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Bat Apple  作者: みすま
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第13話 完璧な人助け

『ちょっと、待ってくれ!』そんな声も聞こえたが、無視して村を出た。

遥は俺の様子がおかしい事に気づいていた。


「ゆう君、何か途中から怒っていなかった?どうしたの?」


「うーん。確かに遥は、マーカスを唆した。俺から見てもそう思う。でも…それでも、村長の『その女が唆した』って言葉がイラっときた」


でもそれを聞いたから、躊躇なく行動できた。マーカスや村長がこの後、どうなるのかなんて知った事ではない。


「長年、暮らしてきた息子の犯行も見抜けない村長が、俺の『大事な人』を語ってんじゃねえよ。って思っちゃったんだよな~」


「ゆう君、もうそれ告白だよ?兄弟設定のつもりだったけど、夫婦になっちゃう?」


遥に言われて気づいた。日本語って難しい。照れている俺に対し、それを冷やかす遥。


「あっ…それと遥、バレッタの町に戻ったら、バイト探すわ。Fランクの依頼が少ないから、他で働かないと生活ができない」


「そっか。それじゃ私も探す。夫婦共働きだね?」


一生言われるなこれ。でも冗談抜きで、Fランクの依頼が少ない。

Fランクの依頼を3回達成で、Eランクになる。けれども、Eランク自体も依頼が少なかった。

昨日、フィルさんを待っている間、張り出されていた依頼書を見ていたから知っていた。

そしてお馴染みの、遥は両手を広げ待ち構えている。

気は進まなかったのだが、遥は早く町に帰りたいのだろう。


ゴォォォォォォォォォー---!!風を切る音。そしてバレッタの町に到着。


少し休んでから、町に入ると、遥とは【古本屋】の近くで別れた。

俺はそのまま、一人でギルドに向かった。



【ギルド】 全然、慣れないこの臭い。早く出たくて、早々に依頼の報告に向かった。

受付にはフィルさんじゃない、女性の人が立っていた。

受付のお姉さんに、依頼の事情を説明し、しばらく待たされた。そして部屋の奥から、フィルさんが出てきた。


「ユウ君、やっぱりこうなったのね。証拠は出揃っているから、違約金と彼の冒険者資格はく奪って事になるわね。何より依頼書の裏に書かせた、文章とサインが決定的ね。なんて書かせたの?」


「村長に普通に書いてもらいましたけど?理由も聞かず淡々と」


よかった、言い逃れしそうな連中だったから、念のために書かせたのが正解みたいだ。


「あとは報酬を貰えれば、どうなったって良いですよ。あんな村。

そんな事より何か仕事ないですか?冒険者以外でもいいので。」


「冒険者以外の仕事だったら、そこのテーブルに求人情報があるわ。あと明日、掲載予定だけども、Fランクの依頼2件あるけど…どうする?」


その行為はやってはいけない事なのだろう、だがフィルさんのご厚意を無下には出来ない。

Fランクの依頼を2件予約し、適当なバイトを選び、面接しに行った。


バイトの内容は荷物の配達、給料は配達件数…要は歩合制である。やった事は無いけど、向いている気がした。

面接は簡単な質疑応答があったけど、受かった。面接の意味があったのか?って思った。


さて、宿も探さないといけないし、遥を迎えに行くか。


遥と別れた古本屋に向かう途中、1人の女性が2人のガラの悪い男に絡まれていた。

女性の方は雰囲気が似ていたから、最初は遥だと思った。でも近づくにつれ、全然違った。


そもそもあいつは絡まれたら、すぐ手が出るタイプだ。

こんな大通りで堂々と、女性が絡まれているのに誰も助けない、見て見ぬふりだった。すごい町だぜ。


自分でも分からなかった。何故助けようと…違うな。でも、女性に声をかけていた。知人のふりをして。


「おーい。早くしないと仕事に送れるぞ」   「えっ?…あっすいません、私…そろそろ」


よかった、こっちの意図に気づいてくれた。だが、男たちはそれを許さなかった。

場を離れようとした女性の腕をつかみ、逃がさないようにした。全く面倒くさい奴らだ。


「すいませーん。仕事があるんで彼女を、離してあげてくれませんか?」


「なんだぁてめぇ。てめぇも、俺たちを嗅ぎまわっているヤローか?」


俺はガラの悪い男から、胸ぐらを掴まれ、顔面を殴られた。ガン!!と衝撃音が…。

そう、最初に手を出した方が悪い、ここで俺が痛がれば必然と相手が悪くなる。

殴られた顔は大丈夫かって?大丈夫なんですよ、ハルカ大先生の教えの通りに常に【防御力強化】をかけているからね。

だからこっちは全然大丈夫…はっ!!。相手の拳が…まずいこっちが加害者になる!!


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」   少し遅れて俺も「うぁぁぁぁ…。」


俺はついでに後ろに飛んだ。そうしたらこっちが完全に被害者だ。完璧…完璧だよな?


女性も心配そうにこちらに駆け寄ってきた。だが周りの声は…。


「なんだなんだ?殴ったはずの奴が悲鳴を上げているぞ」 「うわっ手が腫れ上がっている」


「ちょっと誰か医者を呼んだ方が良いんじゃない」  「ひでぇ…」


あれっ?俺、殴られたんだけど?吹っ飛ばされたんだけど?何故?被害者ですよ~?

腹を抑えて、ちゃんと悲鳴?を上げていた。女性もあっちを見ながら俺に声をかける。


「あの…助けてくれてありがとございます。その…顔殴られてましたよね?何故、お腹を抑えているんですか?」


やべぇ…動揺して、間違った。指摘されたのですぐに頬を抑えた。

どうしよう?これでケロッとしてたら、殴られた俺が加害者になる。

もう一人の男が、こちらにやってきた。

地面に横たわっている俺を、胸ぐらを掴んで立たせる。


「てめぇぇぇ!!よくもやりやがったなー!!」  


「お願いします…止めてください…これ以上は…」


俺の命乞いは空しく、男は俺の顔面に…さっきの男より強く殴ってきた。ガァン!!

全然痛くないよ~でも一応、後ろに吹っ飛ぶよ。


「あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!」  面倒くさくなった俺「うわ~~~」


もうやだ~学習しろよ~。どうすんだよこれ?また女性は駆けつけてくれて。


「あの…たぶん普通にお兄さんが殴った方が…あと誰も、こっち見ていないですよ」


言うな。分かっているし、引っ込みがつかない。この世界に警察みたいな組織は無いのか?


「おうっおめえたち…何だ?誰にやられた」


絶対に警察じゃね~!!あいつらの仲間だ。痛がっているふりをしながら、チラッと声のする方へ向いた。


2メートルはありそうな大男、手には斧…あれは木を切るサイズじゃないですね?

打撃はともかく、斬撃に有効なのか?【防御力強化】は?

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