今回は
「さてと! これからどうしますか!」
ソファに座り、コーヒーを飲みながらセルイが言う。
「なぁ? 確か私を元の世界に帰すため、人狼の方々に協力を仰いだ……気がするのだが、それはどうなったのだ?」
「お! ちゃんと覚えてたんスね! 偉い偉い!」
唐突な子供扱いに詩音が反論する。
「子供扱いするな! それでどうなったのだ!?」
セルイは咳払いをすると、
「そいでその話なんスけど、Nから準備が出来次第、スマホに連絡が来ることになってるっス!」
「本当に……いつの間にそんなやり取りを!? 私が見ていた限り、そんなスキはなかったぞ!?」
「そりゃさっきじゃなくて、詩音が寝てた数日の間にやってた事っスからね〜。知らなくて当然っつーか」
呑気に言うセルイに、改めて感心すると詩音は、
「話が通っているのはわかった。……私は……このまま……帰っていいのだろうか?」
暗い顔をする詩音に、セルイはあえて明るく言う。
「いいんじゃないスか? 親父さんの事は気になるかもしれないけれど、それはそれだし!」
「だが……聖騎士として、あの男の行動は許せないのだ……。放置して帰るなんて……私には出来ない!!」
そう言って立ち上がる詩音にセルイは頭をかくと、
「まぁ、なんかそう言うとは思ってたっスよ!」
「……すまない」
謝る詩音の肩を軽く叩き、セルイは伸びをした後言う。
「いいんスよ〜。乗りかかった船だし! そんじゃ、とりあえずマリ達んとこに行きますか!」
「? 何故だ?」
首を傾げる詩音に、
「何かこの状況を打開する方法が、見つかるかもしれないっしょ?」
曖昧なセルイの言葉に、イマイチ納得の行かない詩音だったが、大人しくついて行くことにした。
****
「こんにちは。おや? お嬢様もう起きてよろしいので?」
玄関先で出迎えたレオンは、開口一番そう言った。
「あ、ああ。大丈夫だ。それより、前から思っていたのだが、私をお嬢様と呼ぶのは何故だ? こそばゆいのだが!!」
「お元気そうでなりよりです。私がお嬢様と呼ぶのは所謂ノリと言うものですので、お気になさらず。それでは、中にどうぞ」
そう言われ、半ば強引に部屋へ通される。
いつも通り、マリは仕事部屋にいた。
「もう! 二人してなんなのよ!? 現市長のとこには行ったんでしょ!? こっちにはそれ以上の情報はないわよ!?」
ヒステリック気味なマリの言葉に、セルイは頬をかきながら、
「まぁまぁ、そう言わずに! 今回は、噂を流してほしいんスよ!」
セルイ以外の三人が首を傾げる。
「噂を流す? そんな事してなんになるのだ?」
「お嬢様の言うとおりです。何故そのような事を?」
「面倒ごとは嫌なんだけれど!?」
三者三様の言葉に、セルイは笑いながら言う。
「いやぁ、今まではずっと、オレ達の情報流出を止めるのが目的だったっス。でも、それはもう達成したっス! だから今回は、南部聖司が魔剣を手に入れた。って情報を流すんスよ! コレで南部が何か動きを見せる……かも?」
「かもとはなんだ! かもとは! 危険すぎるのではないか!?」
反論する詩音にセルイは、
「でも、現市長とシーニーはもう手を出してはこないっしょ? 多分だけど。んで人狼達の方も片付いたし……残る問題は、南部聖司だけっス!」
(と言うより、全ての出来事が南部に繋がっているっス。ここを叩けば、何か起こるはず!)
「? セルイ様?」
レオンの呼びかけに、セルイは顔を上げると、
「とにかく! 南部聖司が魔剣を持っているって言う情報だけを流してほしいんスよ! いいっスね?」
「……いいけれど、私の身の安全は保証してくれるんでしょうね?」
訝しげなマリに、セルイはレオンに近寄り、
「コイツは強いっス! それに、今回はオレ達もここに滞在するっス! だから安心してほしいっス!」
「ちょ!! あんた達もここに居座る気!?」
動揺を禁じ得ないマリに、セルイは親指を立てると、
「そう言う事っス! 部屋数多いんだし。……それに、また情報屋を失いたくないんスよ」
セルイの言葉に、苦い顔をしながらもマリは了承する。
「わかったわよ! 好きにしなさい!!」
それだけ言うと、マリはパソコンに向かい、仕事に取り掛かった。その様子を満足げに見ると、セルイは、詩音を連れてリビングに行き、
「それじゃ〜まぁ! リビングで寛がせてもらいますか!」
のんびりし出すセルイに続き、詩音もリビングのソファに座る。
(頼んだのは私だが……大丈夫なのだろうか?と言うか今思ったが、セルイはいくら持っているんだ? こんなに危険な事までさせれるくらいの金額……)
いっそ聞いてみようか? と思いセルイの方を観るが、テレビをみて笑っている姿をみて、聞くのをやめた。
(何となくだが、答えてもらえない気がする。それより、英気を養う方が先か)
そう思い改めて、詩音もセルイと共にテレビを見だした。
****
夜になり、ずっとこもっていたマリとレオンが仕事部屋から出てきた。
「あんた達、本当に図々しいわね……まぁいいわ。それより、早速だけれど、情報が売れたわ。……買ったのは、またしても現市長様よ?」
マリの言葉に、セルイは頭を抱えながら言う。
「はぁ!? またっスか!? 本当に邪魔だな!!」
「懲りないというのか、なんというか……市長であるには、そう言う資質も大事なのかもしれないな……」
苛立つセルイと感心する詩音。二人の反応に、マリも苦笑いしながら、
「全くね。ま、それは置いといて……」
マリが話そうとした瞬間だった。
「!! 静かに!!」
セルイの制止で、全員に緊張が走る。
「……何か来るっスよ」
そうしていると、車の走る音がする。その音はどんどん近づいていき、そして、マリの家に突撃した。
轟音が響く。
「くっ!! そう来るっスか!」
「ちょっと!! 他人の家で何してくれてんのよ!?」
「全員無事か!?」
「ああ!! 戦いの予感!! たまりません!!」
車が突撃して来た場所が四人がいた所よりズレていたため、奇跡的に全員無傷で無事だった。
車から何人かが降りてくる。
「動くな!! 我々に従え!!」
そう言って銃を向ける黒ずくめの人物達に、セルイが言う。
「誰にケンカを売ったのか、分からせてやろうか!」




