1-37.炊き出し
「パルマ。足元大丈夫かい?」
「えぇ。もう、痛くはないは」
「炊き出しを頂いたら、少し休もう」
「えぇ」パルマは、孤児達を、何と無くながめる
「どうした?。パルマ」
「教会孤児院の前に、いた仕方なく置いて来てしまったけど、あの子は息災かしら?」
「……そうだな」パルマの夫も、つい、子供達を眺めてしまう。
いい、なぁー
すっ、と、夫婦の意識が、遠くなる。
「わーい♪ せるがしゃまだー♪」
「「「「せるがしゃま。こんにちは〜♪」」」」
「はい♪ こんにちは♪ 皆さん、良い御挨拶されましたはね♪ 嬉しいは♪」セルガは、元気に挨拶して来る幼児達に、ほがらかに答える。
うぉう。沢山の幼児達だ。が、何故、配給広場の一角で、集合して居るのだろうか?
「セルガさん。この子達は?」
「はい。教会孤児院の、入所者さん達ですは♪ 順番に配給の御手伝いをしてもらいますの。そうして、教会の役割を覚えて貰いますの♪」
「……こんなに、沢山……」
ざっと目算で、70人ちょいの孤児達かぁ。
「しかし、何で配給の列の近くに?」
「……圧政に子を置いて、離散してしまった家族等が、配給の列に並ぶ可能性が高いですの。そして、自分の子供を見付ける前例が多数……」セルガさんは美しい眉を、哀しげに寄せる。
武良は、思わず天を仰ぐ。
「旦那にも同意して頂けて、嬉しいですぜ」ケンダンが哀しそうに苦笑いする。男衆達は、本来の仕事に向かわせたのでもう居ない。
隣に立つクランクも、哀しげだ。
「参ったね。何処から手を付けたら良いんだ……公都でさえ、この有様だよね。とすれば地方は、自給自足出来る農家以外、飢餓状態だよね」武良も、機嫌が悪くなる。
「そうなんですよ。だから、旦那の提案は有り難いですぜ。夕方迄には、希望の輸送計画を、提出しやす」ケンダンは真剣な表情で、述べる。
「頼むよ。切なすぎる」武良の視線は、優しく孤児達に注がれる。
「こんにちは。のどかわいてないでしゅか? おちゃどうじょ♪」突然、可愛い幼女の声で、視界下から話し掛けて来る。
視線を下に向けると、幼児で持てる小さ目御盆に、四個のコップを載せて居る。
コップ中身ハ、此方の植物を乾燥さセ、煮出した飲料ですネ。無害でス。
武良は、すかさずしゃがみ、幼女の視線に合わせる。
「こんにちは♪ ありがとう♪ 一杯頂いて良いかな♪」武良は、和かに微笑む。
「どうじょー♪」御盆ごと、差し出して来る。
「ありがとう♪」一つコップを、取り上げる。
ふと視界に入った配膳の教会職員達が、幼女の少し後方で、慌てふためいて居る。
あぁ。貴人に飲ませる茶では無いと言う訳ね。
武良は、笑顔で教会職員に(気にしないで)と、手を振る。
取り上げたコップに、口をつけ、飲料を口に含む。
うん。香ばしい香りで、麦茶の様な味だ。飲み頃に冷やされて、とても美味い。
そのまま、ごくごくと飲み干す。ふー。美味かった。
「ごちそうさま♪ 美味しい御茶を、ありがとう♪」武良は心から微笑み、幼女にコップを返し、キチンと礼を言う。
「どういたしましゅてー♪」幼女も、嬉しそうに、にこにこ笑う。
「きぞくしゃまですか?♪ おなかすいてない?」
「おなかすいていたら、れつにならんでくだしゃいませね♪」
「れつに、あんないしましょうか?」
「きょうのすーぷは、にくだんごいりですよ♪」
「こむぎだんごも、はいってましょよ」
「おいしいでしゅよ♪」
かこまれた!!♪
武良は、笑顔で、地面に座り込む。
「ありがとう。でもねー。さっき食事したばかりなんだ♪ 他のお腹空いている人に、スープをあげてもらえるかな♪」武良は、幼児達と同じ目線から、キチンと礼を言う。
「「「「「はーい♪」」」」」
「旦那。似合って居るね♪」ケンダンが、苦笑いして、声を掛けて来る。
クランクも、にこにこ笑って居る。
セルガさんも、満面の笑みだ。
「本当にお似合いですは♪ 子供も、御優しい方は分かりますし♪」
「子供は好きだよ♪ 確かに、懐かれるほうかもね」と、いつの間にか、膝に乗って来た子供を、抱き上げてやる。
きゃー♪ きゃー♪
あっと言う間に、両腕、両足に、幼児が群がる。
武良は、すっかり幼児達に、埋もれる。
別段重くも何とも無く、むしろ一人ひとり順番に高く放り上げて、受け止めてやる♪ それだけなのだが、幼児達は、きゃっきゃと喜んでいる。
「きゃははははー♪」
「もっと、もっと〜♪」
「わたちもー♪」
幼児の山の真ん中から、ポンポン幼児が高く飛ぶ絵面は、案外シュールだ。
「あ、あの、旦那様!」孤児院の引率の先生は、シャレに成らない高さに、うろたえる。
「大丈夫です♪」武良は、うろたえる先生に、笑顔を送る。
あっという間に、70人の幼児を、放り投げ終える。
「きゃははははー♪」
「「「「もっと〜♪」」」」
「よーし♪」武良は、サウザン・ハンズ・テレキネシスで、幼児全員の身体を、数センチ浮かべる。
「よーし♪ 回れー♪」
70名の幼児達全員が、反時計回りに、ゆっくりと巡回を始める。イメージは、メリーゴーランドだ♪
「きゃははははー♪」
「きゃっきゃ♪ きゃっきゃ♪」
「せんせー♪」
「まぁ〜♪ 魔術をこんな風に活用するなんて♪」セルガは、微笑む。
「本当ですね。旦那の発想力には、感心します」ケンダンも、微笑む。
「……乗って見たい……」クランクは思わず、小声で呟く。
いい、なぁー
いいい、なななぁー
突然、配給に並ぶ、みすぼらしい夫婦が、魔族化をはじめた!!
御読み頂き、ありがとうございます♪。
次回は、2月9日(火)に、投稿更新いたします。




