第19話 敵か?味方か?
ゆう君は、大丈夫かな?腕の怪我が治らなかったら、私が毎日ご飯を食べさせてあげなくちゃ。
ゆう君は、何が好物なのかな?煮物とか和食系が好きかも、まあ私が得意て言うのもあるのだけども。
まずこの世界の食材と調味料が必須ね。あとでミラールに聞いてみよう。病院にお見舞いに行って、あっ…バイトが有るんだった。んっ?そういえばゆう君のバイトの事、何も聞いていなかった。
おじいちゃんのところに行って【刻印魔法】の続きを教えてもらって、食材と調理器具…あベッドもだ。やりたいこと、やらなきゃけない事いっぱいあるな、でも何故か楽しい、ゆう君と居るからかな?
よしっ戦いに集中!!
遥と対峙していたランドは、息を切らし膝に手をついていた。
仮面をつけた人は。
『ハルカ、集中していない?顔が上の空っと思ったら、今度は楽しそうな顔…何考えているの?
ランドに、めちゃくちゃ攻撃されているのに、何で躱せているの?』
ランドの不意打ち攻撃が開始の合図になった。拳入れても蹴りを入れても、遥に当たらない。
ランドはナイフを取り出した。丸腰相手にギャラリーからブーイング。
お構いなしに、ナイフ攻撃を繰り出すが、遥はデコピンでナイフを弾き飛ばす。
間髪を入れずの攻撃で、息を切らすランドであった。
「あの~そろそろ攻撃しても良いんですよ?武器でも魔法でも大丈夫なんで」
「チックショー!!それじゃお望み通りにやってやる…【無数の氷の槍】」
仮面の人もギルド長も不味いと思い、止めに入るが時すでに遅し、無数の氷の槍は遥を襲う。
シュシュシュシュ…バギバギ…ガギンガギン 異様な音が止むと、平然と遥は立っていた。
「うっ噓だ…俺の最強の…とっておきの…上級魔法…」
「あの…今の何ですか?【無数の氷の槍】って…俺の最強って…ふふっ」
上級魔法【無数の氷の槍】…数えきれない程の無数の氷の槍が、発動者から対象相手に降り注ぐ、防ぐには全方位バリア、たった一つでも当たれば、体に穴が開くほどの威力の魔法だ。
仮面をつけた人が教えてくれた。なるほどあれが魔法か…なんか違う気がする?なんだろう、またゆう君と話す話題ができた。
「【無数の氷の槍】って魔法なんですか?無数って意味を解って使っています?数え切れないほどって事ですけど、114個の氷の槍がありましたけど、これも無数のうちなんですかね?」
完全に意気消沈したランド。
「まさか…一方的に攻撃して降参なんかしないですよね?」
何かめちゃくちゃ怯えている、私はただ自分の体中に【魔力の膜】を張っただけなのに…。
【無数の氷の槍】か…魔力の筒を作り先端を尖らせ、水を流しー30℃ぐらいまで冷やす。とりあえず同じ114個。おっさんの周りに魔力の層と魔力の糸を垂らし筒を固定。もちろん、おっさんに向けて固定っと。あとは、吹き矢みたいに発射…これで準備OK。
遥はこの一連の流れを3秒も満たない時間で、発動させた。傍から見たら、何の苦労もなしにただ一つの魔法を発動させたように見えるだろう。
「まっ待て。何だこの細い針は…まさか」
「氷の針です。あなたの魔法より、小さく作りました。死なれたら、ゆう君に怒られるんで」
そう言い放つと、114個のうちの一つを放った。ランドの肩に目がけて飛ばした。
軽く刺さると思った。けど、なぜか貫通した。『ぎゃゃゃー』っと、ランドは悲鳴を上げる。
周りもランドの、肩の傷と悲鳴で何か攻撃をしたんだ。その程度の認識でしかなかった。
「あれ?何故だ…おっさんと同じぐらいの速度だったのに、どうして貫通するの?細すぎたのかな?すいません、今度は太もも狙うんで、うまいことガードしてください」
ピュンッ… サク… 『ぎゃゃゃー』。また貫通した。おっさんは何で【魔力の膜】を張らないの?
「はぁ…はぁ。たっ頼む、もう勘弁してくれ。魔石はお前たちにやる」
遥はイラッとした。せっかく作って出した魔法なのに…終わり?
こいつは、ご飯作ってもらったのに、残すタイプなのか?許せん、全部いっぺんに食らわせようか。
こいつの口めがけて、堪能させてやろうか?
魔石はお前たちにやる?しれっと何言っているの?もともとお前のじゃねーよ。
そして、遥たちの戦いに割って入った。仮面をつけた人。
「ハルカさん、ストップー!!もう大丈夫よ、あとはこっちでやるから」
「えぇー。まだ魔法だって残っているのに、それにゆう君と一緒に立てた作戦が~」
「いやいや、もうどっちみち無理だって。魔法も引っ込める、殴りかかろうとしない」
仮面をつけた人が遥をなだめる。魔法を引っ込めたことを確認すると、ギルド長に確認をするように話を始める。
「ギルド長、これはどういった結果になりますか?」
「魔石はこの子たちの物になるだろうな」
「そういう話ではないと思いますよ。この戦いは、彼女たちがフォースベアを倒せる能力が有るかを見る戦いです。魔石争奪戦じゃありません。けれども、ここで一つの可能性が生まれます。
ランドさんが倒した、フォースベアの魔石を奪って。彼女たちはそのままギルドに向かった」
遥は不服な顔で発言をしようと前に出るが、仮面をつけた人に止められる。
「確かにその可能性もある。どうなんだ?ランド。奪われたのか?」
「…すっすいませんでした。実は俺が倒した後、魔石を奪われてしまったんです」
「奪われた?どういう状況で奪われたんですか?不意を突かれた?抵抗はしなかったんですか?」
「…抵抗はしたんですが、二人とあってか歯が立ちませんでした。情けない話ですFランク相手に」
「ギルド長はいつ、この犯人が『イカロスの翼』の犯行だと分かったんですか?」
「いや、ギルドにこの子たちが入ってきて…ランドが騒いで知ったんだが?」
周りの空気もランドに同情する感じになってきた。
『お前ら最悪だな』『人の手柄を横取りか…クソ野郎だな』様々な暴言が聞こえてくる。
遥は恐ろしく大人しかった。まるで…。そして、周りの空気もあってか、ギルド長が一言。
「今回は、見逃してやる。だが2度とギルドの依頼は受けさせない」
「皆さんー!!これで今回はお開きで良いですかー--!!」
仮面をつけた人は、この場を締めくくろうとしたが、周りからはやはりギルド長の判断が甘いとヤジが飛び出る。
仮面をつけた人は、一人一人に聞いて回る、まるでインタビューをしているみたいに。
「服を脱がせて縛り上げろ」 「髪を丸刈りにしろ」 とても女性に向けてはいけないような発言が飛び交った。
そして、仮面をつけた人は…静かに笑う。




