第十話 生死
ジゴロウは三人が一直線になっているところを見つけ、刀を抜いた。
__向日葵 ひまわり
ジゴロウが刀をふりおろし飛んで行った黄色の球体は三人の上半身を消滅させた。のこった下半身から血が噴き出しながら倒れた。ジゴロウは足早に移動していると、まだ攻撃に気付いていない二人の男を見つけた。
__花衣・黒真珠 はなごろも・くろしんじゅ
飛んでいった黒い斬撃が二人の体を八つ裂きにした。肉片が地面に打ち付けられ地面が赤色に染まる。ヒロは一人の男と出会った。刀を抜き攻撃に出た。
__ライトロード
男は腹部から血を流した。だが倒れなかった、斬る力が弱かったのだ。
(殺せなかった‥肝心な時に‥)
男はヒロのほうをむき背中に銃を向けようとしている。殺される、そう思ったとき体が突然動いた。
__フラッシュ
男は目をつむった。ヒロは助かったと思った。だが油断はしてはいけない、この男はまだ生きている。ヒロは刀を構えた。
(殺さなければ、今度こそ確実に)
__ストロボ
光り輝く斬撃が男にかみついた。男は全身から血を流し倒れた。死んだ、ヒロはこのときはじめて人を殺したのである。ヒロは想像もできないような恐怖で体を動かせずただ動かない死体を見ていた。すると後ろからジゴロウが歩いてきた。ジゴロウはそれを見た後言った。
「初めて人を殺したときは誰だって今のお前みたいになるさ。わしも昔そうなった」
「どうやって立ち直ったの」
「考えないことだ」
ジゴロウはそういうと自身の家へ歩き出した。ジゴロウはこのときすでにあと四人を片付けていた。ヒロも戦慄しながらもとぼとぼと家へ歩いた。二人が家に入るとミルが椅子に座ってお茶を飲んでいた。床には人間の死体が三つあり、いたるところに穴が開いている。ミルはお茶を飲み干すと二人に言った。
「俺ができることはここまでです。これからはあなた方でなんとかしてください」
「分かった。ありがとう」
「あぁ、あと家を破壊してすみません。それでは別の任務があるので」
ミルはそういうと外へ出て行った。数分後ヒロとジゴロウも家から出た。
「じいちゃん、もしあの家に家宅捜索とか入ったらどうするの?」
「安心しな。こんなときのために地下室に火薬と導火線が張ってある」
そういうとジゴロウはスイッチをズボンのポケットから取り出した。スイッチを押すと家が激しい炎と爆発音と共に消滅した。ヒロはビクッと体を震わせた。そしてさっきまでいた場所が炎に包まれている光景を目の当たりにした。唖然としているヒロを横目にジゴロウはすたすた歩いて行った。ヒロは苦労して建てた家を破壊してよかったのかと聞いた。ジゴロウは一言だけ呟いた。
「もう帰らないかもしれないのにあってもなぁ」
しばらく歩くと、二人は隠れた。国軍の人間が前にいたのだ。かろうじて二人は気づかれずに済んだ。ヒロとしてはなるべく気付かれないようにしたかった。無駄な殺しはしたくなかったからだ。ヒロとジゴロウは隠れていた木から出ると、そこには国軍がいた。すぐさま二人は刀の持ち手に手をおいたが、ヒロはいちはやく手を挙げた。そこにいたのはフブキ、ファイ、イアンだったのだ。
「ヒロ、お前なにしたのだよ」
「そうですよ。し、指名手配になるなんて‥‥」
「上官でも殴ったのか?」
相変わらずいつもの調子で話す三人を見てヒロは涙目になった。この涙はさっきまで戦々恐々としていたところに三人の普段の光景に癒されたからかもしれない。ヒロはフブキから渡されたハンカチで涙をぬぐった。
「ヒロ、そこにいるのはまさか」
「あぁ」
それからヒロは三人にジゴロウの紹介とことの顛末をすべて話したが、さすがにさっきの襲撃のことは話さなかった。なぜならどこを切り取ってもむごいからだ。そして言い終えた後ヒロは真剣な眼差しで言った。
「俺は、国と戦おうと思う」
「え?」
ヒロの言葉にフブキは自身の気がおかしくなったかとさえ思った。
「つまり、反乱を起こすのか」
イアンは冷静に言った。フブキはどうすればいいかわからず右往左往していた。ファイは最初こそ驚いていたが
「面白そうだ。よし! 乗った!」
ファイは笑った。ありがとう、ヒロはファイに言った。ファイはジゴロウに話しかけに言った。やがてフブキもヒロに味方するといった。
「わ、私もそんな悪事は許せない。ヒロさん一緒に倒しましょう!」
「もちろん! ありがとう」
イアンは最後まで黙っていた。だが
「今‥‥なのか」
イアンはみんなに聞こえない程度の声でつぶやくと
「分かった。俺も行く」
ヒロはイアンを見て笑った。
「ありがとう」
イアンはヒロに目を合わせないようにしながら話した。
「まずどうする」
ヒロはフブキにハンカチを返してから言った。
「まず、刑務所へ行ってサーガとゲントルを脱獄させる」
三人は驚愕した。自分たちが苦戦しながらも倒した二人を解放すると言っているのだ。だがヒロは、そりゃあ味方は多いほうがいいだろうといった。その正論に反対するものはいなかった。
しかし、このとき既に刑務所では悲劇が起きていた。
次回は12月19日21時に公開です。




