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ザーレの剣閃が二人目の赤い人型を四つに割った。
半身が吹き飛び、頭部も真っ二つだ。そのまま木の幹にぶつかって潰れた。ザーレは剣を上方に振り切っていた。
鬱蒼とした森の四方から恐怖と憎悪の念が飛ぶ。本能的な反応なのだろうが、ザーレにとってはもはや的と宣言しているに等しい。その内の最も近い者に顔を向ける。
入り組んだ木の向こうに赤い人型が映る。2メートル半程の高さに、赤黒い布を纏った姿に見える。頭部も同色の頭巾で覆っているようだ。いや、頭巾ではない。まったく同じ組織のヒダだ。
「『血肉套』。見るのは久しぶりだ」
その血肉套の個体が逃げ出した。細く変形し、木々の間を抜けていこうとする。ザーレは駆けながら器用に潜り抜けると剣を振った。銀光が閃き、また赤い肉片が弾ける。丁度逃げ出した方向に散った。
……虐殺者め……
横を見ると三体の血肉套が姿を顕し、向き直っていた。
その内の一体の頭部に眼のような器官が生じた。
致死性の呪詛が放たれた。
ザーレに直撃した。
そのまま木の葉を踏み潰しながら歩いてきたザーレに頭部を貫かれた。霊体の核を破壊され、血肉套が崩壊する。溶けるように森に沈んでいった。
……ヒトよ、呪われよ……
……我らが何をした……ヒトの災いよ……
残る二体にはもはや抵抗の意志も無いように見えた。ぐねぐねと身をよじらせているのは絶望しているのだろうか。
突然、二体の身体が左右に裂けた。内部から赤い触腕が十本以上露出した。
露出した瞬間に一体の身体はバラバラに散った。触腕もコマ切れにされている。ザーレは二体目も斃すべく剣を肩上に構えて襲い掛かる。
やはり苦し紛れの抵抗だったのか、剣士には緩慢なスピードで触腕が伸びかけ、本体を輪切りにされて地面に落ちた。
「これで最後かな」
ザーレは剣を八の字に振って汚れを飛ばすと鞘に納めた。




