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ハルカの計画

中央の国首都:カタリミア

ここカタリミアは人口二億人の超大型都市。

異世界において政治経済の中心を担い、その総人口は世界全体の二割程を占める。

言うまでもなく、異世界最大にして中心の都市である。


ハルカとチルは、長旅を終えて宿屋で体を休めていた。

「いやー疲れましたねえ。馬車に揺られること三日、体がまるで石のようですぅ!」

疲れていると主張するチルだが、その声には元気が溢れ出ている。

「…………そうだね」

チルとは対照的に、元気のないハルカ。

正確には、元気がないというより、何か考え事をしているような様子である。

「紅葉さんの事が気になりますかハルカさん?」

そう問いかけるチル。

「ああうん、そう紅葉くん。彼が僕の『計画通り』に動いてくれているか気になってね」

「…え? 計画って…なんですかそれは!? 初耳なのですが」

「…そうだね、チルちゃんには話しておくとしよう」

そう言ってハルカは喋り出す。

「今回紅葉君が受けたS級モンスター討伐の依頼には、『悪魔』が関わっている可能性が極めて高いんだ」

『悪魔』が関わっている。その一言は、チルにとって予想外の物だった。

「あ、悪魔ですか!? でも、どうして悪魔が関わっていると?」

興味津々にそう尋ねるチル。

そんなチルを見て、ハルカは少し調子に乗った。

ふふんと、腕を前に組みドヤ顔でチルへの説明を始めるハルカ。

「え〜そんなに知りたいのかい。もうしょうがないなあ〜教えてあげよう!!」

「…まあ、お願いします」

テンション上がりまくりのハルカに、少しついていけないチル。

そんなのはお構いなしに、ハルカは説明を始める。

「まず一つ目の理由。以前、ソロモン72柱支団18軍団長アスタロト、30軍団長サタナキア。東の国を、『この二名が偵察』に来ているという点だ」

紅葉がこの異世界に来てすぐの時、アスタロトとサタナキアに会ったのはその時だ。

たしかにその時、アスタロトは『偵察に来た』と言っていたと、そう思い返すチル。

しかし、頭にはてなを浮かべ、チルは首を傾げる。

チルには、この説明は難しかった様だ。

そんなチルを見て、補足説明を加えるハルカ。

「僕が言いたいのはつまりこういうことだよ。『普通に偵察するのなら、下っ端でいいはず。なぜ、わざわざ軍団長が二人も出向いて来たのか?』」

たしかに、なぜ軍団長がわざわざ偵察に来たのか。

ますます話がわからなくなったチル。

「僕はこの理由をこう考えた。下っ端では駄目で、軍団長が出向かなければいけないほど『重要な偵察』だったんだとね」

この説明に、チルも少し合点がいった。

しかし、納得するにはまだ不十分である。

「たしかに、今の話からあの二人が重要な偵察に来ていたことはわかるのですぅ。でも、それと今回の件が関係あるんですか〜?」

「この時点ではまだそうだとは言えないな。でも二つ目の理由でそれもある程度説明できる」

「二つ目…ですか?」

「二つ目は、『マリリアナ区が穀類や作物の総生産の約三割を占めている』という点だ」

この説明の意図はチルも理解できた。

「そうか、マリリアナ区を潰せば東の国は食糧が不足して国営が厳しくなる。そうなれば、『悪魔側が戦争を仕掛けやすくなる』ということですか!?」

「そう、それが理由の二つ目。そして、ラストの三つ目。この三つ目が、一番決定的でかつ簡単だ」

チルはゴクリと生唾を飲む。

「三つ目、そもそもマリリアナ国はS級モンスターは生息していないんだよ。つまり、今回マリリアナ区を襲っているS級モンスターは、どこぞの誰かが連れてきた事になる。でも、S級モンスターなんてそうそういるもんじゃあないし、ましてやあんな怪物を従えることのできる者なんて限られてくる。以上の理由で、悪魔が関わっている可能性が高いと証明できるわけなんだ」

ハルカの説明には信憑性があった。だからこそ、信憑性があるからこそ駄目なのである。

「ハルカさん、東の国に戻りましょう!! 悪魔の襲来なんて、国に広まったら混乱が起こります!!」

血相を変えてそう言うチル。

そんなチルとは対照的に落ち着いた様子のハルカ。

「そんなに焦らなくても平気だよチルちゃん。僕が何のために、問題児たちを残してきたと思うんだい?」

「で…でも……」

「大丈夫だよ。あの三人ならちょっとやそっとじゃ負けないし、万一に死んじゃう事もないだろうからね……それに」


「もしかしたら、すでに戦いは始まってしまっているかもしれない」

鋭い眼光をのぞかせ、ハルカはそう呟いたのだった。








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