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1-39.転移制限

「へぇ。『悪魔素』から『聖魔素』へ、転換ねぇ」


私は、救護院魔道医師のレイランです。

例え『真の勇者』様からの御言葉でも、『『魔族種子』の発芽状態から、人族へ引き戻した』方策が、信じられません。


目の前のマクソン夫妻『症例』を目撃し無ければ、信じられ無かったでしょう。



「……ううう……」


ロニー・マクソンは、身体中(からだじゅう)の痛みに(うめ)く。呻いた事で、意識が戻る。

最初に彼の視界に入って、認識出来たのは、天井らしき白い色だ。

しかし、身体中(からだじゅう)の有りと有らゆる場所が痛く、(まばた)きし様とするだけで、動く筋肉?が、とにかく痛い。


しかし何で、自分は動け無い状況に? さっきまで、炊き出し配給の列に並んで居ただけなのに……


「気が付いたか?」


自分の右側から、何処かで聞き覚えの有る声がする。思わず、声の方へ顔を向ける。


ズキッ!!!


「ふぐぁっ!」


痛い。頭を、右側に向け様とした筋肉全てが、とにかく痛い。


「あぁ。動か無い方が良いぞ。診断して頂いた方が(おっしゃ)るには、その『痛み』は『激しい筋肉痛』で、2~3日安静にして居たら和らいで来るそうだ。とにかく『痛みの出ない体制』で、安静にしといた方が良いそうだ。で、なまじ治癒魔法で『痛み』を取り、『動けて』仕舞うと、身体中(からだじゅう)の『筋肉組織』の治りが遅くなるそうだ」と、声の主は、ロニーの視界に入ってくれる。


「け(うぐ!)……ケンダン(うぐ!)……殿(うぐ!)」


ロニーは痛みにつっかえつつも、反公爵勢力・公都方面取り纏め役ケンダンを、認識する。


「み……(うぐ!)三日(うぐ!)後の(うぐ!)蜂起が(うぐ!)、『反(うぐ!)公爵狩り』(うぐ!)に、(うぐ!)動きを(うぐ!)捕まれ(うぐ!)て……」


「あぁ、動くな。気にするな。『蜂起』は延期だ。現公爵(クソ野郎)は、光の聖剣の『真の勇者』様が、罷免されたからな♪ 搾取された物質も、順次返してくれるそうだ♪ ……で、此処は教会救護院だ。安心して、養生しな」ケンダンは、苦笑いする。


「あ、あの! (うぐ!)魔人一撃の(うぐ!)勇者様が(うぐ!)!? ……現公爵(クソ野郎)を(うぐ!)!? ……良かった(うぐ!)!!!」


ロニーは、現公爵(クソ野郎)の罷免を聞いて、気が楽に成る。あ!


「ぺ……ペルカ!(うぐ!)」妻の名を呼ぶ。


「あ……あなた(うぐ!)」右側の視界外から、妻ペルカの、弱々しい声が聞こえる。


「ほらほら、二人とも♪ 夫婦で御役御免だ♪ 先ずは、ぐっすり休みな♪」ケンダンは、苦笑しながら、夫婦に声を掛ける。


「はいはい。失礼しますよ。御話が終わった様子なので、御夫妻に『安眠魔法』を掛けますよ♪」

救護院の魔道医師の壮年女性が、夫婦に声を掛ける。

「先ずは眠る事。もう一眠りすれば、痛みも和らぎますよ♪ では『安眠』!」


「あ」

「ふゎ」


マクソン夫妻は、眠りに付く。



◯ ◯ ◯



『タケ。しばらく御前は、転移禁止だ』


『侍』ヴァーチャル・リアリティで、岡崎が渋い声で、宣言する。


『うーわー。マジか』武良は、天を仰ぐ。


『そうだ。此れを見てくれ』


二人の間に、転移ゲートが現れる。


其処に、武良が現れる。


周囲の空間に、わずかに紅い次元の歪みが、現れる。


『タケの、前回の33回目の転移後だな。ふと、転移ゲートの周囲が、何と無く『歪んで見えた』んだ。そこで、御前が異世界で暴れたら、空間が歪むって報告を思い出してな。慌ててゲート周囲を観測したら、歪みを確認した……で、転移ゲートの過去ログを確認したら、見事に、御前さんが転移した時だけ、空間の歪みを確認出来た。で、慌てて『聖柱』のデーターから、『歪み補正パッチ』を合成して、空間の歪みに当てといたぞ。そしたら半日で、歪みは消えたがー』岡崎は渋い声で、眈々と述べる。

『が! 歪みは消えるとは言え、御前さんが転移(ごと)に、歪むのは困る。もし、此方と魔界が繋がったら……御前さんも、困るよな』岡崎は武良に、確認を取る。


『ぬぅ。確認するが、『俺が』転移した時だけ、歪むんだな。他の物資や人員は?』


『御前さん以外、歪ま無い……詰まり、強大過ぎるエネルギーを転移と言うか、振り回す状態で、空間は歪むんだろう』


『うーむー。確か転移の時は、『侍』スーツは、最小限パワーだったよな? 隼』


『はイ』


『御前さんの『内在するパワー』が、問題では無いかな?』岡崎は、判断する。


『……やっぱり、内在パワー(そこ)かぁ』武良は、ボヤく。


『うーん。開祖シン。如何でしょうか?』岡崎は、開祖シンへ降る。


『俺も、『うーん』だな。例えば、ラノベ何かだと、異世界転移すると、常人が『チート』を授かるよな?』開祖シンは、難しい表情をする。


『……転移行為が、力の倍増を?』岡崎の両眉は、上がる。


『俺の仮説の概念では、そう感じる。ましてや武良は、あー。現在まで、何回転移した?』開祖シンは聞いて来る。


『前回で、33回です』岡崎が、報告する。


『多過ぎだ。まぁ、愛妻が居るからな。だから……×33倍か?。いや33乗倍か?』


『『………』』武良と岡崎は、絶句する。


『あくまで、仮説だ。武良は、内在エネルギーの様子は?』


『全くの平常運転です……むしろ、『無限×33倍か33乗倍』=『無限』で、たいして変わり様が無いのでは?』


『成る程、そうか……他の可能性は有るか?』


『これまで『侍スーツの解放』を行なえたのは、開祖シンと、武良だけです。標準の『侍』メンバーを転移させて見ますか?』岡崎は、提案してみる。


『うーむ』。『うーん』。開祖シンと武良は、考え込む。


『何事も初体験な異世界では、海千山千の武良の判断が、重要だ。まぁ、転移の時『だけ』だから、少し様子を見よう』開祖シンは、判断する。


『えー。文字通り『単身赴任』な状況じゃないですか。ブー、ブー』武良は、半ば本気で、不満を述べる。


『取り敢えず、聖柱のデーターを活用した、ザブ・ゲートを作成して、歪みを相殺して見るか。ので、完成まで転移禁止だな』岡崎は、無慈悲に言い渡す。


『やれやれ。分かった。了承した。うがうー。マリアに何と言おう……』武良は、憔悴(しょうすい)の表情に(おちい)る。

御読み頂き、ありがとうございます。


次回は2月14日(日)です。



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