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1-40.転移制限(2)

「『侍』クラウド管制官長官の岡崎です」


「………え?しゃべれ?!何を?」


「あぁ。『空間の歪み』の事をね。致し方無いよね。武良のせいでは無いよ。与えられた条件を詰めて、『歪まない』方策を考えるよ」


「うーん。聖柱のデーターに、ヒントありそうだなぁ」

『『無駄に強い』ってのも、(まま)ならないねぇ』岡崎は、ため息を付く。


『無駄に強いて……(まさ)しく過ぎて、笑えん』武良も、ため息を付く。


確かに。正直、庭の手入れを弾道ミサイルで行え、と言う行為かな? 実際に、『侍』スーツの、スーパーパワー・モードでは、恋人を抱き締められない。そんな事をしたら、一瞬で、上半身ミンチだは……だから人命救助時は、緩衝フィールドを身体に掛けて、他人や物を抱き上げて居る。


『まぁ『侍』スーツ自体が、調整が難しいからなぁ』開祖シンが、苦笑しながら、つぶやく。


『『おいっ! 開発者!!』』武良と岡崎は、開祖シンに突っ込む。


『しょうがないだろう。『ユグドラシル・ネットワーク』からの『オーラ』は、無尽蔵・無制限・無鉄砲なんだから』開祖シンは、まぁまぁと、苦笑する。


『無鉄砲て……はいはい。確かに、しょうがないっすね。あー。何とか更なる制御方法を考えましょう』武良は、諦めて、ボヤく。


『しかし、『竜眼』は良いな。分析精度が上がる。また、各種の『生活魔法』も、良いな♪早速此方で活用出来るか、検討しよう』開祖シンは、にこにこ微笑む。


『そうですね。此方は上下水道が完備されて居ないので、毎日風呂に入り難いです。『清浄』魔法には、毎日助かりますね♪。あ、そうか! 清浄魔法を無尽蔵に使えるから、上下水道とか風呂とか、ライフライン整備に興味無いのか!』武良は、感想を述べる。


『探訪は順調そうだな♪ では、引き続き、異世界探訪を頼むぞ♪』開祖シンは、ニヤリと笑う。


『やれやれ。了解しました。武良ログアウト』




教会の貴賓室の椅子に、姿勢良く座って居た武良は、意識が戻る。


「ワードマンさん。不寝番を、ありがとうございます♪」

武良は、椅子の側で、見張り番をしてくれて居た、タイ・クォーン教会第一守護天使のワードマンに、礼を言う。


「いえいえ。遠慮無く、御使役下さい♪」

ワードマンは、にこにこと言う。


仮装空間ヴァーチャル・リアリティで、異世界に居る同僚と会議ですの? まぁー。個人所有の『すまーとふぉん』の上を、行きますのね」セルガは、感心する。


「そうですね。五感を、|《仮装空間》ヴァーチャル・リアリティに移してしまうので、その間は生身が御留守に成るのが、痛し(かゆ)しですが」武良は、苦笑いする。


「まぁ。例えば、仮装空間ヴァーチャル・リアリティ中に、私が生身の武良様を、くすぐると、どうなりますの?」セルガは、ニコリと悪い笑顔で、興味本位で聞いて来る。


「即時隼に、拘束されます♪ 同時に『死なない程度にくすぐり続けよ』と、命じてありますよ♪」武良は、やってみる?と微笑む。


「わ、わかりました。遠慮します」セルガは、引きつり笑いを返す。


「それで。差し支え無ければ、同僚の方の報告は何だったのです?」ワードマンさんは、聞いて来る。


「はい。私が『無駄に強い』ので、転移しますと、ゲートあちら側の周囲の空間も、歪むのです」武良は、あきらめた様な、乾いた笑顔をする。


「「えっ!?」」


「ので、しばらく転移制限を、開祖シンより言い渡されました。ははは」武良は、力無く、苦笑いに成る。


「どうにも。私が攻撃したり、転移すると、私が内包する強大魔力が、周囲に波動を起こし、空間に歪みを起こしてしまう事態です」武良は、更に乾いた笑顔に成る。


「え!? まさか、武良様の世界にも魔族が?」セルガが、焦る。


「あ、いや、大丈夫です。すぐさま同僚の岡崎が気付き、報告していた聖柱のデーターを元に、彼が歪みを修復しました……歪ませない方策が構築される迄、私の転移制限を行うと、言う訳です」張り付いた笑顔に成る。


「……つくづく感じますが、『侍』組織には、岡崎様と言い、武良様に勝るとも劣らない人材が、豊富ですのね」セルガは、ため息を付く。


「うーん。教育制度の差だと思いますよ。此方では、『侍』が出来るずっと前から、教育制度は体系化されてました。ので、文盲率は、0に近いです」


「……だから、武良様の世界の庶民の教育レベルは、此方の学者レベルなのですね」今度は、セルガが、乾いた笑顔に陥る。


「成る程。此方では教育と言えば、家庭教師が主流ですからな。資産有る、上流階級しか教育が受けられない」ワードマンさんは、(なげ)く。


「はい。日本国の場合では、7歳から15歳まで義務教育でして、7歳ー12歳までは『小学校』と言う学び舎に集まり、男女合同で読み書きの基礎を学び、世の(ことわり)の基礎を学びます。次に13歳ー15歳まで『中学校』と言う学び舎で更に学びます。その後は任意で16歳ー18歳まで『高等学校』。更に任意で『専門分野』に別れ、19歳ー22歳まで学ぶ『大学』と言う学び舎に集います」武良は、ざっくり説明する。


「え!?……えっ? すると……えー !!! 日本国庶民の子供達の全員が、15年間も学ぶのですか!!?」セルガは、驚愕の表情に成る。


「あー。そうでしたね。此方では、子供も立派な労働力ですよね」武良は、哀しげに苦笑する。

「完全に全員進学と言う事では、有りませんがね……失礼ですが、社会に循環する、資本力・経済力の差だと思います。社会に、子供達を学びに集中させる余裕があります。そして、学んだ者は、未来予測の思考力が身に付きます。そうして『より良い物を創ろう』と言う、新人社会人が、社会に巣立ちます」


「……その結果が、マンドゥリン・バーから眺めた景色なのですね……」セルガは、さみしそうに微笑む。


「こちらでも、可能ですよ。庶民の経済力の底上げを行えば、良いのです。これから未来を担う子供達や、成人しても学びたい庶民への、教育制度も提案させていただきます♪」武良はキリッと、提案する。


ピンポーン


「お♪ 隼。出来たかい?」


『お待ち堂様でス♪ 教会聖魔核の増設ヲ、完了致しましタ♪』隼が、報告して来る。


「えっ? もう出来たのですの?!」セルガさんは、また、驚く。


「はい。明日には衛兵さん達の、バトル・スーツのオーディションを行わないと。では、聖魔核の洞(した)に向かいましょう♪」と、武良は、床に転移陣を出す。


「あら。ニーグ様の?」セルガは、一目で気が付く。


「はい♪ パクりました♪」ニヤリと、微笑む。


「やれやれ。武良様は、ニーグ様と同んなじ♪」あきれたように、苦笑いする。


「それは光栄……って、褒め言葉ですよね?」武良は、苦笑して疑う。


「さぁ?♪」セルガは、肩をすくめる。


「まぁ良いか♪ 行きましょう♪」武良は苦笑して、セルガさんに手を差し出す。


「御願いします♪」セルガは御澄まし顔で、武良の手を取る。


二人は、転移陣の中に、消えて行く。


御読み頂き、ありがとうございます。


次回更新投稿は、2月16日(火)を、予定しております。



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