1-30.巻きで!急いで!!
「ひぃいいぃぃぃぃいいぃいぃぃぃ!!」メルダは、叫ぶ。
「ほら、もう付いたぞ」竜神は、呆れた様に、メルダに伝える。
「いいぃ……い?」メルダが、叫び終わる前に、到着した。
「ほれ、こっちだ」竜神は、スタスタ歩き出す。
「はぁ……あ!御待ち下さいましぃー!!」メルダも、慌てて後を追う。
ぎゅ!と、目を瞑ってしまって居たタキタル隊長は、恐る恐る目を開ける。
「え?あの。えーと?」
……何ともない。特に、何も、変わらない。
「タキタル殿。いま祝福を施したのは、魔族と対する時役に立つ守護付与です。今後、対魔族の機会が、増えてしまうでしょうから。武良殿が話して居た護符より、魔族耐久性が有ります。御自身と、部下の方々を、御守り下さい♪」ワードマンさんは、にこにこと微笑みながら、伝える。
「な、成る程。承りました」タキタル隊長の表情は、引き締まる。
「では。早速、実践でお試しくださいませね♪」セルガさんは、悪い笑顔で、タキタル隊長に進言する……まぁね。召喚式の際、タキタル隊長の『数の威嚇』に、して遣られてるからね。
タキタル隊長は、徐に、セルガさんへ深々と一礼する。
「召喚式の際は、誠に申し訳ありませんでした」
武人らしく、真摯に謝罪の態度を、取る。
…………まだ、頭を上げない。
「…………」セルガさんは、仏頂面で、押し黙る。
…………タキタル隊長は、微動だにせず、頭を下げ続ける。
「………も、もう!結構ですは!わかりましたっ!!……もうっ!『歴戦の戦士』は、ためらいなく『現実的な判断』を取るから、苦手ですのっ!!!」セルガさんは渋々、タキタル隊長の謝意を受け容れる。根負けだね。
タキタル隊長は、ゆっくり頭をあげ、セルガさんへ視線を合わせる。
「誠に、ありがとうございます」
セルガさんは、答えない。
「では、歴戦の勇士の、『現実的な御意見』も、参考にさせて頂きましょう」今しばらくは、引っ込みがつかなくなったセルガさんの変わりに、武良は、話を進める。
「差し迫った案件と、揃えるべき条件が出揃いました。かなり急ぐべきだと思います。私は明後日までに、聖魔核を増設・増強を、終わらせます。ニーグ様は、副魔核×副司祭さんの設営と調整は、何時までに仕上がりますか?」武良は、ニヤリと笑い、竜神に堂々と要請する。
竜神は、楽しそうに笑い返す。
「面白い。受けて立とうではないか。では、メルダ。行くぞ」竜神は副司祭メルダさんに声を掛ける。
「は、はいい!?何処へ、ですか!」副司祭メルダさんは、急展開に灰瞳を真ん丸くして驚き、オロオロと少し泣き声だ。
「『聖魔核の洞』だ。副魔核の構成に、ヌシが必要だ。来い」竜神は、当たり前の事の様に言う。
メルダさんはセルガさんに振り向き、見詰める涙目の灰瞳は、もちろん彼女に助けを求めて居る。
セルガは、申し訳無さそうな表情で、ヴォーグ神教の『幸運を』の祈りをする。
メルダは、ガーン!と、『裏切られた』表情をする。
次いで、武良を見る。
武良は、素早く目を逸らし、深々と一礼する。
メルダの表情は、完全に絶望に、堕ちる。
「行くぞ」竜神は、メルダの襟を鷲掴むと、床に転移陣を立ち上げる。
「ひぃいいぃぃぃぃ………」メルダさんのか細い叫びは、転移陣の中に、消える。
セルガと、武良と、タキタルは、思わず同時に瞑目する。
「!そうだ。タキタル隊長。各里の返事は、どうですか?」武良は、思い出す。
「申し訳ありません。再度、督促しましたが……」タキタル隊長は、申し訳無さそうに、答える。
「……分かりました。後回しにしましょう。では、セルガさん」武良は、セルガさんに向く。
「はい」セルガは、素直に武良の言葉を、待つ。
「衛兵隊員の、バトルスーツ適性検査と、運用訓練。公都全域への警備体制と運用等の、打ち合わせを行いましょう。タキタル隊長。知恵を貸して下さい」
「は!」タキタルは、頷く。
「え?彼も!?王都や公爵への漏洩は……」セルガさんは、露骨に嫌悪感を表す。
「敵対して、タキタル隊長への染み付いた嫌悪感は、理解出来ます。が、この急展開に、当世の歴戦の勇士の御意見は重要です。堪えて下さい。現実には、ワードマンさんの祝福で、タキタル殿の動きは追えます……それでも漏洩させる様子なら」武良は、ちらりと、タキタル隊長を見る。
「はい。御随意に。覚悟は出来ております……信用頂くしか、有りません」タキタルは、当然の事の様に、覚悟を述べる。
「……承りましたは……」セルガさんは、渋々、承認する。
「「ありがとうございます」」武良とタキタルは、セルガに一礼する。
「では、次は……タイ公爵様へ、謁見致しましょう♪」武良は、ほがらかに笑う。
「「え!?」」セルガとタキタルの表情は、引き攣る。
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次回は、1月27日(日)に、更新させて頂きます。




