終戦の火蓋
ただいま絶賛大学受験中のため頻繁な更新ができないのが現状です。受験がひと段落したら更新頻度も戻ると思いますので気長にお待ちくださいm(_ _)m
アマイモンがモミジを倒すために見舞った止めの一撃。
結果から先に言うとその拳はモミジには当たらず、数十センチ左にずれ地面を破壊した。
なぜ、目の前で倒れている身動き一つ取れない標的を仕留められなかったのか、当然そのことに違和感を感じるアマイモン。
アマイモンは自分のカラダ全体を舐めるように見て、そしてあることに気がつく。
(カラダが重い…俺に対する重力が操作されているのか? しかもそれだけじゃないな…認識をずらされている? 俺が思い描いていたモミジの位置と実際に俺が殴った位置のズレはこれが原因か)
そしてアマイモンは結論に至る。
『何者かが俺の攻撃を意図的にモミジからはずした』と…
「困るんだよねえ。僕の愛弟子を殺されては」
前方十数メートルの位置から声がした。
顔を上げたアマイモンはまず、一番前にいるハルカの存在を、次にワカバ・クロトラ・ジルマの存在をほぼ同時に確認した。
「お前らは…ああそうか、こいつの仲間か。何の用だよ、俺は今この危険因子の排除で忙しいんだが?」
「質問だ。先ほどここに来る途中でボロボロになって倒れているリリムちゃんを見つけたんだけど、あれもキミがやったのかな?」
「ん? …あああいつか。たしかにアレをやったのは俺だがそれがどうかしたのか?」
「ッキサマッッ!!」
「動かないでワカバちゃん!!」
「ッッッッ!?」
剣のえに手をかけてアマイモンに飛びかかろうとしたワカバを目で制した。
この時、ワカバは初めてハルカという一人の勇者を怖いと思った。
ワカバが見たハルカの目にはアマイモンに対しての怒りだとか、殺意だとか、そういった感情を映し出していたからだ。
自分なんかより、ハルカの方が何倍もアマイモンに対して怒っているのだと瞬時にわかった。
「………わかった………」
ハルカは、アマイモンとモミジの位置関係と距離を両の目でしっかりと確認し、ワカバ・クロトラ・ジルマに作戦の内容とそれぞれの役割を伝える。
「僕とジルマとクロトラさんであの悪魔の注意を引く、その隙をついてモミジくんを救出しこの場を離れるんだ」
「わかった」
「了解!!」
「まかしとき!!」
「みんな、よろしく頼む!!」
キッと、ハルカはアマイモンを睨みつけ一言。
「おいお前!! 僕の仲間をこんなに痛めつけてくれたんだ…殺される覚悟、できてるよね」
《重力の束縛》
ハルカが能力を発動すると、アマイモンの両足は地面にめり込む。
「うお!! こいつは…」
「重力の束縛は標的に対して加わる重力を最大で20倍まで変化させることができる。今君にかけている重力は8倍、君の体重はいつもの8倍の重さということさ」
アマイモンの体重は250キロ、つまりこの時点でアマイモンの体重は2000キロにもなっていた。
当然、常人なら既に動くどころかグシャグシャに潰されるところであるが、最凶の悪魔アマイモンの動きを拘束するなは心細い数字である。
一瞬の隙を作るのが精々だろう。
だがそれでよかった。
今仲間には、一秒に満たないその隙をつきモミジを救出できるほどのスピードを誇る、人類最速の男がいるからだ。
人類最速の男『神速のジルマ』は、一瞬の隙をつきモミジを自陣に移動させワカバに手渡した。
「彼の傷はかなり酷い、急がなければ命に関わる。早く医者のいる避難所に運ぶんだ」
「はい!!」
ワカバはモミジを背負って、避難所へと走り出した。
「おい待ちやがれ小娘!! 俺の獲物を…」
「行かせないよ」
アマイモンを通せんぼするかのごとく、ハルカ、ジルマ、クロトラの人類最強が立った。
「揃いも揃って雑魚どもが。 よほど早死にしたいと見える!!」
「それはこちらのセリフ。僕たち三人を相手取って…無事に帰れると思わないことだ!!」
今、今回の争いを終結させる一線の火蓋が切って落とされた。
「僕は僕の仲間を傷つける奴を絶対に許さない」




