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転生者仲間と正体。6


ジーっと説明を求めるジーモ

ジーっと戸惑いを隠せないランドルフ

ジーっと冷めた笑みのエリオット


いや、1人だけ違うのよ。

ローレヌ兄弟は理解出来る。

その視線は当たり前だと思う。

エリオットは何で。

何に怒ってるの?

事前に説明したじゃない。後が怖いから。

オーベロン様に協力してもらったのも知ってるでしょ?

その話は、一旦落ち着いたんじゃなかったの。

私、何やらかしましたか。

誰か教えて。



「え〜っと、皆様。夕食、食べて行かれます? 」


「その前にジーモに説明してあげたら」


「私にも説明してくれないか。

君は知っていたんだね、エリオット。

兄さんは何も言ってくれないし、私だけが知らなかったのか」



すみません。

しょんぼりランドルフも萌えます。

エリオットが知ってたのがショックだったと解釈して宜しいでしょうか。

エリオットとランドルフ(わたし)の仲なのに! 的なアレですか。

美味しい。とってもオイシイです。

その場合、どっちが右? やはりここはラン……



「ん゛んっ。お嬢様」


「ハッ、失礼。

そうですね。ご説明致しますわ。

あ、テレサ様は客室で休んで頂いているのでご安心を」



まずは、突然の非礼をお詫びしてからあらましを話した。

もちろん、ゲームについては全て伏せた。


「ランドルフ様からジーモ様のお話を聞きまして、何かお手伝い出来ないかと思いましたの。

そうしたら、テレサ様の事を小耳に挟みましたので、

子供だからサクッと攫って来ちゃえば良いのでは!と、独断で行動しました。申し訳ありません。

誓って、ローレヌ公爵家やグラビエル子爵家とコトを構えようと言う考えはございません。

もちろん、父も関与しておりません」


「……色々と聞きたい事だらけだが、母については礼を言う。

しかし、君の行動は愚かだったと思わないか?

運良く逃れたが、他家に伝わらなくとも、三家の関係に影響がない訳がない。

例え、子供心の善意だったとしても」


「はい、ごもっともです」


「はあっ。いや、すまない。

責めたいわけじゃないんだ。

ただ、アレンの妹である君に、()()()()と思ったら申し訳なくて」



困った様な、喜んでる様な、何とも言えない表情で、

私の頭をポンと撫でたジーモは今、何を考えているんだろう。

私が私の為に、我が儘で起こした行動はひょっとして、

たくさんの人を困らせてしまうのだろうか。

フラグにも、兄弟の為にもなると思ったのに。



「まあ、そう怒らないでやってくれ。

シルヴィアは、グラビエル卿が黙って令嬢を差し出すように、新事業の利権の一部を渡した。

僕の婚約者にここまでさせたんだ。

ガルン公は自分で対処すべきじゃないか、ジーモ」


「ええ、分かってますよ。殿下」


「兄さん……」


「ランドルフもだよ。

今まで誰も教えてくれなくて苦しかっただろう。

だから君は知らずにいれた。

大人達が知らなくて良いからと、隠してきたからね。

これからサラ夫人の事は君が守るんだ。

家族を守りたいなら」



意外。

彼等も被害者なのに、厳しい事を言うのね。

これが将来上に立つ者の違いかしら。

でも、少し悲しいわ。

まだ14歳の口から出る言葉が、、、

情けないわ。本当は私の方がずっと年上なのに、私はみんなを巻き込んで庇ってもらっているだけ。

エリオットには嫌な役回りまでさせた。



「ごめんなさい」


「「「シルヴィア(嬢)?? 」」」


「私、勢いで何とかなると思ってしまって。

っごめんなさい」


「シルヴィア、大丈夫だよ。実際何とかなったんだ(というかさせる)。

ロベルトに今日の事だって伝えなきゃならないだろ?

落ち込んでる暇なんてないはずだ。

君のお父様にだって、テレサ嬢の事伝えなきゃ」


「エリオット様」


「くすっ、ほら笑って。

シルヴィアは良く頑張った。僕が一緒に怒られてあげる。

んー、でも公はきっと褒めるんじゃないかな? 天使だって」



ひ、否定出来ない。

お兄様だったら、絶対褒める。

お父様も私に関してはダメ人間になってしまうから。

大丈夫かしら、別の意味でこの家が心配になってきたわ。




* * * * * * * * *

(アラタ視点)



「おいアラタ、どこ行くんだー」


「ん〜、野暮用? 」


「ハアッ? 」



シルヴィア(同郷)に会ってからというもの、どこかスッキリしない。

彼女は特に言わなかったが、考えれば考えるほど、あのナンパが引っかかる。

ボルテー伯爵家の馬車に乗っていた人物は誰だ。

伯爵よりは若かった気がするが……。

顔が帽子で分からなかったのが痛いな。

窓からメイドの手を握っていたから、キザな野郎だと思っていたが、もし違っていたら?

例えば、掌サイズの何かを渡したとは考えられないか。

チップなんかじゃなくて。

メイドは子爵家の制服を着ていた。

子爵家だと分かって、いやグラビエル家だと分かって近付いたとしたら。


伯爵家は厳しいな。

もう一度、子爵家を探るか。




「あれ、ミレーはいないの? 」


「しっ! あなた知らないの?

今さっき殿下方がいらっしゃって、テレサ様と一緒に連れて行かれたのよ」



へー、さすがだな。

実行が早い。恐ろしい行動力だ。

やっぱ中身が社会人だからか? な〜んて。



「えっ、そうなの! 何があったのかしら。

あっ、いけない。ダマー先生が往診にいらっしゃってるのよ。

説明しに行かなきゃ」


「あら、急がないと。

だけど旦那様もどうしてグラビエル家(ウチ)の専属医じゃなくて、わざわざ違う先生をお呼びになるのかしら」


「それほどテレサ様の事を心配されてるのよ。

だって、ダマー先生を紹介されたのはスペント子爵だそうよ」


「スペント子爵が?

一体どうして」


「ほら、スペント子爵の寄親って、ボルテー伯爵家でしょ。

あそこは医療関係のスペシャリストじゃない」


「あ〜そっか、そうだった。

一族から光属性が生まれやすい珍しい血筋よね。

今年新しく司祭になられた方も、ボルテー家の方でしょ? 」


「そっ。まあでも、もう心配いらないけど。

その場に居合わせたメイドが言ってたのよ。

何か、お土産? でテレサ様が回復されたらしいの」


「・・・お土産? 」


「そう、お土産」





ふ〜ん。なるほどね。

まいったな、完全に黒だ。

彼女に教えてもらったシナリオでは、ジーモが公爵夫人を毒殺するんだっけか。

このままいけば、テレサは衰弱死していただろうし、それが原因で事件も起こっただろう。

となると、メイドに渡したのは毒の可能性が高い。

あのミレーと言うメイドとジーモは繋がっているからな。


しかし、伯爵の狙いは何だ?

公爵夫人を殺す事か?

医者の手配は寄子を使ったのに、リスクのある毒は自ら、、、

いや、リスクがあるからこそ、確実な方法を選んだのか。


夫人が義理の息子に殺される。

逆なら違ったかもしれないが、ショッキングな出来事に王都は震撼する。

そして未然に防ぐ事も、息子を制御する事も出来なかった宰相は非難の的だ。

宰相の力を削ぐ事が目的なのか?


「さぁ〜て、もうちょっと調べてやりますか。

同郷のよしみで」



* * * * * * * * *

(アレク視点)



スチュワートから知らせを受けて、慌てて帰った。

「シルヴィアお嬢様が療養中のグラビエル子爵令嬢とメイドを1人連れ帰って来ました」

このメモを見た時、思わず声を上げて部下に驚かれた。

コーヒーの栽培依頼でグラビエル卿に会いに行ったはずが、

何故そうなるんだ!



「まったく、私の天使の行動力には困ったものだっ。

スチュワート! 帰ったぞ。シルヴィーは何処だ」


「お帰りなさいませ、旦那様。

お嬢様はお食事中です。殿下達と」



殿下“達”だと?



「そうか。では私も一緒に食べよう。準備を頼む、ワインは多めにしてくれ」


「かしこまりました。ではお着替えを」


「いや、先に食堂へ行く。

トマスには急がなくていいと伝えてくれ」


「ーーー仰せのままに」



さて、どうしたものか。





「おや、今日は『和食』なんだね。美味しいかい? シルヴィー」



私に真っ先に気付いたリアムを視線で制し、そっと耳元で囁く。



「ええ。もちろんですわ、お父様!

ーーーえっ、お父様っ⁈ もうお帰りに? 」


「せっかく私の可愛い天使に会う為に早く帰って来たのに、お父様悲しいなあ」


「あっ、いえ、違くて。そのっ。

申し訳ありません! お父様」



うんうん。焦った顔も新鮮だね。



「それは何に対する謝罪なのかな?

ところで、子爵との話はうまくいったかい。

客室が賑やかなようだけど、彼等が泊まるの? 」



シルヴィーの肩に手を置いたまま、食事の手を止めて固まっているローレヌ家の子息に視線を移す。



「あの、お父様っ」


「ご無沙汰しております、アレク公」


「やあ、ジーモ君。少し見ない間に大きくなったね。

アレンから優秀だと聞いているよ。

まさかシルヴィーまで世話になっているとは思わなかったけど」


「っ、この度は大切なお嬢様を巻き込んでしまい申し訳ありません」


「申し訳ありません! 」



彼と弟君は、立ち上がって深く頭を下げた。

謝って欲しかったわけじゃないんだけどなあ。

すでにそういう段階ではないし。

ローレヌ家の未来が思いやられる。宰相も気の毒に。



「だから何の謝罪だ?

まあ、今回は私の天使が勝手に首を突っ込んだんだろうけど。

()()調べてたみたいだし、ね、シルヴィー」



「(バレてる。当たり前だけど全部バレてるっ。

スチュワート、 チクったわね!)」



顔に出ているよ、シルヴィー。

もう少し隠す(すべ)を学ぼうか。



「話は後で聞こう。

トマスの料理は美味しいからね」



子爵に文句を言わせるつもりはないが、宰相に何と伝えるか。

話を聞いたら、一筆書かないといけないな。




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