椅子の評価
アン:子ども椅子は著作物じゃないって判決が出たらしいよ。椅子は作品とは呼べないのかな。
ホウ:ニュースをテキトーに聞きかじるのは失敗の素だよ。子ども椅子だから著作物じゃない、ではなくて、実用目的の機能とは別に創作性があれば著作物にあたる、が、意匠権とのかねあいで著作権が認められるのは例外的、で、今回の子ども椅子の場合は著作物にはあたらない、という判断みたいね。
アン:今回の子ども椅子は、有名なデザイナーがデザインしているって話だったよ?残念ながら知らないけど。
ホウ:デザイナーが作れば著作物って訳じゃないらしいよ。創作性が認められるかどうかがポイントで、今回のは意匠権の方で保護することを考えるものみたい。
アン:あれ?意匠権があるのに著作権の方を主張したのはどうしてなの?
ホウ:保護期間が違うからじゃないかな。意匠権の方が早く他の人も自由に真似できるようになるし。
アン:たまたま似ただけで真似してない、見て作ったわけじゃないしって言われたらどうなるの?
ホウ:今回のようなケースだと、真似されたと言ってる方の創作性、つまり個性が表れているかどうかで、個性がないから創作性が否定されて著作物とは言えない、と判断される要因になるのでしょうね。
アン:同じ業者だから見聞きしていたはずだって言われたら?
ホウ:誰でも思いつくようなものだから個性がない、って言い返されるのだろうね。
アン:あれ?そしたら真似され放題なんじゃないの?
ホウ:だから、特許庁に早い者勝ちでデザインを登録して、25年間は真似したり類似品を作ったりできないようにするの。それが、意匠権で保護するってこと。
アン:意匠権は25年なのか。だから、著作権の70年の方が良いなって思ったってこと?
ホウ:争った動機を簡単に推測すると、きっとそういうことでしょうね。意匠権なら期間がもう切れているから、もし真似してなかったとしても類似品だからダメ、とは言えなくなってしまう。
アン:著作権が認められるようなデザインってどんなのだろうね。
ホウ:裁判で認められる具体例が出てこないと判断は難しいけど、実用品なら、だれも思いつかないような個性的なものであることが必要なのでしょうね。
アン:便利なものは、同じジャンルの作り手同士なら簡単に思いついたと言われてしまうのかも?思いつかないってことは、むしろ、変なもの?!
ホウ:うーん、不便が混じっているから他の人は思いつかないはずだってのは、なんかデザインの価値をある意味で根底から否定することにもなるのかも?
アン:不便だと、普通は売れないよね、、、
ホウ:そう、売れなければデザイナーとして評価されない。工業デザインって、難しいね。
アン:著作物ではないと作品とは呼ばれないとすると、かなり悩ましいね。
ホウ:そう言えば、誰かと、作品か成果物かって話をしていたみたいね。アンさんの感覚だと、工業デザインは成果物ってことになるの?
アン:どうなんだろう?意匠権も感性を表したもののような気がするから作品のような気がするし、でも頭を使ってそうだから成果物のような気もするし、ますます分からなくなってきたかも。
ホウ:アンさんの定義って面白いね。自分で考えたの?
アン:そう。あの時ちょうど、小説は作品か成果物かで悩んでたからいろいろ考えた。使い分けのルールって実在するの?
ホウ:法律ではっきり定義されているわけではないね。意匠自体は、視覚を通じて美観を起こさせるもの、という定義があるけど。
アン:美観って言われちゃうと作品のような気がしてくるかも。でも、その辺のチェーン店で買った大量生産の服が作品かと言われると、やっぱり悩むかも。社内の審査に勝ち残って製品化されたものを作った人にとっては、作品かもしれないけど。




