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Bat Apple  作者: みすま
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第9話 畑泥棒への違和感

特に特別なことはなかった。同じベッドで寝た…それ以上でもそれ以下でもなく。

翌朝、起きると遥の姿はなかった。外にいるのだろうか?


顔を洗い、遥を探しに外に出る。

そのついでに、村も散策する。やっぱりどこを行っても、村に入った時と同じ印象しかない。

村人に聞いても、収入が減ってかなり厳しいとそんな事ばかり。ただ、村長と比べてみんな感じのいい人だ。それからいろんな村人から、いろんな話を聞き、遥を見つけ出す。


遥は、畑仕事の休憩の時に使うであろう、ベンチに座っていた。魔法の練習でもしているのだろうか?

遥に声をかけ、近づいてみた。


「おはよう。遥、魔法の練習でもしているのか?…遥?腕すりむいているぞ?」


バレッタの町で買っておいた、絆創膏をこんなにも早く使うとは思わなかった。


「ありがとう、ゆう君。…私、同時に2種類の魔法しか出せないから、3種類の魔法を練習してたの」


魔法を1つしか出せない俺からしたら、もう別次元の課題に挑んでいるんだなと思った。

ちょうどタイミング的に良かったので、遥に【バフ】の魔法を教えてもらえないか打診した。

ちょっと不満そうな顔をしたが、理由を説明したら納得はしてもらった。


最初は何を言っているか分からなかったが、あの手この手を使い【攻撃力強化】【防御力強化】【速度上昇】を使えるようになった。


「あと、ゆう君。常に魔法を発動して、できれば発動速度を上げるために、交互に魔法を切り替えたりとかした方が良いかも」


「…発動速度は分かるような気がするけど、常に魔法を発動は何故?」


「これは感覚だけども、走り込みをすれば、体力…持久力がつくでしょ?魔力もそんな気がするの」


「遥がそう感じるなら、そうなんだろうな。それじゃ【防御力強化】を常にかけておくよ」


「ふふっ…ゆう君は賢いよ。それに同じ考えだと、私も自信がつく」



遥はこの村に向かうときから、【防御力強化】を常に発動させていたらしい。全然気づかなかった。

遥の負担を減らすためにも、早く強くなろうと思った。

常に魔法を発動させながら、遥を探すまで村人に聞いたこと、村の状況を遥に話した。


「…うーん。あまり危機感が無いように聞こえるね。畑荒らしの事、そこまで気にしていないように感じる」


「きついはきついだろうけど、出稼ぎに出た村の冒険者の影響がでかいんじゃないか?」


バンスク村の若者はほとんど、冒険者で生計を立ているらしい。畑仕事より儲かるからか?因みに、この村の村長にも息子がいるらしく、彼もまた冒険者らしい。

しかも村にいるらしく、何故そいつに依頼し、解決しないのか?不思議でしようがなかった。



「……ねぇ、ゆう君?さっきから…」  「見られているな?モテるな遥」


太ももをつねられた。冗談はさておき、近くの家屋の隅から、男がこちらを覗いている。

いつからというと、俺がここに来た時には既にそこにいた。あいつに向けて、魔法をブチかまさなかった、遥の頭を撫でた。彼女は何で撫でられているか分からなかった。



しばらくすると、家屋の方で睨んでいた男がこちらにやってきた。


「………おいっお前。昨日来た冒険者だろう?こんなところで朝からイチャついて…畑泥棒の犯人は解ったのかよ?」


俺に言っている?俺たち、二人の仕事なのに俺だけに言っている?

男の格好を見ると高価そうな時計?、良いところの坊ちゃんなのか?

まぁ村レベルだけども、それでも農業をやってそうな感じは無い。


面倒くさい、無視だ。


「なんとか言えよ。よそ者がウロチョロしていると、目障りなんだよ。さっさと村から出ていけ」


俺の手を握っていた遥。わずかに感じた、魔力の流れだった。

何かをしようとしていたので止めさせた。


「………遥…めっ」


遥は不満そうにこちらを見る。言いたい事は分かるけどさ…。


「こんなところで何をやっている?マーカス」


「ちっ……」


声を聞くと、男はすぐさまその場を去った。代わりにやってきたのが、声の主の正体である村長だった。


「皆さんここにいらしたんですね。」


「あの…さっきの…マーカスさん?」


「ああ息子です。あいつ畑仕事しないでふらふらと、前はちゃんと手伝っていたのですが。何かありましたか?」


「…いえいえ別に」


お宅の息子さんにめっちゃ睨まれました。ストーカみたいに陰湿でした。何て言わなかった。どうせこんな村、仕事でもない限り寄らないけど、人間関係を悪化させるような事はしたくなかった。

他愛ない話をして、村長を追い返した。少し考えたかったからだ。


「……ゆう君、何か引っかかっているんでしょ?」


「まあ…ねぇ。でも証拠が無いしな~。どうしたものかな~って」


遥はそれでも話してっと言ってきた。一人で考え込まないで、話してと…。



俺はマーカスが畑泥棒ではないのか?という可能性の話をした。


【マーカス】 冒険者 ランク不明 畑仕事経験あり 高価そうな時計(稼いでる?)


【荒らされた畑】 大きな蹄(蹄が大きいなら、体もそれなりに大きい、畑の跡に違和感がある)荒らされたと言うより収穫(素人目で感じた) 収穫時期に被害(村の内情や作物の状況を知っている?)


「マーカスが違うにしても、人間…村の関係者が犯人だと思った。村に冒険者がいるのに、ギルドにわざわざ、金を叩いて依頼する。お世辞にも裕福とは言えないのに。彼の事情はどうあれ、畑泥棒を探している俺達が気に入らない(遥が原因かもしれないが)」


「ゆう君だったらどうするの?畑泥棒を捕まえるには」


「犯行現場を押さえる、盗んだ作物の行方、おそらく食べないで売ったのであろう。この村で一番近いバレッタの町…あたりに」


「手っ取り早く、両方確認しない?二人いるんだし手分けしてさ。

私が犯行現場を押さえる、ゆう君がバレッタの町に確認しに行く。

あと…ゆう君、ゆう君の後ろの方でまたこっちを見ているよ」


俺の背後でマーカスがこっちを見ているらしい。

遥は、続けて作戦を説明する。納得は出来なかった。


この作戦じゃ、遥が一番危ない目に遭ってしまうからだ。

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