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初めての意味のない行為

エロス注意

――1月中旬、月曜日――


「柳木ぃ。最近、香澄ちゃんとはどうなの?」


「ちゃーんとHできたんですかぁ?」


 優一()と金田と桃園は、町中のファミレスで晩御飯を食べている。こいつら……食事中になんてことを聞くんだ。

 香澄は11月から学校で仕事を再開した。帰りは大体夜の9時ぐらいと早くはない――が、休職していた時より、表情は明るくなった。本当に良かったと思う。母さんの言う通り、香澄にとって、学校の先生は天職なのだろうな。


「先週の土曜日……ようやくディープキスで気絶しなくなったし、鼻血も出なくなった」


 俺は、注文したハンバーグ定食のサラダをモグモグ食べる。


「あら! 良かったじゃないですかぁ♡」


 桃園は、注文したパスタをフォークで巻き付ける。


「ああ、俺はディープキスの勢いでその先までいったんだが……」


「だが?」

 

 金田は、注文したグリルチキンのライスを一口食べたあと、俺に尋ねた。


「新たな問題が2つ出てきた」


「「え?」」



◆◆◆


――先週の土曜日――


 生まれた赤ん坊のような姿になった俺と香澄は、俺の部屋のベッドの上でお互いの肌を絡み合せる。


「ひゃ!」


 俺は仰向けになっている香澄の中に指を入れると、香澄が色気のない声をあげる。香澄の中は……キツく、温かい無数の何かがうごめいて、俺の指に絡みついてくる。まるで別の生き物がいるような……今まで感じた事のない感触で、指が気持ち良かった。


(……これってまさか……)


 俺は、今まで15分から20分くらいで発射するのだが――これは1分もたないぞ。いや、最悪、数秒で落ちるかもしれない……

 俺は香澄の中で指を動かしながら、突っ込んでいいかどうかしばらく悩んだ。


◆◆◆



「1つ目の問題……香澄は名器持ちだ。俺は挿入して数秒で落ちた」

 

 金田と桃園は口をあんぐり開けた。数秒で発射したのはさすがに……恥ずかしかった。


「おいおい、柳木ぃ。数秒で発射はヤバいヤツだろ……」


 金田は味噌汁をズズっとすする。


「それでぇ、2つ目の問題って何ですかぁ?」


 桃園はジュースを飲みながら、俺に尋ねた。


「2つ目はかなり深刻だ」



◆◆◆


 数秒で発射した俺は香澄の上にのしかかった。二人の息が絡み合っている。

 なんて感触だ……挿入したとたん、香澄の中にいる生き物が、俺のそれにウニョウニョまとわりついて離さない。それと香澄の中の圧迫感。これがまた――俺のそれを激しく刺激する。キツいのは徐々になくなるとは思うけど……


 香澄の表情を見ると、香澄は、肩をプルプル震わせながら、まつ毛を伏せている。

 俺は香澄にキスをしようとした――ところが。


「うっ……ごめんなさい、ゆうちゃん」


 香澄は自分の口を両手で塞ぎ、そのまま四つん這いになると、『うぇ』と言いながら、嘔吐を始めた。


「香澄! 大丈夫か!?」


 まさか、気持ち悪かったか……? 俺は得体の知れない不安に襲われた。


「うぅ……うえぇ……」


 香澄は涙目だ。しかも、嘔吐がしばらく止まらない。体調が悪いのだろうか――さすがに心配になってきた。俺は香澄の背中をさする。



「ごめんなさい。ゆうちゃん」


「気持ち悪かったか?」


「違うの……ゆうちゃんのさっきの表情を見たら――あの時を思い出して……そしたら、急に全身が逆流するような感覚になって……」


 あの時?


「佐々本くんのトイレ姿を見ていた時や、アレを食べた時とか……色々思い出しちゃったの」


「香澄」


◆◆◆



「香澄は、大地の変態行為が完全にトラウマになっている」


 金田と桃園は神妙な表情で俺の話を聞く。


「トラウマかぁ……それはしんどいな」


「柊先生、可哀そう……これじゃHできないじゃないですかぁ」


 桃園の言う通りである。このままでは、俺と香澄は一生触れ合う事ができない。そんなのは嫌だ。

 鼻血出して昇天するだけならまだいい。耐性つければいいだけの話だ。しかし、トラウマは耐性だけで片付けられる問題ではない。時間が経てば治るかもしれないし、最悪、一生治らない可能性もある。


「柳木センパイの顔見て、思い出し吐きなんて……よほど気持ち悪い顔してたんですねぇ♡」

 

 桃園め。さりげなくひどい事を言うな。


 ……ん? 俺の昇天した顔を見たら、変態行為を思い出したのか。


「桃園! それだ!」


 俺は桃園を指さした。


「何だよ、柳木。何か閃いたのか?」


「クックック。要は俺の顔が見えなければいいんだろ?」


 俺はハンバーグを食べながら、不敵な笑みを浮かべた。


――夜11時――


 俺はスマホで大人専用の通販サイトを眺めていた。スマホの画面に様々な変態道具が並ぶ。色々ありすぎて、どれを選んでいいかわからないな。


「あ、これいいな」


 俺は迷わず『それ』を注文した。『それ』は、セットで販売されており、しかもセールで半額となっていた。


「クックック。これを使う日が楽しみだ」


 俺は1人で不敵な笑みを浮かべたあと、そのまま就寝についた。



――土曜日、夜――


 俺の部屋のベッドの上で、香澄を覆いかぶさるようにしてキスをしていると――


「ねえ、ゆうちゃん。私、トラウマ克服できるように頑張るけど……もし、どうしてもダメそうなら……他の人と……」

「香澄。これ以上言うと、怒るぞ」


 俺は香澄の言葉を遮る。トラウマ克服はいいとして……他の女で発散しろなんて言われると、落ち込む。香澄は俺の事を頼りにしてない、と思ってしまうじゃないか。


「ご、ごめんね。えと、ゆうちゃんも協力して……欲しいわ」


 最初からそう言え。まったく。


――


 そろそろ『アレ』を出すか――そう考えた俺は香澄から一旦離れる。俺が離れたあと、香澄も起き上がる。俺は勉強机のサイドチェストの一番下の引き出しから1つの袋を取り出すと、香澄に手渡す。


「香澄。この袋の中に入っているものを全部身につけろ。これはな、香澄のトラウマを克服するためのおまじないグッズだ」


「まあ、ゆうちゃん。私のために……ありがとう」


 香澄は瞳をうるうるさせている。なんと愛いヤツよ。

 袋の中身は、黒いアイマスク、犬の耳のついたヘアバンドに犬の尻尾のついたランジェリーが入っている。これはあくまでも……香澄のトラウマ克服のためを思い、大人専用サイトから購入した物だ。

 特にアイマスク。これをつけると俺の顔は見えないだろうし、過去に受けた変態行為を思い出す事はないだろう。他は……気にするな。


 俺は一旦、部屋から出ると、思わず笑みがこぼれる。

 クックック。俺がずっとやりたかった事がようやく叶うんだ……楽しみだな。


――


「ゆうちゃん、いいわよ」


 俺が部屋を出てから10分後、香澄が俺を呼ぶ。俺は部屋に入ると――俺のベッドの上で香澄がちょこんと正座していた。アイマスク、ヘアバンド、ランジェリーをしっかりと身に着けている。

 頭から垂れ下がっている犬の耳とフワッとした犬の尻尾……やっぱり犬はいいな。主人に従順な雰囲気をまとわせている。大人専用サイトによると猫耳の方が人気があるみたいだが、俺はダメだ。猫は気まぐれだから、受け付けない。


「ねえ、ゆうちゃん。本当にこれで私のトラウマが克服できるの?」


 アイマスクで視界を奪われた香澄は、顔をキョロキョロさせながら俺に話しかける。


「大丈夫だ。俺を信じろ」

「わかった。ゆうちゃんを信じる」


 何も知らない香澄は安心した表情を浮かべる。俺は香澄に近づくと、香澄の細い首に『ある物』を装着した。


「ゆうちゃん、何をつけたの?」

「これも『おまじない』だ。安心しろ。あと、アイマスクだけは何があっても外すなよ」

「わかったわ。何があっても外さないわ」


 香澄の首につけたのは……長い鎖つきの首輪である。俺はその鎖をジャラジャラと手に巻き付けると、香澄から離れる。そして、勉強机の椅子に座り、そのまま様子を見る。


「……ゆうちゃん? どこ?」


 何もされない事に不安を覚えたのか、香澄は四つん這いでヨロヨロと俺を探す。まるで、主人を必死に探している犬のようだ。

 そして、ベッドの端まで来ると、慎重に四つん這いでベッドから降りる。突きあがった小さなお尻と尻尾がとてもいやらしい。


「ゆうちゃん? いないの?」


 香澄は不安な表情を浮かべながら、四つん這いのまま、手探りで俺を探し続ける。


 しばらく放置したあと、俺は鎖をクイクイっと引っ張る。


「あ、ゆうちゃん。そこにいるのね」


 香澄が嬉しそうに、ヨタヨタと四つん這いのまま俺に近寄ってくる。まるで情けない子犬だ。


 これは……たまらん! 楽しい……楽しすぎるではないか! 背筋がゾクリとした。俺の中の黒い魔物がこの情けない子犬をグッチャグチャのギッタギタにしたいと暴れている!


 俺のやりたかった事……それは放置プレイであった。

 相手に恥ずかしい恰好をさせ、俺は遠くから――ただその姿を眺めるだけ。どう考えても意味のない事をしている、この無常感に興奮を覚える。この興奮を理解できる人が一体どれくらいいるのか……


「ゆうちゃん。良かった。いないかと思った」


 香澄は俺の足にそっと触れたあと、笑みをこぼした。

 俺は鎖を更に手に巻き付け、鎖を思いっきりグイっと引っ張る。香澄は『キャ』という悲鳴とともに、俺の脚の間に体を寄せた。そして、俺の両脚に手をのせた状態で膝立ちになる。

 俺は香澄のあごに手を添え、耳元に顔を近づける。


「香澄。さっきはよくも他の女で発散しろと俺に言ってくれたな。おかげで俺は今、とても不機嫌だ」


 香澄の耳元で吐息交じりに囁いた。

 あと、不機嫌というのは嘘である。


「え! ……ご、ごめんなさい」


「ごめんで済むなら、警察はいらないって言葉を知ってるか?」


 俺は、香澄の耳元で更に追い打ちをかける。


「さっきのは本音じゃないの……本当は……どこにも行って欲しくない……」


 ようやく本音を吐いたか。最初からそう言えばいいものを。


「ふん、いいだろう。今後、他の女のところに行けなどと……ふざけた事ぬかしたら、どうしてくれようか」


 俺はそう言うと、香澄の耳を甘噛みする。そして、そのまま舌先で耳を這いずるように辿り、耳の穴に舌を入れる。


「ひゃ! も、もう言いません! だから……許してください」


 怯えた子犬のようにプルプル震えて、無様だな。さすがに毒が強すぎたか。俺は香澄の耳元から離れたあと、香澄の頭をゆっくりと撫でまわす。


「わかったわかった。このあと俺の言う事、何でも聞いたら許してやる」


 香澄は顔を真っ赤にして、うつむいた。


――


 このあと、香澄が嘔吐することは無かった。アイマスクの効果は絶大だった。

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