大地の王アマイモン
紅葉はリリムを探し森の中を進む。
その途中、今までに感じたことのないほどの強大な魔力を感じ取り立ち止まる。
その黒くまとわりつく感じの魔力から、それが悪魔のものだと紅葉は理解する。
「なんだこの馬鹿げた魔力、今までの悪魔とはまた別格じゃねえか」
魔力の本体は高速で移動し、その進む先にはリリム達がいる。
紅葉は思った、ウィネとの戦いで疲弊した今の状態ではあの魔力の本体と戦うのは難しいだろうと。
しかしそれでも紅葉はリリムの元に急ぐ。
勝てるとか負けるとか、紅葉にとってそれは問題ではない。
問題なのはリリムに危険が迫っているということ
「次から次へとゴキブリみてえに湧いてきやがって、さすがにこれ以上戦ったらもうコレを抑えきれねえぞ」
紅葉は自分の中に潜む『凶暴な何か』を指しそう言った。
ハルカを瀕死寸前まで追いやり、悪魔を屠ったこの『化け物』は、一度外に出れば紅葉には制御できない。
そんな心配もしつつ、紅葉はリリムの元へと向かった。
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急接近する強大な魔力に、当然リリムが気づかないはずがない。
サリエルにトドメを刺そうとしていたリリムだったが、突然起こった緊急事態に身構える。
「何よこの魔力、一体誰の魔力よ」
この魔力の大きさなら魔王クラスの悪魔であることは間違いない。
しかし、悪魔であるリリムでさえその魔力が一体誰のものなのか全く身に覚えがなかった。
「無理もありませんよリリム様、何たってこの魔力の持ち主はあなたが生まれてから一度も地上に出てきていないのですから。奴は当時、自身の部下200名を一人で皆殺しにした『仲間殺し』の大罪人、100年もの間地下の鎖に繋がれて、ついこの前出てこられたのですから」
その巨体はゆうに2メートルはあるだろう、鍛え上げられたその鋼の筋肉は対象の全てを破壊し切り裂く。
『ソロモン72師団総副団長』兼『第三軍団長』。
『大地の王』に位置付けられる最恐の魔王。
その悪魔の名前は『アマイモン』…
リリム達の目の前に今、『最恐』が降りたった。
そのとてつもなく濃く重いオーラを纏った禍々しい魔力は、まるで重石を持ったかのようにリリムにのしかかる。
「よお初めましてお嬢様。あんたの戦いは遠くから見させてもらったが…さすがサタンの娘だな、『ガキ』の割にはやるじゃねえか」
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「早く避難するのじゃみんな、此処も危ない!!」
街に残り住民の避難を任せられているラニーニャは、突如現れた強大な魔力に戸惑ってはいたが、すぐさま状況を把握し今まで以上に避難を急いだ。
「ラニーニャさん、今戻りました!!」
ベヒモスを倒したワカバとクロトラは急いで街まで戻った。
「おうヌシらか、その様子だと無事モンスターを倒せたようじゃのう」
「それよりリリムとモミジの方、大変なことになってますよ」
「わかってる、ワシは住民を避難させてから向かう。ヌシらは先に向かってくれ」
「わかった…なるべく早く来てください。あの圧倒的魔力量、私たち2人がいってもどうなるかわからない」
そう言い残し、ワカバとクロトラの両雄はリリムの元へと向かった。
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アマイモンのあまりにも強大で凶暴な魔力は、数十キロ離れたところにいたハルカたちにまで鮮明に届いた。
「なんて魔力だ、こんな奴が魔王サタン以外にいるなんてな」
ジルマは少し苦笑いしながらそんなことを言っている。
「なんだか…こわいのですよ」
あまりにも禍々しいその魔力は、妖精であるチルを身震いさせるほどである。
「…フフッ……これはまた凄まじいね」
二人とは全く対局と言っていいだろうか、ハルカは笑っている。
「こんな状況で、どうしてキミは笑っているんだい、気でも狂ったのか?」
ジルマは呆れた様子でそう言った。
するとハルカは唐突に話し始める。
「いや少し思い出に浸って考えていたんだよ、この魔力の持ち主と、あの日私が戦った暴走したモミジ、どっちが強いのかなと…思ってさ」




