反撃開始
「なるほど。 しかし、まさか逆に攻めようとは⋯⋯」
氏顕が半ば呆れ気味に笑う。
「戦に負けた挙句、兵糧も後詰も無い籠城を強いられる。
敵の士気は最低でありましょうな」
隆顕がそう言って不敵に笑う。
「さて、そろそろ敵が包囲から抜け出る頃じゃ。 城まで先導してもらうとするか」
義顕が相手を馬鹿にして笑う。
「氏顕」
「はっ」
「お主の部隊は隆顕に預けよ。
お主は数名を連れて清顕に詳細を知らせて来い。
その間に儂等は城の包囲を完成させておく」
「かしこまりました。 急ぎ合流し、すぐに参ります」
「頼んだぞ。 さて、儂等は追撃に参るぞ隆顕」
「承知! と言っても付かず離れず追いかけ回すだけでしょうが」
「将なら切り捨てて良いぞ。 この程度の策に引っかかる奴等じゃ、大した奴はおるまい」
「かしこまりました。 では⋯⋯」
隆顕が大きく息を吸い込み、一気に言葉を吐き出した。
「皆の者、追撃じゃ! ただし、兵は出来る限り討たず、城まで追い立てろ!」
「将は討ち取っても構わんが、深追いはするなよ!」
「行くぞ! 儂に付いて参れ!」
「このまま見抜かれぬように速度を調節し、敵が城に入るまでは接敵を極力減らします。
逸る者が出て来ては支障が出るやもしれませぬ故」
隆顕が父にそう耳打ちしたが、自分達が速度配分されている事に気付く者は誰一人いなかった。




