コーヒーは嗜好性が高い。2
かなり田舎の方だから、別に立派な門が〜とかってのはないんだけど、防犯意識は大丈夫かしら。
顔パスならぬ、馬車パスでグラビエル領内に入れちゃったわよ?
子爵が通す様に言ってくれたのかな?
でも名乗りさえしなかったけどね、我々。
紋章を過信し過ぎてはいかんよ。一応名乗らせよう、大事。
「お待ちしておりましたよ、シルヴィア嬢」
「あらっ? グラビエル卿ではありませんか!
何故こちらに、、、本日は代理の方では? 」
王都の仕事はどうしたの?
領主代理の方が対応して下さると聞いていたけど……。
「ええ、もちろん今後は、当家のビクターが代表になって、栽培にあたりますが、進捗が気になったものでね。初回だけ来させてもらいました。
それに、ご挨拶もしたかったですしな」
「まあ、そうでしたか。
私も卿と一緒に見る事が出来るなんて、嬉しいですわ。
卿と領民の皆様が快く受け入れて下さって、私とても感謝しておりますの。ですから必ず成功させましょう」
「いや、慎重に検討と言いますか、熟考するつもりだったんだが、相談役もビクターも即決でしたからな。
まさかこんなに、トントンと話が進むとはビックリですよ」
そうなのだ。
グラビエル邸に押しかけた3日後くらいに、ロベルトさんをやったのだけど。
まさかの即日OK。
ロベルトさんの話では、説明を始める前から答えは決まっていた様子で、チョロかっ……楽だったらしいわ。
「では、ビクター様と相談役の方にはお礼をしませんと。うふふ」
「ハッハッハ、参りましたな。私の部下を引き抜かれてしまいそうだ」
冗談のつもりだろうけど、おや鋭い。
なくはないですね。
求める人材にピッタリだったら、全力でスカウトするかも。
悪役みたいな言い方をしてしまえば、アレよ。
子爵家と公爵家だったら比べ物にならないじゃない。権力が。
頂戴って言えば、渡すしかないわよね。
まー、そんな事しないけど。
私、いい子だから。
ん? 今リアムから冷たい視線が…。
いいじゃない、ちょっとくらい。
まずはコーヒー農園予定地の3ヶ所を見せてもらった。
結構広いわ。
これなら初動分は賄えそう。
「(コソッ)ねぇ、この豆しっかり育ちそう? 」
「大丈夫〜」「ココのこたちもぉちゅくるって」「どれくらい生やす? 」「もう実をつけていいのぉ〜」
精霊達、協力は有り難いけどやり過ぎ厳禁よ。
ちょっとだけ成長を早くして、たくさん実って、良質で、害虫に強い。そんなコーヒーの木にして欲しいだけなの。
あれ…コレってアウトかしら。
害虫が1番怖いから、それだけに絞った方が良いかも?
「(コソッ)ダメよ。まだ植えてもいないんだから。
あと、はじめまして。あなた達がココの子よね」
「うん」「シルヴィーまってたぁ」「ずっとココいるのぉ」
「(コソッ)これからお世話になるから、よろしくね。
お家に帰らないといけないから、ずっとはムリだけど、定期的に来るわ」
「え〜」「ずっとじゃないの」「かえっちゃいやぁ」
「(コソッ)ん〜可愛いっ。
ごめんね、その代わりお土産たくさん持って来たのよ」
ヴェルトハイムよりも、きゅんきゅんするっ。
違いは何⁉︎
フォルムは同じ様に見えるけど―――
「むぅ」「シルヴィア、なんでボクにはお土産ないのっ」「おみやげぇ〜」「ずるいぃ」
・・・・。コレか。この差なのか。
純度というか、図々しい? 気がするわ。
オーベロン様が甘やかすからよ。
いや違うな。オーベロン様の真似をしてるんだわ。
あの人、どれだけ我が儘言っても文句言われないから。
やあねー。
「しぃる〜ゔぃあぁ! ほしいっ」「おみやげ」「ねぇちょうだいよぉ」
まったく、この子達は!
「(コソッ)これはよそ様の土地にお邪魔するから、渡すの。
帰ったらいくらでも飲めるでしょ? 」
「しぃ〜るぅ」「欲しい! 」
やめてよ、グラビエル領の子達が若干引いてるじゃない。
恥ずかしい。
「仕方ないわね。蒸留水とおやつ両方作ってあげるわ(ダメに決まってるでしょ、静かにしない)」
「?? 」「わーい」「だいすきぃ〜」
注意されて喜ぶなんて、いよいよオツムが弱すぎるぞ。
勉強でもさせようか。
ちょんちょん
「ん? 」
「シルヴィア、お顔と言葉があってないの」「ふしぎ」「いいなぁ、ヴェルトハイムの子はぁ」「私もしるゔぃあといっちょがいい」
・・・げっ。
どんなに我が儘でも結局可愛いから、つい本能が理性を上回ってしまったわ。
恐ろしい子達っ!
まあ作りますけど、いっぱい作りますけども!
「え〜と、シルヴィア嬢どうされました?
ジュースとお菓子をご用意しましょうか? 」
――― !? !? !?
うそ、普通に喋っちゃった!
oh〜子爵と領主代理の方の目が彷徨ってる。
完全に独り言だと思われたよ、変な子認定受けたよ。今。
「あっ、いえ! 違いますのっ!
そう、お菓子も作りたいわと思って!
コーヒー味の! お、おほほ」
「ほう、お菓子にもなるのですか。
それなら子供にも需要があるかもしれないですな」
「ええ、きっと。
ほろ苦さが子供から大人まで楽しんで頂けますわ〜、たぶん」
「さすがですな、そこまで見越しておられるとは」
すみません。特に考えてませんでした。
なんか、ごめんなさい。
「へ〜、眠気覚ましに気に入ってたけど、お菓子も出来るんだぁ。
ねっ、今度作ってよ」
「あ、はい」
「(タメ口?)ところで、そちらの方は? 」
やだ紹介するの忘れてた。
「申し訳ありません。ご紹介が遅れましたわ。
こちらロイド・フォン・ユースルン様です。
コーヒー豆を販売するにあたって、機材の開発をお願いしております」
「どうも」
「ゆっユースルン家? ユースルン侯爵の御子息の」
「「ええ(うん)」」
あら、固まっちゃったわ。
子爵はポカーンとしてるし、ビクターさんは冷や汗かいてる。
「(てっきり商会の人間かと油断した! 侯爵家の者に挨拶もせず、蔑ろにしてしまったではないかっ‼︎ )
こっこれは、ロイド殿! 挨拶もなく、申し訳ない。
ユースルン家まで事業に関わっているとは…ハハッ。
シルヴィア嬢もお人が悪い。シルヴィー化粧品と当家だけかと」
「(侯爵家の方を放置するとは、四大公爵家からすれば気にもかからんと言う事ですか?
ああ、こんな方を今後相手にしないといけないだなんて!
私には無理です! 旦那様!
きょとん、としてますよ彼女! 分かってませんよ、あのご令嬢)」
「いえ、ロイド様は個人で協力して下さっているので、今のところグラビエル家と私共だけですわ」
「まさか、こんなに魅力的な話なのにですか? 」
「んー機械作るとしか言ってないから、問題ないんじゃない? 」
「「「え゛っ」」」
ちょ、聞いてないわよ!
自由にして良いって、許可もらったって言ったじゃない。
詳しく説明してないとは予想してたけど、まさか本当に何も言ってなかったの⁉︎
専属云々の話じゃないよ? それ以前の問題だわ、絶対ユースルン卿の信用度ゼロ決定。
「え、シルヴィア嬢まで驚かれてませんか?
大丈夫なんですか、これ」
ビクターさん、口を開いたと思ったら、めっちゃ早口ですね。
いや分かりますけども。ヤバいですよね、ロイド。
「だ、大丈夫ですわ。
大丈夫なんですよね、ロイド様。ね゛」
「うん」
「「(不安だ)」」
「ほらっ、ロイド様もこう仰ってますし」
「別に気にしなくて良いよー。
オレ、長子じゃないから爵位継がないし」
「いや、そういう問題では……うん? ユースルン侯爵のロイド…どこかでーーぁ」
「「(変人で有名な、あのロイドかっ‼︎ )」」
更新お待たせしております。
次回はいよいよ、コーヒー栽培開始です。




