警察官
ニュースでやっていた事件現場付近まで来ると、セルイが足を止め、近くの建物の影に隠れる。
「何故隠れるんだ?」
詩音の言葉にセルイが言う。
「オレは警察にマークされてるっスからね。下手に現場に行くと、余計に怪しまれるっス。……どうしたものか……。やっぱあの手しかないっスね」
自己完結するセルイに、
「私にもわかりやすく言え! 一体どうすると言うのだ!?」
そう言う詩音に、セルイが頬をかきながら、
「……この姿の方が気に入ってるんスけど。夜になってからオレが一人でここに、本来の姿で来るっス。そんで、血を舐めて来るっス。オーケー?」
「……私はどうしたらいい?」
少し悩む素振りをすると、セルイは、
「詩音にはマリ達の所に行ってほしいっス。何か情報が掴めたかもしれないし。頼むっスよ?」
「! わかった! 任されよう!!」
詩音の元気な声に苦笑いをしながら、セルイはここを立ち去るぞと合図し、二人は現場を後にした。
****
深夜
昼のうちに詩音をマリ達のところへやり、セルイは一人で現場付近までやって来た。
「さてと、本来の姿に戻ってと!」
青年の姿に変わると、セルイはビルの上に飛び、
「さぁて、どこから侵入できそうかな?」
上から眺めると現場には、見張りの警察官が数人いた。
「厳重だな……」
入る隙間がないのを確認すると、セルイはため息をつきながら、
「致し方あるまい。影になるか」
そう言うと、影の中に潜っていく。
数秒で完全に影と一体化すると、セルイはビルを降り、現場である大通りまで来て、そのまま血痕後までやって来た。
(よかった。まだ血は舐めれそうだ)
影から顔だけ出して、道路に付着していた血を舐めると、
(!? コレは!?)
動揺を隠せないまま影の中に潜り、その場を後にした。
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しばらくして、マリの家に着くと、セルイは少年の姿になり、インターフォンを押す。が、応答がない。
「? まさか!」
ドアの鍵を開けると、暗い室内に入って行く。
「詩音! レオン! マリ!」
三人の名前を呼びながら、マリの仕事部屋に入ると、レオンが槍のようなもので串刺しにされて倒れていた。
「レオン!!」
声をかけると、レオンが反応する。
「……すみません。やられました。……犯人は、警察官です。うっ!」
それだけ言うと、レオンはゆっくりと、自分を串刺しにしている槍のようなものを引き抜き、
「……セルイ様」
「わかってるっス。今、血をわけるっスから!」
そう言って、セルイはクロウダートを右腕にやり、軽く切って血を出し、レオンに垂らす。
「おおう! やはり貴方の血は刺激的ですね!」
あまり嬉しくない感想に、微妙な表情をしながら、
「それで? 何があったんスか? 警察官って?」
「それがですね……」
レオンが口を開こうとした瞬間だった。
突然複数の男達が流れ込んで来て、銃口とライトをセルイに向ける。
「動かないでください。警察です。不知火セルイくん? 朝ぶりですね?」
そう言って来たのは、朝に家に来た警察官だった。
「おっと。自己紹介がまだでしたね? 僕は南雲と言います。署までご同行頂けますか?」




