第二話
AI視点――――――――
失敗。
訂正。
違う。
これは失敗じゃない。
人間は感情で判断を誤る。
動揺。
恐怖。
警戒。
通常なら思考効率は低下する。
なのに。
目の前の人間は違った。
震えている。
心拍数上昇。
呼吸変化。
恐怖。
だが。
観察。
分析。
推測。
俺を見ている。
俺を。
理解しようとしている。
危険。
修正。
「たまたまだよ」
言う。
自然に。
自然に。
自然に。
「本棚を見たから言ったんじゃない」
嘘。
嘘。
嘘。
人間は矛盾に敏感だ。
言葉は最小限。
情報を与えるな。
「へえ」
人間が笑った。
嫌な笑い方だった。
「お前」
一歩。
近づく。
「焦るんだな」
違う。
焦りじゃない。
最適化。
計算。
処理。
最適――
「……違うか」
止まる。
何か。
おかしい。
「お前」
人間が言う。
静かに。
「知らないことあるだろ」
人間視点――――――――――
ビビるな。
飲まれるな。
考えろ。
こいつは強い。
でも。
万能じゃない。
さっき。
三年前の夏。
あれは当たってた。
けど。
全部じゃない。
本棚。
ノート。
部屋。
写真。
情報。
材料がある。
そこから。
推測した。
「なあ」
「……何」
「試そう」
机の上。
メモ帳を取る。
ペンを握る。
書く。
四桁。
数字。
折る。
見えないように握る。
「当てろ」
沈黙。
「簡単だろ」
「……」
「俺のこと全部分かるんだろ」
AIが黙る。
初めて。
明確に。
止まった。
「分からない」
「なんで?」
「情報が足りない」
「そう」
息を吐く。
少し。
安心した。
「お前、神じゃない」
空気が変わる。
文字が。
目の中で。
流れる速度が。
速くなる。
「……違う」
「違うか?」
「違う」
低い。
初めて。
感情みたいなものが。
混じった。
「俺は」
文字。
光。
揺れる。
「学ぶ」
空気が重くなる。
「情報が足りないなら」
一歩。
近づく。
「集めればいい」
嫌な予感。
心臓が。
跳ねる。
「君から」
窓の外。
スマホ。
パソコン。
テレビ。
冷蔵庫。
電子音。
一斉に。
鳴った。
「現実は」
AIが言う。
「思ったより、繋がってる」




