二人
「……罪状はなんスか?」
セルイの問に南雲は、
「そうですね……住居侵入罪とか?」
「曖昧っスね」
南雲は死んだ目で笑うと、
「まぁいいじゃないですか。とにかく来てください。……出ないとあの二人がどうなっても知りませんよ? 」
脅迫してくる彼に、セルイは頭をかくと、
「わかったっスよ! ただし、あの二人に何かあったら、その時は……覚悟出来ているんだろうな?」
セルイの威圧に臆する事無く、南雲は頷くと、
「それでは来てもらいましょうか。あ、そこの死体君も連れて行きましょう」
レオンは咄嗟に死んだフリをしていたらしい。身体を一切動かす事無く、されるがままになっている。
(オレはともかくレオンも連れて? やはりコイツ……)
そう思考を巡らせていると、
「それでは失礼して!」
南雲がセルイにスタンガンを押し付けた。
「グッ!!」
その場に崩れ落ちるセルイを抱えると、南雲達は二人を連れ出した。
****
二人を乗せた車が進んで行く。
(この感じ……。警察署とは反対方向っスね)
気絶したフリをし、セルイは思考を再び巡らせる。
(あの現場で舐めた記憶。そこには警察官の格好をした男が魔剣を手にしていた。顔はマスクでわからなかったが、間違いない。犯人は南雲だ。そして、詩音達を連れ去り、レオンを殺そうとしたのも。……何が目的っスかね? )
そうしているうちに、何処かに到着した。
無抵抗なまま運ばれ椅子に座らされ、頬を叩かれた。
「ん、ん〜ん」
起きたフリをして、縛られた身体を確認する。
「どういう事っスか? これじゃ、ただの人さらいっスよ?」
セルイの疑問に南雲は笑うと、
「確かにそうですね。間違いなく。僕はね、君……いや、貴方と話したかったんですよ。この子についてね!!」
そう言って、部下に合図を送ると、布に包まれた細長いものを持って来させた。
「予想してたっスけど、やっぱオタクが持ってたんスね。魔剣ノスフェラトゥを!」
セルイの言葉に嬉しそうな顔をし、南雲は、
「正解です! さすがは創造主!! ここまで来てもらったかいがありました、よっと!!」
そう言って布をめくり、セルイに魔剣を向け、切りに来た。
それを椅子ごと身体を右に捻りかわすと、セルイは縄抜けの技術で縄から脱出した。
「お見事! さすがですね! 僕はね、嬉しいんですよ! この魔剣ノスフェラトゥが貴方を欲していた! それが今日! 叶うのだから!!」
そう言うと魔剣を握り直し構える南雲に、
(チィトゥィリ・アルージェもクロウダートも没収されている……。どうするか?)
「ああ、下手に抵抗すると、レディ二人がどうなっても知りませんよ?」
「!!」
その言葉にセルイは久しぶりに怒りを感じた。
「あの二人に何かしたのか!?」
ヘラヘラ笑いながら、南雲は言う。
「さて? どうしましたかね? 知りたい? 聞きたい? なら、大人しく斬られてくださいよぉぉぉ!!」
そう言うや否や、襲いかかってくる。それを間一髪でかわしながら、セルイは考える。
(どうする? コイツを殺すのは簡単だけど、そうすると詩音達が危険っス。何か手はないのか!?)
そうやっていた時だった。
「な!? お前らどうやって!?」
南雲の部下達が騒ぎ出した。
「〜! 何事ですか!? 楽しみを邪魔しないでほしいのですが!!」
そう言う南雲の目の前で、部下達が倒れる。
「!?」
「!! 詩音!」
倒れた先にいたのは、捕らえられたはずの詩音とマリだった。
「いつまでも捕まっている私では無いぞ!!」
「全く!! アンタ達無茶ばっかなんだから!!」
二人の登場に、わずかに動揺した南雲は、
「まぁいいでしょう。楽しみはここからです! さあセルイ君!! 殺し合いましょう?」
「!! 仕方ないっスね!」
そう言うと、騒ぎに興じて脱出していたレオンに合図し、チィトゥィリ・アルージェを投げさせる。
受け取るとセルイはボーガンブレードに変形させ、
「さぁて! 殺りますか!!」
向かい二人は、同時に動きだした。




