表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/100

-58- 鳶(とんび)に油揚(あぶらあ)げ

 うっかり油断していると(とんび)油揚(あぶらあ)げを持っていかれる・・ということがある。鳶が油揚げが好きなのかどうかまでは分からないが、^^ まあ、そういうことだ。それだけ最近の世の中は世知辛くなってきているのだ。

 有名彫像家の美作(みまさか)は三年を費やし、ようやく作品の彫像を完成させようとしていた。

『やれやれ、これでゆったりと正月が…』

 完成間近の彫像を右、左と見ながら手直しし、ついに美作は彫像を完成させた。完成した彫像は、すでに買い手がついていて、千三百万円で売却されることが決まっていた。

「先生、完成しましたら、私がお届けいたしますので…」

 商談専門のスタッフが美作を窺いながら小声で言った。

「ああ、そうなの…」

 商談には興味がない美作は朴訥に返した。専門スタッフは美作の金銭感覚が希薄なことに目を付け、高く売っては半値の値段を美作に報告し、暴利を(むさぼ)っていたのである。これまで、かなりの富を手に入れた専門スタッフは、この作品を最後に外国へ遁ズラしよう…と決めていた。美作がこの男の悪事に気づいたのは、男が国外逃亡を図ったあとのことだった。鳶に油揚げを持っていかれたあとだったのである。それでも美作は、コレといったダメージを受けず、その後も作品造りに励んでいるそうである。

 金に見向きもしない・・これこそが本物の芸術家です。ただ、鳶に油揚げは感心出来ませんが…。^^


                   完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ