よし!遊園地へ行こう!
俺は佐々本大地。大学3年。
長かったインターンシップが終わった。譲とは次は面接で会おうぜと言って、一旦お別れした。ちなみに桂木さんはインターンシップの騒動によって、会社からクビ宣告を受けたらしい。
――3月初旬――
大学近くのいつもの喫茶店。俺と優一は向かい合って座っている。
「優一。桂木さんはどんな調子だ?」
俺は桂木さんの状態ついて質問した。優一は桂木さんを病院に行かせたいみたいだが……桂木さんを説得するのは難しいようだ。
「相変わらず、妄想に取り憑かれた生活を送ってる。まあ、幸い大学にはちゃんと行ってるみたいだが」
優一はため息をつく。
「なあ、桂木さんとはどういう話してんだ?」
俺は優一と桂木さんの会話に興味があった。
優一は、俺と香澄には気兼ねなく話してるみたいだが、他の人にはどんな態度取ってるんだろうな。気になる。
「……知りたいか? えげつないぞ」
優一は無表情で淡々と言う。えげつないって……一体何を話してんだ?
「まず、メッセージは毎日10分置きに送られてくる。内容は――愛してるとか、下ネタとか、ハネムーンの行き先とか、子供の人数とかだな。いちいち返信するのは面倒だから夜に返信してる」
メッセージの内容については――下ネタを除けば俺といい勝負だな。でも、毎日10分置きかぁ……無理だな。香澄にそんな負担はかけられないや。
「メッセージだけではないぞ。お前には見せられないが、強烈な画像もオマケでついてくる」
何だよ!? 強烈な画像って……
「一言でいうと、桂木さんの卑猥な画像だ」
俺は絶句した。桂木さん……嫁入り前の娘がそんな事しちゃダメだよ!
「お前さ、よくそんな平気でいられるよな……俺なら発狂する」
「昔、もっとひどい目にあったからな。このくらいなら平気だ」
昔どんな目にあったの!? 聞きたいような聞きたくないような……
優一って、女の子の裸を見ても平気なんだろうか? もし、そうだとすれば……バレンタインの時の反応がますます信じられない。てっきり、『ふん』とか言って澄ました態度取ってくるかと思ったのに。
「何だ? 大地。俺の顔に何かついてるか?」
「あ、いや……優一ってさどんな人生送ってきたのかなぁって気になっちゃって」
「……ふん」
優一は澄ました態度でコーヒーを飲む。
「俺からすると、お前の人生の方が気になるな。どうしたらこんなバカになってしまうのか」
コイツ……
――
「大地。今週か来週の土日どこか空いてるか?」
優一はスマホを操作しながら俺に予定を聞いてきた。
「今週の土曜日は香澄とデートだから、今週の日曜日と来週の土日なら空いてるぜ」
「じゃあ、今週の土曜日にお前と香澄で遊園地に来い」
「はあ!? 何でだよ! 今週は香澄とデートっつったじゃねーかよ!」
「実はな。桂木さんと遊園地に行く事になった」
優一って遊園地に行くの? 優一が遊園地ではしゃぐ姿なんて想像できないぞ。
「2人で行けばいいじゃんか。俺と香澄を巻き添えにするなよ……」
優一は目を光らせる。
「ほお。もともと俺は桂木さんとは無関係の人間だぞ。そんな俺が――桂木さんが暴れないように面倒を見ているというのに、元同僚のお前ときたら……」
うぐっ! 確かにそうだ……桂木さんの件について言えば、優一は元々関係ない。
「わかったよ。優一の言う通りだ。桂木さんの件は、どちらかと言うと、俺の方が関わりがあるもんな。でもさ、先に香澄に確認させてくれ。返事はそれからでもいいよな?」
「ああ」
優一はニッコリ微笑んだ。




