スピンオフ 宵うさぎ
いつも読んでいただきありがとうございます。
宵うさぎは、月狼と離れてから酒の量が増えていた。
宵うさぎ
(月狼さん〜。月狼さんが守った人類は、自分達の意思で生きて、選んでるよ〜)
宵うさぎが酒を煽ると、
宵うさぎ
(はぁ〜、またか〜)
宵うさぎの周りを数人の男が囲む。
宵うさぎ
(もう月花大戦は終わったよ〜)
(恨みも判るけどさ〜、一応、人類を守ったのは私達だよ〜)
宵うさぎが言い終わるのとほぼ同時に、ナイフが宵うさぎに向かって飛んでくる。
宵うさぎは上半身だけを少し動かし、軽くかわす。
宵うさぎ
(まだ続ける〜?)
(やるなら、ちょっと本気出すよ⋯)
宵うさぎの口調が変わる。
しかし、男達も引かない。
刀、槍、ナイフ、鉄グローブ。それぞれ武器を出し、宵うさぎとの距離を詰める。
宵うさぎ
(やるなら、ちゃんと殺す気で来い!こっちも殺す気でやる!)
(あ〜、最初から殺す気か⋯)
宵うさぎが言い終わると、地面を蹴り、刀の男の目の前に立つ。
宵うさぎ
(弱いな⋯)
宵うさぎの右手は、すでに男の腹にめり込んでいた。
宵うさぎ
(あの子達なら、防げてるよ)
宵うさぎの動きが止まっているのを見た他の男達が、一斉に宵うさぎに斬りかかる。
宵うさぎは怯むこともなく、男達に突き進む。
槍を持つ男の横に立つ男は、宵うさぎが横に来たことすら気付かない。
その瞬間、男の顔面に宵うさぎの足が当たり、男は派手に吹っ飛ぶ。
宵うさぎ
(もうやめれば?半分も力出してないから)
ナイフの男と、その後ろにいた鉄グローブの男が少し下がる。
宵うさぎ
(今なら逃がしてやるよ)
その言葉を聞いて逃げればいいものを、男達は宵うさぎに突進してくる。
宵うさぎ
(はぁ、バカが⋯)
宵うさぎは軽く体を捻り、ナイフの男を蹴り、鉄グローブの男に回し蹴りを食らわせた。
宵うさぎ
(⋯つまんない、向日葵だったら⋯⋯)
宵うさぎは少し寂しそうに、その場を後にした。
その場は血の海と化していた。
宵うさぎ
(もう何年経ったのかな〜)
(前に向日葵達に会ったのは何時だったかな〜)
宵うさぎは酒を煽りながら、独り言を言っていると、
???
(宵うさぎ)
宵うさぎ
(また〜?もうさ、狙うの辞めたら〜?)
(勝てないよ〜。人間で勝とうと思うなら、あの子達位強いの連れてこないと〜)
???
(宵うさぎ)
(もう忘れたのか?)
宵うさぎの顔色が変わり、持っていた酒を落として割ってしまう。
宵うさぎ
(⋯⋯⋯この声⋯⋯⋯月狼さん!!!)
宵うさぎは振り返りながら声の方に走り出し、声の主に抱き付いた。
月狼
(宵うさぎ、待たせたな)
(50年、長かったな)
宵うさぎ
(月狼さんだ!月狼さんだよ!月狼さん!)
月狼
(すまんな)
宵うさぎ
(うっう、月狼さん⋯うっ)
月狼が宵うさぎの頭を撫でながら、
月狼
(宵うさぎ、一緒に来るか?)
宵うさぎ
(行く!行くよ!月狼さんと一緒に!)
月狼
(判った、一緒に行こう)
宵うさぎ
(うん!うん!行くよ!)
宵うさぎは月狼と共に月に向かった。
宵うさぎは今までの事を、涙を流しながら笑顔で話した。
向日葵の事、神無月、薔薇、彼岸花の事。
金木犀、秋桜、弥生、鈴蘭、師走、百合。
みんなのことを話しながら、二人は楽しそうに月へと向かっていった。
やがて、二人は月にたどり着く。
宵うさぎ「……ここが、月……」
月狼「……ああ」
宵うさぎ「……綺麗ですね」
月狼「……そうだな」
宵うさぎは、月狼の手をぎゅっと握った。
宵うさぎ「……これからは、ずっと一緒ですね」
月狼「……ああ。もう、離れることはない」
宵うさぎ「……えへへ」
月狼「……どうした?」
宵うさぎ「……幸せだなぁって」
月狼「……そうか」
二人は、静かに空を見上げた。
もう、二人が離れることはない。
今後もよろしくお願い致します。




