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第71話 決戦!武士VS騎士Ⅱ

日本代表が世界最高峰リーグを抱えるサッカーの母国と戦います

 何とかベルギーに逆転勝ちし、勢いに乗る日本代表は、準々決勝でイングランド戦を控え、一抹不安を抱えていた。リレー方式とはいえ、疲労の蓄積と、イングランド・リーグに選手を多数輩出していた為に分析され、更にDF陣の怪我により、戦力が削られていく。池田に加えて阪倉も離脱してしまった。鳥海も万全ではない。ここで奮起したのが龍永の先輩田中と、予選から出場し続け、今やDFリーダーとなった下川。2人共


「俺、まだまだ行けますよ。」


と頼もしい言葉を発する。


 そして迎えたイングランド戦。先発メンバーは


 1番GK佐藤(アストン・ブル)、2番DF杉山(カリアーニ)16番DF下川(ZAアルクマール)、22番DF田中(フベントルス)、26番DF小林(フレンクフルト)、6番MF岡野海(リバプレト)、8番MF前田(フベントルス)、11番MF工藤(アトレティック・マドレー)、13番FW中西(リオン)、21番CF出浦(バルセロス)10番FW越後(バイエリン)


控えメンバーは12番GK西久保(パルム)、23番GK宮澤(エンペロープ)、3番DF池田(バイエリン)、4番DF阪倉(ドルトミュンスター)、5番DF鳥海(クリストパレス)、25番DF結城(ASミラン)、7番MF三浦(ブライアン)、9番MF桑原(フライブルゲン)、14番MF岡野航(ASミラン)、15番DF青木(フベントルス)、17番MF田嶋(リッズ)、24番MF阿部(バレンシアーノ)、18番FW内田(ASミラン)、19番FW 椎原(ヴォルフガンク)、20番FW斎藤(フレンクフルト)


 工藤は前節のプレーが効いていたのでセンターハーフに残り、右ウィングに初先発の10番越後を投入。龍永はCFに戻った。更に右サイドバックに杉山を投入。攻撃に厚みを持たせる。そして太田監督はFWの斎藤に


「CBの控えが結城しかいなくなった。お前もCBで出る可能性もあるかもしれない。しっかり準備しといてくれ。」


と前日に話されていた。斎藤はFWの他にセンターハーフ、ボランチ、CB等中央のポジションなら何処でもこなせる選手だ。


 舞台はポルトガル、リスボンのエスタディオ・ダ・ロスに移る。今日はナイトゲームであり、前大会のフランス戦同様「武士VS騎士」の構図であるが、日本代表からはイングランドリーグから5名所属していた。

 

 試合が始まった。まず日本ボールから。すると、イングランドイレブンが自陣で引いて待ち構えている。龍永が


「おい!世界最高峰リーグのする事じゃねーよな?フランスの奴らはガチで撃ち合いに応じたぞ。オメーら盾に隠れて何やってやがる!」


とこの消極的な守りに対し、早速シュートを放とうとするが、龍永にグレイ、ライツ、そして龍永のバルセロスでのチームメイト、ヘスキーが襲いかかる。イングランドはハナから完全に龍永を潰しにかかるが、龍永は両サイドの越後と中西、後方の工藤や岡野海をフル稼働させ、ポストプレーに従事するが、点には結び付かない。イングランドもほぼ攻めてこなく、前半はスコアレスドローに持ち込まれた。


 ロッカールームで


「何かこの戦い方、向こうは何か狙ってきそうだぞ。」


「あのプレミア勢が全く仕掛けて来ねー。後半勝負にかけるつもりか?」


「今の流れでこっちは上手くいってると思う。ベンチではどう思った?」


とキャプテン工藤がベンチメンバーに聞くと


「あいつらが龍永潰しにかかってるのは事実なんだけど、どうも越後や中西にフリーでシュート撃たせてるような気がする。まるで好きにやっていいって言ってるみてーだ。」


ここで太田監督が


「メンバー変更はなし。それより後半、ウルグアイ戦と同じように攻撃陣は回転しながらポジションチェンジするように。」


と確認が取られた。


 そして後半イングランドボールから。相変わらず自分達で仕掛けて来ない。龍永達オフェンス陣がハイプレスをかけても、ロングボールで回避していく。後半も20分が経過した所で業を煮やした龍永が


「いつまでもつまんねー試合展開止めよーぜ?プレミアさんよお!」


とぼやく。そして遂に試合が動く。中盤アンカーの前田がボールをロスト。これを拾ったデリンガムが抜けると、奪われた前田が後ろからチャージ。ペナルティエリア内でPKの宣告を受け、尚且つ前田が1発レッドカードで退場。予選からダイナモのように動き回りながらも正確無比なパスを送っていたパサーがこれで今大会消える事になる。キッカーはエースのケリー。ゴール左隅に決まってしまう。


後半31分、PKで先制したイングランド。あとは守るだけであるが、ここで日本イレブンの火が付いた。この直後、日本は一気に4人メンバーチェンジ。中西に代わり三浦、越後に代わり青木。青木は前田が抜けたポジションに入る。精細を欠いていた工藤に代わり岡野航、そして右サイドバック杉山に代えFWの椎原。3-3-3のシステム。全ラインが横一列に並ぶ。


 だが一向にイングランドにボールを持たれたまま時間が過ぎていくと、後半アディショナルタイム、椎原が勇気を持って強引に前へ仕掛ける。追い越す阿部が


「こっちだ!」


と叫んでも椎原はボールを放さない。そのままペナルティエリア内へ侵入した椎原がシュートするも、キーパー、バックフォードに弾かれると、このボールを龍永が簡単にプッシュ。土壇場で同点に追いつく。龍永がヘスキーらイングランドDF陣に


「こっからあと3点な。覚悟しろテメーら!」


と言ってる間に後半終了のホイッスルが鳴る。


 一旦ベンチへ引き上げると


「運動量が落ちてるな。田嶋、岡野海と交代だ。拾ったらロングボールで構わない。あいつら後半のポジションチェンジで疲労している。阿部と椎原、三浦はまだスタミナあるから、前半から出ずっぱりの青木や龍永を助けてやってくれ。」


田嶋ももう32歳。これが最後のワールドカップだろうと気合いを入れてピッチに送り込まれる。パサーは青木に任せるが、その青木の周りをフォローするミッションを与えられた。


 延長前半。日本は始めからギアを上げて攻めに行く。


「俺達の刀が勝つか、テメーらのガッチガチの盾が勝つか勝負だ!こういう退屈な試合展開なんざうんざりなんだよ!」


と龍永がボールを持つと、これまで龍永に付いていたグレイ、ライツ、ヘスキーが襲いかかると、その3人の間を通すように左へスルーパス。このボールを拾ったのは日本代表鬼のドリブラー三浦。アーノルド、ガラハー、コンザをドリブルで交わし、ゴール前へ再びリターンすると、龍永が3人にユニフォームを掴まれながらも身体を沈め強引にダイビングヘッド。勢いよく龍永のユニフォームが


「ビイー!」


と引っ張られ裂かれるもシュートはキーパーバックフォードの逆を突き、日本が遂に逆転。龍永は


「田嶋さんが入ったから後ろが全然気にならなかった。それに今の中盤は綺麗に新大神ゾーンのラインになってて助かりました。」


と田嶋とアシストの三浦にハイタッチする。三浦が


「ほら、ハットトリック決めるんだろ?お膳立てしてやっからとっとと始めるぞ。」


と既にボールを拾っていた。日本守備陣の奮闘もあり、2-1で延長後半に入る。イングランドはここでようやく攻撃のギアをあげるが、下川が


「オメーらの単調な試合には懲りごりなんだよ!」


とデリンガムからあっさりボールを奪うと、一旦キーパー佐藤まで戻す。すると、FWのケリー、サコ、フォルデンが佐藤のボールを奪いに特攻をかますが、佐藤は真顔で左サイドに張る三浦へダイレクトパス。再び三浦が仕掛けようとするが、左サイドを3バックとなって粘っていた小林が覚悟を持って追い越しそのまま小林に流すと、ダイレクトで逆サイドの岡野航へパス。一旦トラップし、ドリブルで中へ切り込んでいく岡野航。いつも兄の岡野海に隠れていた男がここで魅せる。ドリブルしながらヘスキーを釣り出し、椎原とのワンツーで抜けだしシュート。ボールはゴールバーを激しく叩くが、この跳ね返ったボールに龍永が凄まじい勢いで走り込みダイビングボレーシュート。3-1となった所で試合終了。延長3ー1。日本代表は準決勝へ駒を進めた。


 そしてこのゴールにより、龍永は得点ランクトップに躍り出た。11ゴール。前回の17ゴールよりまだ遠く及んでいないが、フランス、ノルウェー、オランダ、ブラジル、アルゼンチンが揃ってこの準々決勝で姿を消し、得点王候補筆頭は龍永が抜きん出た事となった。


 だが、この試合をスタンドで観ていたのは、4大会振りにワールドカップに辿り着いたイタリアである。このイタリアも龍永や他の日本代表選手を多く揃えるチームであり、尚且つ彼らは


「初代ニホンオオカミに苦渋を舐められてきた国」


であった。


「出浦の弱点は知ってるよな?」


「当たり前だ。フベントルスにいた頃と変わってねー。」


「バルセロスでも同様だ。まるで気付いてねー。」


「奴は必ず仕留める。もうイメージは出来てある。」


不敵に笑うイタリア陣営は親子共々やられっぱなしではいけない状況となっていた。

イングランドは代表だとあまり花のない印象があります

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