3-1 一か月の距離
【今回の見どころ】
手紙を投函した翌日、期待と緊張を胸にハンバーガーショップへ向かった一雄。
カウンターの向こうの美月から告げられたのは、「一雄さんと呼んでもいいですか?」という言葉だった。
本名とアーティスト名(iti)が彼女の中で繋がり、自らのほうから天気の話を振ってくれた美月。
「美月さんも、僕と同じ気持ちなんだ」
指先が触れた一瞬の余韻に浸り、ノートに『運命は確実に進んでいる』と書き添える一雄。
しかし、その裏で少女たちの防衛線が静かに動き出していることを、彼はまだ何も知らず――。第三章『完全拒絶』、ついに開幕!
【作品紹介】
本作は、noteで「運命の人〜ストーリー〜」として執筆している小説を、小説を読もう!用に投稿しました。
一人の男がバイト先のハンバーガーショップの店員(実は地下アイドル『UVA48』のセンター・美月)への純愛を暴走させ、周囲を巻き込む大騒動へと発展していく、切なくも狂気的な音楽連動型・現実世界恋愛小説です。
【公式連動楽曲】
iti視点ソング『運命の人〜暴走〜』の歌詞世界と完全シンクロ!!
一雄の脳内で運命の歯車が激しく回り出す瞬間を、ぜひメロディと共にお楽しみください!
【2作連動の仕掛け】
主人公「宇場一雄」は、別作品『フーデリオン』の主人公と同一人物です。あちらの作品に登場する「喉に傷があるバイク屋のオヤッサン」の正体とは? そして店に飾られた「一輪の赤い薔薇」の真相とは……?
二つの世界線が交錯する時、本当の『運命』が紡がれます。
【連動楽曲】
YouTube・noteにて順次公開!
①iti視点「運命の人〜暴走〜」
②UVA48視点「運命の人〜完全拒絶〜」
激しく狂おしい音楽の予感を胸にお楽しみください。
(リンクは後書きの下にあります)
【3−1 本文】
手紙を投函した翌日。
一雄は、いつものようにハンバーガーショップへ向かった。
美月に会うためだった。
昨夜、一雄は何度も手紙の内容を思い返していた。
美月さんは、きっと驚くだろう。
でも、きっと喜んでくれる。
自分の部屋の郵便受けに、直接手紙を入れた。
それは、普通の配達員にはできないことだった。一雄は、そう考えていた。
店に到着すると、美月はカウンターの向こうに立っていた。
美月の視線が、一雄の手元に向いた。
「……あの」
「はい」
美月は、少し迷うように尋ねた。
「手紙に、itiって書いてありましたよね?」
一雄の胸が、大きく跳ねた。
「はい」
「itiさんって……配達員の宇場一雄さんと、同じ人なんですか?」
一雄は、一瞬だけ黙った。
そして、ゆっくりとうなずいた。
「はい。一雄が本名で、itiはステージ名です」
「そうだったんですね」
美月は、配達員の名前が店舗端末に表示されていたことを思い出した。
注文を受けたとき、配達担当者の名前が画面に表示される。
そこには、宇場一雄と書かれていた。
ただの配達員だと思っていた相手が、手紙の差出人であるitiと同じ人物だった。
美月は、その事実を確認するために、一雄へ尋ねた。
「では……一雄さんと呼んでもいいですか?」
一雄から、返事がなかった。
美月が、少し不安そうに顔をのぞき込む。
「……一雄さん?」
「はひっ!?」
一雄の声が、少し裏返った。
「だ、大丈夫です。もちろんです!」
一雄は、慌てて答えた。
名前を呼ばれた。
しかも、笑顔で。
昨夜の手紙を読んだのだ。
美月さんは、僕の気持ちを受け止めてくれた。
一雄は、そう確信した。
「今日は、いつものご注文ですね」
「はい」
美月は、注文内容を確認しながら、いつもよりゆっくり話していた。
商品を袋に入れ終わっても、すぐには手渡さなかった。
「今日は、雨が降りそうですね」
「そうですね」
「配達、大変じゃないですか?」
「大丈夫です」
一雄は答えながら、心臓の音を聞いていた。
美月のほうから、天気の話をしてくれた。
配達の心配までしてくれた。
これは、もうただの接客ではない。
一雄には、そう思えた。
「それでは、気をつけてくださいね」
美月が、商品を差し出した。
その指先が、一雄の手にほんの少し触れた。
一雄は、動けなくなった。
美月も、少しだけ目を伏せた。
一雄には、それが恥ずかしがっているように見えた。
「ありがとうございます」
一雄は、商品を受け取った。
店を出てからも、しばらくバイクに乗ることができなかった。
ヘルメットの中で、一人つぶやく。
「美月さんも、僕と同じ気持ちなんだ」
その日の夜。
一雄は、ノートを開いた。
新しいページの中央に、大きな文字で書いた。
『美月さんの態度が変わった』
その下に、今日の出来事を書き並べていく。
名前を呼ばれた。
笑顔を向けられた。
天気を心配された。
指先が触れた。
一雄は、最後に一行を書き加えた。
『運命は、確実に進んでいる』
その頃、美月はUVA48のメンバーと連絡を取っていた。しかし、一雄がその内容を知ることはなかった。
翌日も、美月は一雄に笑顔で挨拶をした。
それだけで、一雄には十分だった。
その笑顔は、昨日より少し長かった。
少なくとも、一雄にはそう見えた。
【3-2へ続く】
第8話をお読みいただきありがとうございました!
明日の同じ時間に、第9話「3-2 近づく距離」を投稿予定です。お楽しみに!
少しでも面白いと思ってくださったら、ページ下部の【☆☆☆☆☆】でのポイント応援や、ブックマーク登録をぜひよろしくお願いいたします!
【主題歌のお知らせ!!】
主題歌は2つ 別々の視点から作詞しました!
①iti「運命の人〜暴走〜」
②UVA48「運命の人〜完全拒絶〜」
アプリから閲覧している方はお手数ですが
YouTube・noteから「なおパパ」で検索をお願いします!!
▼▼▼このアイコンが目印▼▼▼
サイトから閲覧している方は
▼▼もっと下に楽曲・noteリンクがあるよ▼▼




