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04.カメラ係

「――それではレイカさんとリュージさんは記録係でお願いします」


 夏休みが終了し、記憶から抹消されていたがいつの間にか文化祭の時期になってしまった。


 美人だが性格きつそうな委員長のよく通る声に呼ばれて居眠りから目を覚ますと、なぜか妹のおまけとして実行委員会の記録係になっていた。顧問の教師は二日酔いでつぶれている。


「成績が悪い兄さんの点数を少しでも稼がせてあげようという優しさですがうれしいですか?」


「同じ優しさなら働かせず甘やかすという方がうれしいのだが」


 俺は働きたくなど無いのだ。


「何言ってるんですかこのゴミは」


 腐った生ゴミを見るような目で言われてしまった。



「開催中は監視のため常に行動を共にする予定なのでサボれないですからね?その代わり休憩時間は報酬としてわたしと一緒に見て回りましょうか。ほかに一緒に文化祭を楽しむ女の子がいなくて寂しいでしょうし」


「一緒に楽しむ女の子どころか基本友達いないしな……。友達と遊ばずに兄を構ってくれる気づかい上手の優しい妹を持ってお兄ちゃんは幸せだよ」


「……そうですか」


 なぜか顔を背けられてしまった。



 ちなみに俺が写真、レイカは動画係。妹と写真を撮るだけのかんたんなおしごとかもしれない。


 ――とりあえず妹の写真をめっちゃ撮っておこう。



 ◇  ◇


 文化祭当日。オープニングの打ち合わせのため妹と会議室へ向かってる途中、窓の外に一瞬顔はよく見えなかったがヨレヨレTシャツ姿の怪しい男が見えた。


「なあ。今表に変なおっさんみたいなのいなかった?」


「見えませんでしたが……。恐らくどこかのダメ教師がサボっているのでは?」


「……それはありそう」


 うちのハゲ担任はよくサボるからなあ。婚活パーティ翌日はだいたい二日酔いでつぶれてるし。

 せっかく貸与されたカメラを持っているからサボり現場でも撮っておこうかと思ったが姿が見えなくなったので放っておいて会議室へ向かうのだった。



――――


 打ち合わせ中、トイレに行きたくなり会議室を抜け出し用を足したので戻っているとさっき窓から見えた怪しい男がなぜか廊下に立っていた。


(やっぱり怪しいし侵入者か?あんまり関わりたくないしとりあえずこいつで証拠写真でも撮っておいて会議室に着いたら通報しよう)


 そう思いおもむろにカメラを向けシャッターを押したところフラッシュを炊いてしまい男に気付かれてしまった。


「――てめぇ、何やってんだ?」


「ふ、ふひぃ……」


 男は気付かれる前とうって変わって獰猛な獣のようになった顔を向けてきたのでつい変な声が出てしまった。

 もしこいつと戦闘になったら武器は鉛筆しかねえからやられる気しかしない。

 とりあえず全力で逃げてみんなに知らせつつ通報しよう。



――――


 なんとか追いつかれること無く会議室に到着し、委員長や顧問を含め15人ほどに怪しい男についての事を伝え、念のため扉を封鎖するように指示した。


 その間携帯電話で急いで職員室と警察に通報し、いざというときのために武器を探した。

 ハサミやカッターくらいしか無く、あとは椅子とか投げつけてなんとかなるかな?と考えていたところ、封鎖した扉の向こうからさっきの男の叫び声が聞こえた。


「怪しい者じゃない!ただのOBで招待された者だから通報はやめてくれ!」

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