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1-31.公都魔核を

ニーグ様に『坊主』と呼ばれていた頃は、公爵亭の中庭で、兄弟子のタイ・ヴァンセン前公爵様と共に、剣を学びました。


楽しかったです。


勿論、公都に瘴気溜まり等ありませんでした。


何故、こんな事に……


笹木武良『真の勇者』様の、御力と御知恵を御借り出来れば……


必ずや、公都の明るさを、取り戻して見せます!!

「開門!」タキタル隊長の、戦場音楽の中でも通る声が、響く。


「タキタル隊長!お帰りなさい!……こちら様は?」短期間だが、タキタル隊長に心服して要る公爵亭衛兵が、公爵亭正門の確認窓から声を掛けてくる。


「笹木武良『真の勇者』様で、あらせられる」タキタル隊長は、恭しく宣言する。


「げぇ!!あの!おっ、大型魔人を一撃の『光の聖剣』の主様!!しっ、失礼しました!では、くぐり戸口では無く、大門を至急開けます!しょ、少々御待ち下さいませ!!」


ガタン!どたどたどた!!「早くしろ!」ガタン!「失礼無い様にっ!!」ガキン!ギギギギギギ!!「早くしろ!!」「まだかっ!!」


良い天気の青空に(そび)える、やたら巨大で豪華な正門の内側は、大騒ぎさ。


「しかし。無駄に頑強な正門だねー。守るには固いが、打って出るタイミングを逃しそうだ」武良は、苦笑しながら批評する。


「流石、武人の着眼点を御持ちですなぁ。御察しの通り先代様までは、もっと開閉し易い、簡素な正門でした」タキタル隊長は、寂しそうに述べる。


「あら、先代様の頃から、公爵亭に出入りされてましたの?」先代公爵に世話に成っていたセルガさんは、思わず問う。


「先代様は、剣の兄弟子です。共にニーグ様に、剣を学びました。私は、ニーグ様の推挙も有り、探求者の道を進み、先代様とは久しく成って仕舞いましたが・・・あぁ。公爵家は初代様より、ニーグ様と御交流が御座いまして」タキタルは、懐かしそうに微笑む。


「ま、まぁ!」先代様とタキタル隊長との、思わぬ繋がりに、セルガは戸惑う。


ゴゴゴゴゴ


やっと、開門が始まる。



◯ ◯ ◯



「ほーう。攻略し難い築城ですね」武良は、城の構造を一目見て、唸る。


「ありがとうございます。現在は公都外壁が御座いますが、築城以来一度も、侵入を受けて居りません。設計には、ニーグ様も一枚噛まれたそうで♪ ニーグ様は酒盛りに成りますと、聞いても居無いのに、諸々御指導下さいます」タキタル隊長は、にこにこ誇らしげだ。周囲の衛兵達も、『真の勇者』に褒められ、嬉しそうに微笑んで居る。


「ははぁ。ニーグ様にとっても、大事な都市なのですね」武良は、微笑む。


「えー。ニーグ様は、何にも教えて下さいませんよ」セルガさんの頬は、少し膨らむ。


「……ニーグ様に、かの件を、御質問された事は?」タキタル隊長は、苦笑いしながら、セルガさんに問う。


「…………あー。神官長職に夢中で、神殿とか築城の事は、見向きもしてませんでしたはね」セルガさんは、思わず苦笑いする。


「確かに。興味無い相手には、話辛いかもしれませんね」武良も、苦する。


「では、公爵執務室は、こちらです」公爵亭内の、勝手知ったるタキタルは、廊下を迷い無く進む。


「タキタル隊長!」


「おう」


「おかえりなさい!」


「おう」


「おかえりなさい」


「おう」


「城塞砲の整備、終わりました!」


「御苦労!」


タキタル隊長が廊下を進むだけで、衛兵達や公爵亭の職員達は、次々に彼に声を掛けて来る。


「流石ですね。慕われてますね♪」武良は、感じたままを述べる。


「……比較の問題です。現在は公爵の理不尽な命令は全て、私や私の直臣が受け止めます。私や私の直臣は『常識的な命令』に翻訳し、下々に下知します。下から帰って来た『下々の回答』は、直接私や私の直臣が、公爵様に伝えて居るだけです」タキタルは、当然の事の様に、述べる。


「まぁ!公爵の理不尽を、制御出来るなんて!!」セルガさんは、美しい碧眼を、真ん丸くして驚く。


「公爵亭に到着したばかりの時は、驚きましたよ。メイドが、持って来た書籍を一冊間違えただけで、ムチ打ちなんですから。即刻、ムチ打ち人から、ムチを取り上げましたよ。其れから、直臣の何人かを交代で、公爵に張り付かせました。そして、公爵亭の命令系統を、掌握しました。何せこちとら、『王の意向』を預かってますからな」タキタルは、涼しい顔をする。


「……流石は『歴戦の勇士』。素早いですのね」セルガさんは、感心する。


「最も、現在は公爵様は、『真の勇者』様に『働いた無礼』の事で憔悴してしまい、扱い易く成っとります」タキタル隊長は、悪い顔をする。


「良いねぇ。話が早く済む」武良も、ニヤリと笑う。


うわぁ。したたかな歴戦の勇士が二人、公爵に迫ろうとして居るのだは。

そうですよねー。公爵の自業自得ですがー。この二人に睨まれちゃねぇー。ケルシーも、セルガの脳内で、同意する。


武良と隼の様に、セルガとケルシーは、脳内で会話出来る様に成る。

まだ、使いこなせては居ないが、かなり便利にセルガは感じて居る。


そうなのよねぇ。自業自得なのよねー。

セルガは、いささか、公爵が気の毒になって来た。もちろん無言を貫いて居るが。



「こちらです」タキタルは、立派なドアの公爵執務室の前で、立ち止まる。


「セルガさん」武良は、セルガに声を掛ける。


「はい」


「執務室に入りましたら、公都魔核の制御装置を、無言で目視して頂けますか。ケルシーは、目視情報を無言で、隼に伝えておくれ」


「『はい!』」セルガとケルシーの声は、ハモる。


「では、タキタル隊長。御願いします」


「は!」


コンコン


ぱかり


ノックして直ぐに、扉の覗き窓が開き、中に居る者がタキタル隊長を目視確認する。


「タキタル隊長。おかえりなさい。開けます」


「うむ」


かちゃ


扉は廊下側に、大きく開かれる。


タキタル隊長は、当たり前の様に、入室する。


セルガも後に続く。


最後に武良も、入室する。


「誰だ!その黒髪は!!無礼者!!!」公爵が、武良に向かって叫ぶ。


確かに公爵は、朝食会の時より憔悴して居る。何故か両手とも、包帯でぐるぐる巻きに成って居る。両手を使えない様子で、若いメイドにスプーンで、何かを『あーん』されて居た。


「ふむ。以外と元気だね。では、構わ無いか。私は、こう言う者だ」


ヴォン!


武良は目前に、強く青く光り輝く『聖光剣』を、出現させる。大型魔人を一撃した時の様に、中空に浮かべる。


公爵執務室内は、『聖光剣』の輝きに、明るく照らされる。


セルガとタキタル隊長以外、青い優しい輝きに照らされて、驚愕の表情に陥る。


が、タキタル隊長の直臣らしきメンバーは、タキタル隊長の落ち着きを察して、直ぐに立ち直る。


「『真の勇者』様の、『光の聖剣』!!貴方様がっ!! 笹木武良『真の勇者』様ですかっ!!!」公爵は口に差し出されたスプーンを払い飛ばし、慌ててテーブルを回り、武良の足元に土下座する。


武良は『聖光剣』を、消す。危ないからね。


「申し訳ありませぬっ!!」公爵は、武良に土下座したまま、必死で謝罪する。


「おや?集合した方々との朝の鍛錬(殺し合い)の件は、不問にする。と伝えたはずですが?」武良は、にこやかに微笑み掛ける。


「いえ!道義的責任です!!申し訳ありませぬっ!!!」


「承りました。再度申しましょう。今回の件『は』不問にさせて頂きます」武良は、にっこり微笑む。


が、セルガや、タキタル隊長や、その直臣達は、武良が強調した『今回は』の、言葉の裏の意味合いを『察した』


勇者様は、公爵の過去の悪行も、追い詰める気だ。


察した皆が、明確に理解した。しかし異議は無いので、黙認を決める。


「公爵様。本日は、公都防衛の話に参りました。顔を上げて下さい」


「公都防衛?」


「はい。先日の大型魔人の襲来を受けて、私は公都防衛の、不備を感じました。故に、防衛機構の増強を、構築したいと思います」


「おぉ。素晴らしい。是非御願い致したい」


「少し急ぎたいので、公爵様の権限の委任を御願い致したいのですが」


「ありがたい。是非、御願い致します」一連の大騒動に心身ともに満身創痍だったタイ公爵は、(あぁ、これで肩の荷が降ろせる)とばかりに、ろくに考えもせず、武良に委任する。


「ありがとうございます。では、公都魔核!」


『はい』


「只今タイ公爵様寄り、命令権委任を受けた、笹木武良である。君の名は?」


『はい。ペルガンと、申します』


「では、ペルガン。君は、私の命令権を認めるか」


『はい。笹木武良『真の勇者』様に、御使えするのは、光栄です』


「ありがとう。因みに、笹木武良の命令権委任は、今回の魔王退治、及び今回の魔節終了までとする。終了確認後は、速やかに『公爵位に、返還』されるとする」


セルガや、タキタル隊長や、タキタル直臣達は、『公爵位に返還』の言葉に、『ピクリ』と反応する……しかし、皆、黙秘を決める。


『承りました』



◯ ◯ ◯



「え!もう公都魔核を抑えたの!?笹木武良様て、即断即決・迅速果敢なのね!!うーん。参ったなぁー。公爵様は、もう少し、手駒として置きたかったわね」魔王(セルナ)は、渋い表情に成る。


インフィス(ジョイス・ターン)の案に乗って、ガムザンを出したのが間違いよ。笹木様の実力を、広く顕示するだけだったじゃない……もう少し様子を見るべきだったのよ。それに、彼は実力を見せびらかす男では無いの。何もしなければ、もう数週間は、彼は様子を見る為に動かず、公都魔核に辿り着かなかったはずよ……公都魔核を掌握されては、彼の目は誤魔化(ごまか)せない。もう、迂闊(うかつ)には動けないは……公都と公爵は、しばらく塩漬けにして置くべきね)セルナ御霊は、憮然(ぶぜん)と語る。


「むぅー。いきなり大型魔人で脅かせば、尻尾巻いて帰ると思ったんだけどー。コッチが、おどかされちゃったわね」てへ♪魔王(セルナ)は、白々しく(おど)けて誤魔化(ごまか)す。


(おど)けても無駄よ……むしろ、目くらましの陽動で、公都周囲で魔族を動かしましよう)セルナ御霊は、冷静に戦術を述べる。

御読み頂き、ありがとうございます。


次回は、1月26日(火)に、投稿予定です。


宜しく御願い致します。

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