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8/22

3-1 一か月の距離

挿絵(By みてみん)


【今回の見どころ】


手紙を投函した翌日、期待と緊張を胸にハンバーガーショップへ向かった一雄。

カウンターの向こうの美月から告げられたのは、「一雄さんと呼んでもいいですか?」という言葉だった。

本名とアーティスト名(iti)が彼女の中で繋がり、自らのほうから天気の話を振ってくれた美月。

「美月さんも、僕と同じ気持ちなんだ」

指先が触れた一瞬の余韻に浸り、ノートに『運命は確実に進んでいる』と書き添える一雄。

しかし、その裏で少女たちの防衛線が静かに動き出していることを、彼はまだ何も知らず――。第三章『完全拒絶』、ついに開幕!



【作品紹介】


本作は、noteで「運命の人〜ストーリー〜」として執筆している小説を、小説を読もう!用に投稿しました。



一人の男がバイト先のハンバーガーショップの店員(実は地下アイドル『UVA48』のセンター・美月)への純愛を暴走させ、周囲を巻き込む大騒動へと発展していく、切なくも狂気的な音楽連動型・現実世界恋愛小説です。


【公式連動楽曲】

iti視点ソング『運命の人〜暴走〜』の歌詞世界と完全シンクロ!!

一雄の脳内で運命の歯車が激しく回り出す瞬間を、ぜひメロディと共にお楽しみください!


【2作連動の仕掛け】


主人公「宇場一雄」は、別作品『フーデリオン』の主人公と同一人物です。あちらの作品に登場する「喉に傷があるバイク屋のオヤッサン」の正体とは? そして店に飾られた「一輪の赤い薔薇」の真相とは……?


二つの世界線が交錯する時、本当の『運命』が紡がれます。



【連動楽曲】

YouTube・noteにて順次公開!

①iti視点「運命の人〜暴走〜」

②UVA48視点「運命の人〜完全拒絶〜」



激しく狂おしい音楽の予感を胸にお楽しみください。


(リンクは後書きの下にあります)

【3−1 本文】


手紙を投函した翌日。

一雄は、いつものようにハンバーガーショップへ向かった。

美月に会うためだった。


昨夜、一雄は何度も手紙の内容を思い返していた。

美月さんは、きっと驚くだろう。

でも、きっと喜んでくれる。


自分の部屋の郵便受けに、直接手紙を入れた。

それは、普通の配達員にはできないことだった。一雄は、そう考えていた。


店に到着すると、美月はカウンターの向こうに立っていた。


美月の視線が、一雄の手元に向いた。

「……あの」

「はい」


美月は、少し迷うように尋ねた。

「手紙に、itiって書いてありましたよね?」


一雄の胸が、大きく跳ねた。

「はい」

「itiさんって……配達員の宇場一雄さんと、同じ人なんですか?」


一雄は、一瞬だけ黙った。


そして、ゆっくりとうなずいた。

「はい。一雄が本名で、itiはステージ名です」

「そうだったんですね」


美月は、配達員の名前が店舗端末に表示されていたことを思い出した。

注文を受けたとき、配達担当者の名前が画面に表示される。


そこには、宇場一雄と書かれていた。


ただの配達員だと思っていた相手が、手紙の差出人であるitiと同じ人物だった。

美月は、その事実を確認するために、一雄へ尋ねた。


「では……一雄さんと呼んでもいいですか?」


一雄から、返事がなかった。

美月が、少し不安そうに顔をのぞき込む。


「……一雄さん?」


「はひっ!?」

一雄の声が、少し裏返った。


「だ、大丈夫です。もちろんです!」

一雄は、慌てて答えた。


挿絵(By みてみん)


名前を呼ばれた。

しかも、笑顔で。


昨夜の手紙を読んだのだ。

美月さんは、僕の気持ちを受け止めてくれた。

一雄は、そう確信した。


「今日は、いつものご注文ですね」

「はい」


美月は、注文内容を確認しながら、いつもよりゆっくり話していた。

商品を袋に入れ終わっても、すぐには手渡さなかった。


「今日は、雨が降りそうですね」

「そうですね」

「配達、大変じゃないですか?」

「大丈夫です」


一雄は答えながら、心臓の音を聞いていた。

美月のほうから、天気の話をしてくれた。


配達の心配までしてくれた。

これは、もうただの接客ではない。

一雄には、そう思えた。


「それでは、気をつけてくださいね」

美月が、商品を差し出した。


その指先が、一雄の手にほんの少し触れた。

一雄は、動けなくなった。

美月も、少しだけ目を伏せた。

一雄には、それが恥ずかしがっているように見えた。


「ありがとうございます」

一雄は、商品を受け取った。


店を出てからも、しばらくバイクに乗ることができなかった。


ヘルメットの中で、一人つぶやく。

「美月さんも、僕と同じ気持ちなんだ」


その日の夜。

一雄は、ノートを開いた。

新しいページの中央に、大きな文字で書いた。

『美月さんの態度が変わった』


その下に、今日の出来事を書き並べていく。


名前を呼ばれた。

笑顔を向けられた。

天気を心配された。

指先が触れた。


一雄は、最後に一行を書き加えた。

『運命は、確実に進んでいる』


その頃、美月はUVA48のメンバーと連絡を取っていた。しかし、一雄がその内容を知ることはなかった。


翌日も、美月は一雄に笑顔で挨拶をした。

それだけで、一雄には十分だった。


その笑顔は、昨日より少し長かった。

少なくとも、一雄にはそう見えた。



【3-2へ続く】

第8話をお読みいただきありがとうございました!

明日の同じ時間に、第9話「3-2 近づく距離」を投稿予定です。お楽しみに!


少しでも面白いと思ってくださったら、ページ下部の【☆☆☆☆☆】でのポイント応援や、ブックマーク登録をぜひよろしくお願いいたします!


【主題歌のお知らせ!!】

主題歌は2つ 別々の視点から作詞しました!

①iti「運命の人〜暴走〜」

②UVA48「運命の人〜完全拒絶〜」


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挿絵(By みてみん)


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