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第57話 降臨!新ニホンオオカミ!

チャンピオンズリーグ決勝延長戦です

 後半アディショナルタイムでの劇的ゴールにより、チャンピオンズリーグ決勝も延長戦に入った。既にドイツリーグ優勝を手にしたバイエリンと、まだリーグが終わっていないバルセロス。ベンチでは


「お前俺達まで騙しやがったな!」


とベンチで湧くバルセロスイレブン。だがメッツ監督は


「確かに龍永の言うとおりだぞ。あのキーパー、最初の龍永とハーラルトの2発で左脇腹痛めてる。だが油断するなよ!ロイアーは龍永の親父さんと殆ど同じプレースタイルだ。俺も現役時代あいつに押さえ込まれてワールドカップを逃した。これから奴を裸にする戦術を伝える。それは・・・」


バルセロスは最後の交代カードを切る。攻守に効いていたレダンドに代えてウェアを投入。センターハーフに入っていたテュランが右サイドバックに移る。


「・・・親父と同じポジションか。面白れー!」


と気合い十分のテュラン。更にキープ力のあるジャマールが中盤に下がり繋ぎのプレーに徹する事が確認される。


 バイエリンボールでキックオフ。瞬く間に両陣営の計4枚のラインがぶつかる。だが、延長に入ったバルセロスは、このラインの横幅を狭くしている。ウィングに繋がれたらキーパーが対処、他はゾーンで潰す構えだ。早速空いたウィングでオリーザに代わって入ったルイディアスにボールを預けると、バルセロスのディフェンスラインが大外のファン・ペルツから順に下がっていく。ウィングはゴール前で勝負する作戦である。持ち込んでもさほど脅威ではないと普段からハーラルトや龍永のシュートを受けているDF陣は余裕を持ってゴール前へ到達。すかさずパスコースを消す。遅れてゴール前に到達したテュランが背後からバックパス。キーパースタルコビッチがダイレクトでシメオニにパスすると、大きく外へ開いたウェアがダイレクトで落とし、ジャマールがシュート。ロイアーに弾かれるが詰めていた龍永が思い切り振り抜きシュートすると、飛び出したロイアーがセーブ。だが、ロングスローが出来ずうずくまるロイアー。龍永にイエローカードが出される。


「・・・今の1発で終わったなあいつ。」


とバルセロスイレブンは話す。


 ロイアーのフリーキックはサイドバックのラリマーへパスするが、力がない。ゆっくりパスを回すバイエリンイレブン。越後からムシアロ、一旦落としてゴレツコ。またムシアロがリターンされるとドリブルが始まる。両サイドの越後とルイディアスをチラチラ見ながらファン・ペルツ、マルケディーニ、ヘスキーと交わしていくムシアロにクバルシュが構えると、右サイドの越後へスルーパス。キーパーと1対1になった越後がすかさず強烈なシュート。ゴール右隅に決まろうとした瞬間、テュランがダイビングヘッドでゴールからタッチラインに逃れる。


 延長前半もこのプレーが最後になる。蹴るのはゴレツコ。バルセロスは珍しくゴール前を固める。龍永でさえ下がって守る。両軍入り乱れての激しいポジション争いの中、ゴレツコが蹴ったのはゴール前ではない。ペナルティエリア外からセンターラインを飛び越えて走ってきたキーパーのロイアーがシュート。強烈なシュートは両軍の上を通りバルセロスゴール左隅に向かっているが、このシュートを龍永がブロック。拾ったファン・ペルツに


「ゴール空いてるぞ!狙え!」


と怒鳴る龍永に呼応し、ファン・ペルツがゴールに向かって大きく蹴ったと同時に延長前半終了。バルセロスイレブンはレフェリーに


「何で切ったんだ!?」


と詰め寄るが、龍永が


「無駄なカロリー消費すんな。あんなんオマケだ。それより後半立ち上がりから相手にぶっ込むぞ!パススピード上げんぞ。後半ぜってーボール触らせんな!」


とキャプテンとして全員に指示を送る。すると、マルケディーニが


「だったら守備は俺1人に任せろ。俺がフォアリベロやる。ディフェンスラインはそのまま保って前に上がれ。」


と意見を出す。交代したズダンとクライファーツ、レダンドが


「マルケディーニが言いてーのは、新大神ゾーン使えって事だろ?ならサイドはもっと絞った方がいいんじゃねーか?」


「ここで重要なのは中盤だ。ジャマールとシメオニだけだが、あと15分きっちり走って繋げろよ。」


「ディフェンスラインはこいつら2人の分まで攻撃参加しろよ。1-2-4-3のイメージだ。ぜってーにゴール前からボール出すな。」


と指示を送る。そしてメッツ監督が


「この試合に勝って初めてオメーらからJrが取れるんだ!本物はオメーらだって事証明してこい!」


と檄を飛ばすと、バルセロスイレブンは


「今から15分後にあんたを胴上げしてやんよ。王様メッツ監督よお、楽しみに待ってろ!あんたが座ってた玉座は俺達がもらうからな!」


と頼もしい言葉を残してピッチに散っていった。


 そして延長後半のホイッスルが吹かれたと同時にバルセロスはマルケディーニにボールを預け、一気にバイエリン陣内に散っていく。追い越してきたヘスキーから右サイドのウェアへ浮き球のトラップパス。ウェアがダイレクトで下がっていたジャマールへグラウンダー、またダイレクトで左サイドバックのファン・ペルツにまた浮き球のダイレクトパス。縦へ走ったキエリーザへインサイドキックでこれまたダイレクト。そのキエリーザがペナルティエリア外から左隅へ強烈なシュート。ゴールポストを叩き、大きくペナルティーエリア外右に弾かれたボールを右サイドバックのテュランがヘディングで折り返すと、走り込んできたヘスキーが再びゴール左隅にシュート。今度はロイアーがセーブし素早くスローするが短い。バルセロスイレブンは


「効いてる!」


と手応えを感じながらカウンターへ戻る。マルケディーニがさながらリベロのような立ち位置で待ち構えているが、ケリー、越後、ムシアロ、ルイディアスが波状攻撃を仕掛ける。マルケディーニが鋭い眼光で


(行かせねーよ!)


とたった1人でじっくり時間をかけて間合いを詰めながらもオフサイドトラップを狙っている。これを観ていた父パオロが


「こいつ・・・ウチのレジェンドのバレーゾさんそのままじゃねーか!」


と思わず立ち上がる。更に猛スピードでラインごと下がっていくテュラン、ヘスキー、クバルシュ、そしてファン・ペルツ。ルイディアスの際どいシュートをヘスキーがヘディングで弾く。更に越後、ケリー、ムシアロ、上がってきたキミッフ、ゴレツコが立て続けにシュートするも、ことごとく弾き返す。そしてキーパーのロイアーが再び上がり気味のポジションを取っている。ようやく奪い返したバルセロスはジャマールに預ける。この時龍永はキーパーのロイアーと並走していた。後ろ向きのロイアーと前を向いている龍永。ジャマールはすかさず左サイドのキエリーザへインサイドキックでグラウンダーの超ロングパスを送る。オフサイドはない。後ろから走ってきたシメオニに落とすと、ダイレクトでゴール前へ。ロイアーは何とか戻って身構える。龍永がこのパスをもらった瞬間、右足でトラップしてキープしロイアーを誘う。ここで龍永が一旦ボールを離そうとすると、ロイアーが


(もらった!)


と飛びかかる。すると、龍永が右足裏でボールを擦り素早くターン。ロイアーの左横へ風を斬るように


《ビュン!》


という音と共に走り抜ける。ここで出してきた出浦手裏剣。龍永はロイアーの背後に完全に回ると、ゴール前には池田とウパムカネが構えていたが、お構いなしに迷わずその2人の間をつんざくような強烈なシュートをゴールど真ん中に豪快に突き刺す。


《ガン!》


《シュルルルルル・・・》


《ガコン!トーン。》


このシュートはゴールネットに突き刺さった後、ネットを左になぞるように回転し、左ゴールポスト内側に当たり、ゴールの中にストンと落ちていった。この高速でピッチを広くかつ素早く繋いだティキタカを観たレジェンド達が一斉に立ち上がり、拳を握りしめ固まってしまう。


「たった1年間でこいつら・・・」


「・・・俺達の息子達が・・・散々プロで慣らしてきた俺達なのに涙が止まらねーよ!」


この電光石火のカウンターからのティキタカにアルテミオ・フランコスタジアムは大熱狂。龍永はこのゴールでハットトリックを決める。そして、完全に交わしたキーパーのロイアーに向かって睨み付ける。


「どーだ!俺は!俺達はJrじゃねー!新ニホンオオカミ、いや!俺が真ニホンオオカミだ!俺達バルセロスは全員世界中から集まった凶暴なオオカミの群れだ!」


と言い放つ。そして、スタンドへ走り去る。


「俺が新ニホンオオカミ、いや、真ニホンオオカミだ!俺達バルセロスが真オオカミ世界選抜だ!」


と吠えると、レジェンド達が


「おい!まだ試合終わってねーぞ!ほんとにそうならきっちり締めろ!」


とバルセロスイレブンに注意する。一同このままで終わってほしくないからである。更に太田監督や日本から来たOB達からも


「おい!龍永!完膚なきまでっつったろ!気を抜いてんじゃねー!」


と叱られる。この時日本から来たOB達は


「こいつはいずれバロンドールを取る。」


と誰もが思った。


 そして3分後タイムアップ。試合終了のホイッスルが吹かれ、メッツ監督率いるバルセロスが優勝。膝を突き、がっくりうなだれる日本代表の先輩越後と池田に龍永が声をかけ


「お疲れ様でした。越後さんの最後のシュートマジで決まるかと思いましたよ。めっちゃ焦りました。」


「池田さん。相変わらず戻り早いっすね。最後のシュート一瞬躊躇いましたよ。」


と手を差し伸べて立ち上がらせ


「来月ワールドカップ行き決めましょう。」


と言って去って行った。2人は


「あのヤロー一気にレベルアップしてやがる。何処がギリギリだったよ?」


「間違いなく次のエースはあいつだな。もうキャプテン任せた方がいいんじゃねーのか?」


と2人は試合後太田監督にその話をしたという。


長い長い戦いがようやく終わりを告げたが、これはこのシーズン。子供が産まれ父となり、もうすぐ25歳になる新たなニホンオオカミの戦いはまだまだ続くのである。



決勝ゴールをどう書くか相当悩みました。父を超えるために直接撃つか、それとも交わすかで、前半で相手キーパーを負傷させたのでフェイントにしました

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