05.逃走
「怪しい者じゃない!ただのOBで招待された者だから通報はやめてくれ!」
扉の向こうにいる男の言葉に部屋内の皆が、
(なんだそうか~)
と安堵して扉を開放しようとするが、俺はなんだか首の後がチリチリするような嫌なことが起こる前兆を感じた。
(……もしあの男が嘘をついていて、実は凶悪犯罪者だったら?)
こういう状況だとより悪い方に考えてしまうが、用心するに越したことはないだろう。
「ちょっと扉を開けるのは待て!!」
「えっ、OBだったら別にいいじゃん?」
広報のチャラい男子生徒がお気楽に言う。こいつ、簡単に信用しすぎだろ。
「そもそも本当にOBかわからないしこの部屋に向かってきた意味がわからん。あと顔がやばいやつだったし」
「今、とても珍しく兄さんが一理ある事を言いました。……ですが、顔については人の事を言えないのでは?」
「上げてから落とすのやめてくれない?!ていうか上げてるときも貶してない?」
「気のせいですよ」
その目はやっぱり貶していたな?
(……妹よ、なんだか非常に嫌な予感がするんで窓から逃走しようと思うんだが……どうだ?)
周囲に聞こえないよう耳打ちした。
(どうだ?とは一緒に来いということですか?)
(そうだ。こんなところにいられるか!俺はドロンさせてもらう!)
(仕方ないですね。良いですが死亡フラグを立てるのは止めてください)
(この逃走に全てを掛ける……!)
(はぁ……)
「――というわけで外に行って人を呼んでこようかと思うんだが、他に誰か行く人いない?」
「そんな大したことでもないでしょうから勝手に行っていいわ。ただ、わかってるでしょうけど集合時間までには必ず戻るのよ?」
委員長が呆れたように言う。もしかしてサボりたさが滲み出ているのかもしれない。
とりあえず俺達は窓から外へ飛び出し最寄りの交番やら店に行ってみることにした。(※この部屋は1階です)




