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山田のシリアス異世界転生記 Everything is as planned  作者: 変な人
山田の脱出劇

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4/18

第二話 国家保安庁

……ピッ。

 ……ピッ。

 ……ピッ。

 一定の間隔で電子音が鳴り続けている。

 山田太郎は重たい瞼をゆっくりと開いた。

 視界に映ったのは真っ白な天井だった。

 (病院……?)

 そう思ったのも束の間。

 両腕を動かそうとして、異変に気付く。

 ガチャリ。

 金属音。

 手首には分厚い拘束具。

 足首にも鋼鉄の枷が取り付けられている。

 胸には何本ものコード。

 首筋には見慣れない魔法陣の刻まれた首輪が装着されていた。

 「……え?」

 ゆっくりと身体を起こそうとする。

 だが、身体がほとんど動かない。

 その瞬間。

 天井のスピーカーから無機質な声が流れた。

 「対象Y-001、覚醒を確認。」

 「尋問室へ移送します。」

 ガシャン。

 重い鉄扉が開く。

 灰色の軍服を着た兵士が六人。

 その後ろには黒い制服の男が二人立っていた。

 全員、自動小銃を構えている。

 まるで猛獣でも相手にするような警戒ぶりだった。

 「立て。」

 一人の兵士が短く命令する。

 「いや、立てって言われても……。」

 兵士は答えない。

 二人が山田の腕を掴み、無理やり立たせた。

 廊下へ出る。

 地下施設らしい。

 灰色のコンクリート。

 無数の監視カメラ。

 赤く点滅する警告灯。

 分厚い防爆扉が何重にも並んでいる。

 通るたびに認証音が鳴った。

 『第一隔壁、解除。』

 『第二隔壁、解除。』

 『対魔法結界、正常。』

 『対転移結界、正常。』

 『対象通過。』

 (ここ……刑務所じゃない。)

 (要塞だ。)

 山田は思わず息を呑んだ。

     ◇

 国家保安省地下七階。

 特別尋問室。

 部屋の中央には一脚の椅子。

 床一面には巨大な魔法陣が刻まれている。

 天井からは白い照明が山田だけを照らしていた。

 「着席。」

 兵士に肩を押され、椅子へ座らされる。

 拘束具が自動的に閉まる。

 両腕。

 両脚。

 胴体。

 首。

 完全に固定された。

 数秒後、扉が開く。

 入ってきたのは五人。

 軍服の男。

 国家保安省の制服を着た男。

 白衣姿の研究員が二人。

 そして、黒いローブを纏った老人。

 全員の視線が山田へ向けられる。

 軍服の男が机に一枚の書類を置いた。

 「尋問を開始する。」

 低い声だった。

 「私は国家保安省特別保安局局長、ヴォルコフ上級大将。」

 「お前は現在、敵性戦略兵器容疑により拘束されている。」

 山田は思わず声を上げた。

 「兵器って何ですか!」

 「俺、人間ですよ!」

 誰一人として反応しない。

 ヴォルコフは淡々と質問を始めた。

 「所属。」

 「○○高校です。」

 「所属組織を聞いている。」

 「だから高校です!」

 「国家。」

 「日本。」

 研究員が小さく首を傾げる。

 「該当国家、データベースに存在しません。」

 ヴォルコフは表情一つ変えない。

 「任務。」

 「学校へ行って……。」

 「違う。」

 「この国へ侵入した目的だ。」

 「だから分からないんですって!」

 山田は思わず叫ぶ。

 「寝てたら急に知らない場所へ来て!」

 「軍隊に囲まれて!」

 「俺だって意味分かんないんですよ!」

 部屋が静まり返る。

 研究員が端末を操作する。

 「脈拍上昇。」

 「発汗増加。」

 「恐怖反応を確認。」

 「虚偽の可能性……低。」

 その報告を聞いても、ヴォルコフは頷かない。

 「第二段階へ移行する。」

 白衣の女性が前へ出た。

 銀色のケースを開く。

 中には数本の注射器が整然と並んでいた。

 山田の顔色が変わる。

 「ちょっと待ってください。」

 「それ……何ですか?」

 「真実誘導薬剤。」

 女性は感情のない声で答える。

 「国家保安法第十二条に基づき投与します。」

 「いやいや!」

 「俺まだ何も!」

 「対象が拒否反応。」

 「投与を続行。」

 兵士が山田の肩を押さえつける。

 冷たい針が腕へ刺さった。

 透明な液体が体内へ流れ込む。

 数分後。

 頭がぼんやりとしてくる。

 身体に力が入らない。

 「質問を再開する。」

 「氏名。」

 「山田……太郎です……。」

 「任務。」

 「学校へ行くこと……。」

 「Y-001とは何だ。」

 山田は薄れる意識の中で答えた。

 「……分かりません。」

 「計画とは何だ。」

 「知りません……。」

 「誰がお前を送った。」

 「分からない……。」

 研究員が困惑した表情を浮かべる。

 「薬剤は正常に作用しています。」

 「対象は意図的な虚偽を述べていません。」

 「全回答に矛盾なし。」

 部屋の空気が変わった。

 ヴォルコフが初めて眉をひそめる。

 「……あり得ん。」

 黒いローブの老人が静かに前へ出た。

 「局長。」

 「次は私が確認しましょう。」

 「精神記録閲覧魔法です。」

 老人が杖を掲げる。

 巨大な魔法陣が床いっぱいに広がった。

 青白い光が山田を包み込む。

 山田は抵抗することもできない。

 魔法陣は静かに回転を始めた。

 その瞬間だった。

 老人の目が大きく見開かれる。

 「……なっ。」

 魔法陣が激しく揺らぐ。

 バチッ!!

 火花が飛び散り、部屋中の照明が一瞬だけ消えた。

 老人は数歩後退する。

 額には汗が滲んでいた。

 「どうした。」

 ヴォルコフが鋭く問う。

 老人は震える声で答えた。

 「偽装ではありません。」

 「記憶は本物です。」

 「この少年は……。」

 「本当に、我々の知らない世界から来ています。」

 その言葉に、部屋の全員が息を呑んだ。

 そして誰もしらぬ空間の中で


 『Y-001との接触を確認。』

 『計画進行率 二十六・八パーセント。』


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