空を飛ぶ
凛とした美しさ……。
人型の時のリリムよりもいっそう美しく、可憐で…そして冷酷な、魔王の血を継承する女。
その圧倒的な威圧感は、第八の王であるサリエルでさえ威圧するほど。
「…ひ、久しぶりですね……リリムお嬢様…」
「……そうね。ざっと8時間ぶりくらいかしら? あの時はあつ〜い歓迎ありがとうサリエル。いきなり攻撃してきたから死ぬかと思ったけど…」
非常に痛いところをつかれ、苦い顔をするサリエル。
「いや〜あはっはっはそうでしたっけ〜」
とりあえず全力ではぐらかす。
「……それにしても痛かったなーサリエルの攻撃ぃ。でもまあ仕方ないか、私が避けれないのが悪いんだよねぇ。ゴメンねーか弱くてー、ゴメンねー期待はずれでぇ」
………………。
「………あ、あの…本当すいませんでした!!」
「…………反省してる?」
「してます心の底から!!」
「じゃあ土下座して」
「…………いやそれはその…あの…私のプライドが許さないというか…」
土・下・座・し・な・さ・い!!
「…………ッはい……」
ゆっくりと、サリエルは頭を深々とさげる。
(調子に乗ってた自分が妬ましいわ。もし8時間前に戻れるなら…自分を殺してやりたい!!)
サリエルは心からそう思ったのだった。
〜同時刻:中央の国上空三千メートル〜
「…速度を抑えて『ゆっくり』飛ぼう。お前らが落ちたら大変だからな」
大きな白い翼を羽ばたかせジルマは、ハルカとチルを運んでいく。
時速にして900キロ、これは航空機の最高速とほぼ同じ速度である。
ちなみに、この翼がジルマの能力の一つ。
その名も『神翼』。
この能力が、ジルマが『神速』と呼ばれる一旦なのだ。
心地よい揺れと、早朝ということもあり、ハルカはジルマの背中で眠っている。
そんな三人を朝日が照らす。
「……こりゃあ凄えな…おい二人とも見てみろよ」
ジルマが目線を送るその先にあったもの。
それは地平線からのぼる太陽。
日の出である。
水平線からのぼる太陽を、上空三千メートルから見る。
オレンジ色の光が大地を照らしていく。
それは今までの人生の中でも、五本の指にはいるものであった。
「うわぁーすごく綺麗ぇ!! ほらほらチルちゃんも見てご覧よ」
「嫌です断ります!!」
「どうしてさ…こんなに美しいのに」
「 そんなこと言ったって…ここは地上三千メートル上空なのですよ! こわいのですぅ!! もしここから落ちたりでもしたら…」
涙目になりながらそう訴えるチル。
「落ちるってチルちゃん…君は妖精なんだから飛べるじゃないか」
そう、チルは妖精なのだ。
背中にもしっかり羽が生えている。
「そうでした…そういう『設定』でした」
「設定とか言わないで!!」
「…お前らそんなんで大丈夫なのか?」
話を聞いていたジルマも思わず心配してしまう。
「「大丈夫… 問題ない………たぶん」」
こんなグダグダ感の中、三人は目的地へと急ぐ。
〜マリリアナ区到着まであと6時間〜




