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【主題歌付き小説】『運命の人』魂のラブレターを運命のアイドルに直接届けたらストーカー対策会議の議題にされた件〜遊園地デートの日に彼女が夜逃げした理由〜  作者: なおパパ
第三章 完全拒絶

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15/22

3-8 月の下の手紙

挿絵(By みてみん)


【前回の振り返り】


もぬけの殻となった美月のマンションを後にし、閉店間際のハンバーガーショップへと滑り込んだ一雄。


しかしそこに彼女の姿はなく、代わりに手渡されたのは『一雄さんへ』と書かれた白い封筒。


パニックを起こす脳を必死に宥めながら、一雄は手紙を抱え、二人の運命が始まったあの場所へと向かう――。




【作品紹介】


本作は、noteで「運命の人〜ストーリー〜」として執筆している小説を、小説を読もう!用に投稿しました。



一人の男がバイト先のハンバーガーショップの店員(実は地下アイドル『UVA48』のセンター・美月)への純愛を暴走させ、周囲を巻き込む大騒動へと発展していく、切なくも狂気的な音楽連動型・現実世界恋愛小説です。


【公式連動楽曲】

iti視点ソング『運命の人〜暴走〜』の歌詞世界と完全シンクロ!!

一雄の脳内で運命の歯車が激しく回り出す瞬間を、ぜひメロディと共にお楽しみください!


【2作連動の仕掛け】


主人公「宇場一雄」は、別作品『フーデリオン』の主人公と同一人物です。あちらの作品に登場する「喉に傷があるバイク屋のオヤッサン」の正体とは? そして店に飾られた「一輪の赤い薔薇」の真相とは……?


二つの世界線が交錯する時、本当の『運命』が紡がれます。



【連動楽曲】

YouTube・noteにて順次公開!

①iti視点「運命の人〜暴走〜」

②UVA48視点「運命の人〜完全拒絶〜」



激しく狂おしい音楽の予感を胸にお楽しみください。


(リンクは後書きの下にあります)



【3-8 本文】


一雄は、店を出た。


手には、美月から渡された白い封筒。


もう片方の手には、遊園地から持ち続けている一輪の薔薇。


薔薇は、すっかり元気を失っていた。


それでも、一雄は手放さなかった。


美月に渡すまでは、捨てるわけにはいかなかった。


店を出てからも、一雄はしばらく動けなかった。


美月は、もうこの店にいない。


先日、退職した。


住んでいた部屋からも、引っ越した。


そして、遊園地にも来なかった。


何が起きているのか、分からなかった。


手紙を受け取った。


美月が、自分に宛てて書いた手紙。


それだけは分かっている。


一雄は、封筒を見つめた。


今すぐ開けて読みたい。


しかし、指が動かなかった。


「……美月さん」


呟いても、返事はない。


店の中から、厨房の音が聞こえていた。


誰かの話し声も聞こえる。


けれど、一雄には、すべてが遠くに感じられた。


一雄は、ゆっくりと歩き始めた。


駅へ向かう。


走ることはできなかった。


足に力が入らない。


胸の奥が重く、何かを考えようとすると、頭の中が白くなった。


美月は、なぜいなくなったのか。


なぜ、今日の遊園地に来なかったのか。


なぜ、手紙を書いたのか。


考えようとしても、答えは何も浮かばなかった。


駅に着くまで、いつもの何倍も時間がかかった。


改札を抜け、ホームへ向かう。


電車が到着した。


一雄は、周囲の人の流れに押されるように車内へ入った。


座席が空いていた。


しかし、一雄は座らなかった。


ドアの近くに立ったまま、白い封筒を握りしめていた。


車内の明かりが、封筒を白く照らしている。


表には、短い文字が書かれていた。


『一雄さんへ』


その文字を見つめるたびに、胸が苦しくなった。


美月が、自分の名前を書いた。


それだけで、一雄は手紙の中に希望を探そうとした。


きっと、遊園地に来られなかった理由が書かれている。


きっと、急な用事があったのだ。


きっと、何か困ったことが起きたのだ。


きっと、美月は自分に会いたいと思っている。


一雄は、そう考えようとした。


しかし、その考えすら、どこか遠かった。


電車が駅に到着する。


一雄は、ゆっくりとホームへ降りた。


そこから、美月のマンションまでは歩いてすぐだった。


けれど、一雄の足取りは重かった。


何度も立ち止まりそうになりながら、マンションへ向かう。


やがて、見慣れた建物が見えてきた。


美月が住んでいたマンション。


一雄にとって、二人の運命が始まった場所。


あの雨の日。


一雄は、ここへ配達に来た。


そして、夜。


美月と再び出会った。


一雄は、その場所で運命を確信した。


マンションの前に着く。


辺りはすっかり暗くなっていた。


空には、月が浮かんでいる。


一雄は、建物を見上げた。


美月の部屋があった場所には、もう明かりがない。


表札もない。


郵便受けからも、美月の名前は消えている。


それでも、一雄はその場を離れなかった。


ここで読もう。


美月の手紙は、ここで読むべきだ。


二人の運命が始まった場所で。


一雄は、マンションの前に立ったまま、封筒を見つめた。


そして、ゆっくりと封を開けた。


中から、便箋を取り出す。


月明かりの下で、便箋を広げた。


美月の文字が並んでいる。


一雄は、黙って読み始めた。


一行目。


二行目。


その先へ。


読み進めるにつれて、一雄の表情が少しずつ変わっていった。


手紙を持つ指が震える。


何度も目を止める。


何度も、同じ行を読み返す。


それでも、一雄は最後まで読み続けた。


風が吹いた。


便箋の端が揺れる。


一雄は、両手で紙を押さえた。


その瞬間、視界がぼやけた。


涙がこぼれた。


一滴。


また一滴。


便箋の上に落ちた涙が、文字をにじませていく。


一雄は、手紙を胸に押し当てた。


「……美月さん」


声が震えた。


返事はない。


マンションの中からも、何の物音も聞こえない。


一雄は、手にしていた一輪の薔薇を見つめた。


花びらは、すっかり下を向いていた。


それでも、一雄は薔薇を捨てなかった。


手紙と薔薇を抱えたまま、ゆっくりと空を見上げる。


月が、静かに浮かんでいる。


人通りのある道だった。


車が通り過ぎる。


誰かの話し声も聞こえる。


それでも、一雄には何も届かなかった。


ただ、涙だけが頬を流れていく。


一雄は、月に向かって声を上げた。


挿絵(By みてみん)


「美月さん……!」


返事はなかった。


「美月さん……!」


もう一度、名前を呼ぶ。


それでも、返事はない。


一雄は、手紙と一輪の薔薇を抱えたまま、月を見上げて泣き続けた。


二人の運命が始まった場所で。


```


【第三章 完全拒絶 〜完〜】

【第四章 4-1へ続く】


第三章『完全拒絶』をお読みいただきありがとうございました!

これにて、一雄の歪んだ純愛の暴走編が一度幕を閉じます。


【次回の見どころ 毎日18時頃更新予定】


第17話 第四章「完全拒絶作戦」

4-1「7人の作戦会議」


物語は、あの絶望の夜から「一か月前」の過去へと巻き戻る――。


なぜ彼女は急に優しくなったのか? なぜ自分を遊園地へ誘ったのか?


ハンバーガーショップの閉店後、UVA48の少女七人が白いテーブルを囲んで冷酷に策定した、前代未聞の『完全拒絶作戦』の全貌。


新章・第四章、衝撃の開幕!絶対にお見逃しなく!




少しでも面白いと思ってくださったら、ページ下部の【☆☆☆☆☆】でのポイント応援や、ブックマーク登録をぜひよろしくお願いいたします!


【主題歌のお知らせ!!】

主題歌は2つ 別々の視点から作詞しました!

①iti「運命の人〜暴走〜」

②UVA48「運命の人〜完全拒絶〜」


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挿絵(By みてみん)


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