジョイスの首は、安定する。


(うつわ)の破壊は、かんべんしてくれ」ジョイスは、イケメンな顔を、情け無くゆがませる。


ヴォン


セルナは胸元から、現在眠って居る魔王の右腕を出す。先日、武良の愛刀『銀鈴鬼』で攻撃を弾かれ、粉砕された右腕だ。


みれば、指先ほど青く煌めいて居る。指先は何と、人間の指に復元しようとして居る。


「おい! そりゃぁ……」ジョイスの碧眼は、驚愕に、大きく見開かれる。


「見なさい。魔王なのに、再生がうまく行かないの。これだけ時を経て居るのに、魔族の手に戻らないの。むしろ人族の腕に戻ろうとして居る」

セルナは、ウットリと、魔王の指先を見つめる。


「だから最近魔王は、出て来れないのかい。つまり、笹木武良は悪魔素を、いきなり聖魔素に変えちまうのか! どれだけの魔力持ちなんだよ!!」ジョイスは、わめく。


「無限」


セルナは、当たり前の事を()べる様に、さらりと言う。


「はい!?」


ジョイスは、聞き間違えかと思った。


「無限ですの」


再度、さらりと言う。


「……マジか」さすがのジョイスも、恐怖に顔を歪める。


「わかりましたか? 笹木武良様は、かつてない、ケタ違いの『真の勇者』なの。うかつにに手を出せば、ジョイス・ターンの御霊は『浄化』され、天に召されます。そしてインフィス。あなたは地獄の底に逆戻りだは」セルナの碧眼は、ジョイス(インフィス)の碧眼の奥を(のぞ)く。


「……それは、イヤだな…… ちっ! わかったよ」


ジョイス(インフィス)は、あきらかに気落ちし、魔王より威圧を感じるセルナから、目をそらす。


「だから、いまは、笹木武良様を、じっくり観察するの。おわかり? 静かに、つぶさに、見落とし無く観察するのよ」


セルナは引き込まれる様な美貌に、微笑みを浮かべながら、乱れたジョイスのネクタイを、白磁の様な両手で、ていねいに直してやる。


「わ、わかった」


ジョイス(インフィス)は背筋を伸ばし、セルナの、なすがままとなる。


「少しの、ほころびで良いの。そう、ほんの少し……少しのすき間から入り込み、武良様の御霊を、手に入れて見せる……ふふふふふ♪」


セルナの美しい微笑みは、みるみるトカゲの様な大口に変わり、大きな高笑いに変わってゆく。


ほおっ、ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、ほ♪


その様子は、100パーセント、魔王だ。

御読み頂き、ありがとうございます。


なかなか改稿も、むつかしいですね。話の前後や、つじつま合わせが大変です。


思ったより進みませんでした。


順次、改稿して行きたいと思います。


さて、次回投稿は、3月2日(水)に更新させていただきます。


宜しく御願いいたします。

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