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今宵月 月花大戦 スピンオフ  作者: アル治


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2/8

スピンオフ 秋桜・金木犀

読んでいただきありがとうございます。

島を脱出した後、秋桜と金木犀は、それぞれの家へ戻ることなく、2人で旅に出ることを決めた。

秋桜は伸びをしながら笑う。

「体は大丈夫~?」

金木犀も微笑み返した。

「私は平気です。秋桜様の方こそ……」

「金木犀が居れば問題ないよ~。」

その言葉に金木犀は笑顔を見せるものの、どこか心配そうな表情を浮かべていた。

「行くよ~、金木犀。」

「待ってください、秋桜様。」

2人の口座には、優勝賞金が振り込まれていた。

月狼が最後に残してくれた贈り物だった。

そのおかげで、2人は何も気にすることなく旅を続けることができた。

山へ行き、海へ行き、遺跡を巡り、遊園地では子どものようにはしゃぐ。

行きたい場所は、全部行く。

それが2人の旅だった。

山頂から見える景色を眺めながら、秋桜が呟く。

「綺麗だね~。」

「本当ですね。」

金木犀も景色に見惚れながら答えた。

しかし、その表情は少しだけ寂しそうだった。

「あの戦いがなければ……。」

秋桜は首を横に振る。

「でも、月花大戦がなかったら~。」

「私たちは出会えなかったよ~。」

金木犀は驚いたように秋桜を見る。

「秋桜様……。」

「だからさ~。」

「これからは2人で、いっぱい楽しもうよ~。」

その言葉を聞いた金木犀は優しく微笑んだ。

それ以降、2人が月花大戦の話をすることはなかった。

遺跡では神秘的な空気に包まれながら静かな時間を過ごし、

遊園地では閉園間際まで遊び尽くした。

ジェットコースターも観覧車も、お化け屋敷も。

すべて乗るまで帰らないと決めていた。

「楽しいね~。」

「はい!」

「今まで、こんなこと出来ませんでしたから。」

秋桜は笑う。

「もう自由だからね~。」

海では2人で水着を選んだ。

秋桜は可愛らしいフリル付き。

金木犀はパレオ付きのビキニ。

「金木犀はスタイルいいからね~。」

「そんな……恥ずかしいです。」

照れながらも金木犀は秋桜を見つめる。

「秋桜様も、とても可愛らしいです。」

「あ~、子ども扱い~?」

「ち、違います!」

「可愛い水着を着た秋桜様が、本当に可愛かったので……。」

「冗談だよ~。」

秋桜が笑うと、金木犀は少し頬を膨らませた。

そこへ1人の男性が近づいてくる。

「君、可愛いね。」

「俺と一緒に泳がない?」

すると金木犀は反射的に秋桜の前へ立った。

「秋桜様には近付かせません!」

男性は困った顔になる。

「いや……俺が誘ってるのは君なんだけど。」

「……私ですか?」

「うん。」

「行こうよ。」

金木犀は丁寧に頭を下げた。

「申し訳ありません。」

「私は秋桜様と泳ぐ約束をしていますので、お断りいたします。」

男性は苦笑しながら去っていった。

秋桜はその様子を見て笑いが止まらない。

「金木犀らしいね~。」

「もう、秋桜様!」

2人は顔を見合わせて笑い、その後も夕暮れまで海を満喫した。

水平線へ夕日がゆっくりと沈んでいく。

「楽しかったね~。」

「……はい。」

しかし金木犀の表情はどこか曇っていた。

「どうしたの~?」

「この先……私たちはどうなるのでしょう。」

「いつか……。」

秋桜は静かに金木犀を見つめる。

「金木犀。」

「嫌じゃなければさ~。」

金木犀も真っ直ぐ見つめ返す。

「ずっと一緒にいてくれないかな~?」

「私は、ずっと金木犀の隣にいたい。」

「私じゃダメかな~?」

金木犀は少しも迷わなかった。

「ダメじゃありません!」

「私も、一緒にいたいです。」

「私も……秋桜様の隣にいたいです。」

秋桜は優しく微笑み、そっと金木犀を抱きしめた。

「金木犀。」

「秋桜様……。」

金木犀も抱きしめ返す。

どちらからともなく笑みがこぼれた。

夕日は静かに水平線へ沈み、2人の影だけが長く砂浜へ伸びていく。

それからも2人は旅を続けた。

目的地を決める日もあれば、気の向くまま歩く日もある。

どこへ行くかよりも、誰と歩くか。

それが秋桜と金木犀にとって、一番大切なことだった。

2人の旅は、これからもゆっくりと続いていく。

今後もよろしくお願い致します。

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