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「私の対価」

 ペテルギウス国に着くとそこからは二週間で戻れた。


 私は報告の為に更に一日費やして国王のいる【オリオン王国:王宮】に向かい一面がキラキラした星の内装にはいつもワクワしてる。


 綺羅びやかで荘厳な雰囲気が苦手の私には会いに行くだけで嬉しい。


 太陽のような星のカーペットの先に進むとそこには筋肉隆々の貴族の服を身に纏う立派な髭を生やした国王様と薄布を重ねたスラっとした長い脚が特長的な王女様が玉座に鎮座する。


 私の到着に二人はホッとした顔で足を少し崩した。


「王様、お仕事の報告をしに参りました」


 本来なら兵士が沢山いる筈なのに私の時だけは誰も立ち寄らせないようにしてくれる。


「ふむ、良くやったなユカリ」


 私の名前は未だに違和感がある。


 その名前を呼んでくれる人は王様と王女様、そしてビッグシスターだけだ。


「疲れたでしょう?ゆっくり休みなさい」


 王女様はわざわざ私を抱き抱えて撫でる。


「いえ、私はお二方の為に一生懸命働きます」


 その言葉に二人は心配そうに唸る。


「ユカリ、お前は自由なんだぞ?」


「はい!なので報酬を貰いに来ました♪」


 私の言葉に二人はまた不安な表情をする。


 私の報酬はパン一斤だ。


「毎回聞くが・・・何故これを?」


「好物だからです♪」


 これをミルクに浸して食べるのが私の一番の幸せ。でも何でか皆私の待遇に異議を申す人が多い。


 王様は髭を整えながら私に問う。


「ユカリ、無理はしてないか?」


「え?はい??」


「本当に?」


「えへへ、今日はどうしたんですか?まだお仕事あります?」


 二人はいつも以上に優しい、私が人間じゃないからかな?


「ユカリ、お前さんは寿命が短いことは分かるな?」


「二十歳は越せません♪もうすぐ十四歳になりますからまだまだ働けますね♪」


 生まれてから一度も幸せを知らない私は十歳の時に届け人になった。


 最初は皆喜んでたのに最近は皆私に気を使う。私は国の捧げ物なんだからいつだって捨てることが出来るのにな。


「そう・・・・だな」


 王様はぎこちない言葉で労い、私はパン一斤を持って帰る。


「・・・ユカリ・・・お前はいつになったら“人生”を歩む?」


「あの子はもう届け人として生きなくてもいいのに」


「開花の粉塵だって彼女の寿命を削ってるんだ・・・後数年しか生きられないだろう」


「他の者には頼めないの?」


「彼女の素質を上回ることが無ければ駄目だ」


「アナタ・・・」


「判っておる、ユカリは最初から死ぬつもりでしか生きておらん・・・人工子宮から出てきたとはいえ彼女の未来を殺して何が楽しいのだ?」


「・・・ごめんなさい・・・ユカリ」


 二人の会話は彼女には響かない、それが使命だと思ってるから。

 

 彼女は最初から何も望んでいない、ただ死ぬのを待つだけの自由の奴隷だ。

  

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