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今宵月 月花大戦 スピンオフ  作者: アル治


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1/8

スピンオフⅠ 睦月と向日葵

月花大戦のスピンオフです。

月花大戦のその後の様子を書きました。

皆様の想像とは違うかもですが、楽しんで貰えると嬉しいです。

全8話になります。

無事に島を離れた睦月と向日葵。

向日葵の体は回復してきていたが、睦月のバフと言霊の反動は大きく、心身ともに疲弊していた。

向日葵がゆっくりと目を開ける。

「う、うーん……」

睦月は安心したように微笑む。

「起きたか?」

「うん! 体は痛いけどね。」

睦月は少し俯いた。

「……ごめん。俺のせいで……」

向日葵は首を横に振る。

「睦月のせいじゃないよ。」

少し間を空けると、いたずらっぽく笑った。

「そ・れ・よ・り。」

「約束、覚えてるよね?」

睦月は苦笑する。

「動けるようになって最初にそれか?」

「うん! だって楽しみにしてたもん!」

「……分かったよ。行こう、向日葵。」

「うん!」

向日葵は嬉しそうに睦月の手を握り、二人は街へ向かった。

最初に訪れたのは、一軒のカフェだった。

席に着くなり向日葵は元気よく注文する。

「とりあえず、パフェ全部ください!」

睦月は苦笑しながら店員へ向き直る。

「俺はコーヒーで。」

店にあるパフェが次々と運ばれ、向日葵の目は子どものように輝いていた。

お気に入りを何度もおかわりし、ようやく満足そうに息をつく。

ふと、その表情が少し曇った。

「……宵うさぎさん、元気かな。」

「月狼さんと離れ離れになっちゃった……」

睦月も静かに頷く。

「俺たち人間のために、月狼さんは神になった。」

「……でも、あの2人ならきっと大丈夫だ。」

「そうじゃないと、俺たちが申し訳ない。」

向日葵も頷いた。

「私たちに何かできたらよかったのにね……」

しばらく2人は黙っていた。

あの戦いを生き延びられたのは、月狼と宵うさぎがいてくれたからだ。

睦月が小さく笑う。

「俺たちまで暗くなったら、2人に怒られるな。」

向日葵も笑顔を取り戻す。

「そうだね。」

「私たちのために神になってくれたんだもん。」

「こんな顔してたら、月狼さんに怒られちゃう。」

「そうだな。」

2人は街を歩き、買い物をしたり景色を眺めたりしながら、穏やかな時間を過ごした。


高台から街並みを眺めながら、睦月が静かに口を開く。

「向日葵……約束、覚えてるか?」

向日葵は少し照れながら頷く。

「……う、うん。」

睦月は真っ直ぐ向日葵を見つめた。

「向日葵。」

「結婚してくれるか?」

向日葵の頬が赤く染まる。

「……はい。」

2人は照れくさそうに笑い合った。

その後、睦月は向日葵を家族へ紹介した。

準優勝を果たし、神を討った英雄。

それ以上に、大切な人として。

反対する者も、嫌味を言う者もいなかった。


そして向日葵と睦月は、向日葵の師匠の眠る墓前を訪れる。

静かに花を供え、手を合わせた。

「師匠……約束、守れたよ。」

「私、生きて帰ってきた。」

「それからね……私、幸せになる。」


「今後、向日葵を守っていきます!」

優しい風が吹き、花びらが静かに舞った。

向日葵は少しだけ涙を流し、それでも笑顔で墓前を後にした。

そして2人は、約束していた世界一周の新婚旅行へ旅立つ。

睦月が優しく微笑む。

「向日葵、幸せになろうな。」

向日葵も笑顔で答える。

「うん!」

「でも、甘いものも忘れないでね。」

睦月は思わず笑った。

「俺は甘いものと同じなのか?」

向日葵は首を横に振る。

「違うよ。」

「睦月は、特別。」

その言葉を聞いた睦月は優しく向日葵を抱き寄せる。

2人の唇がそっと重なり、新しい人生が静かに始まった。


今後もよろしくお願い致します。

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