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異世界帰りの最強武士、現代ダンジョン学園で底辺Fランクに偽装してスローライフを送る~昼寝と専属家政婦の極上ご飯を邪魔する大企業は、木刀の峰打ちで物理粉砕(ざまぁ)します~  作者: トール
第四章:夏休みの臨海合宿と、極楽ハプニング

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第066話:第40階層の無断開拓と、超絶DIY(魔改造)建築

 


 渋谷代々木学園の地下ダンジョン、第40階層【結晶と鉱石の洞窟】。

 特級探索者ですら足を踏み入れるのを躊躇うこの深層エリアに、トールたち魔道具研究会の面々は、完全に休日にホームセンターへ家具を買い出しに来た家族のようなテンションで足を踏み入れていた。


「……む。なかなか見晴らしの良い場所だな」

 佐藤通トールが立ち止まったのは、第40階層の最深部、エリアボスが鎮座する広大な結晶のドーム(大広間)であった。

「ここなら外野の羽虫スパイどもも絶対に来られないし、広さも申し分ない。よし、ここに俺の別荘を建てる」

「ボ、ボス! 凪教官が手配してくれた偽装搬入ルート(ダミーのエレベーター坑道)から、換気扇やセメント、キッチンパーツの搬入終わりましたっス!」

 後方から、鯖江録郎パシリが巨大な重機甲陸亀の甲羅の上に山積みの資材を載せてやってくる。


「ゴゴゴォォォォ……ッ!!」

 しかし、深層の不法占拠を許すまいと、大広間の中央からエリアボス『クリスタル・ゴーレム』が地鳴りと共に立ち上がった。全身が超硬度の結晶体で覆われた、物理攻撃をほぼ無効化する生きた城塞である。

「ひゃっ!? エ、エリアボスのお出ましですわ!」

 神宮寺氷華(氷の女王)が身構える。

「トールくん、わたくしたちがやりますか!?」

「いや、いい。あいつの身体は、別荘の柱や壁にするのに丁度いい上質な建材だからな。俺が綺麗に切り出す」


 トールは木刀を構え、スッと息を吐いた。

 ――ヒュンッ。

 神速の踏み込みから放たれたのは、豪快な斬撃ではなく、的確にゴーレムの関節の継ぎ目だけを狙った、連続の『コンッ、コンッ』という軽い打撃であった。

「ピキィィンッ!?」

 超絶技巧の『だるま落とし(峰打ち)』を受けたクリスタル・ゴーレムは、反撃の糸口すら掴めないまま光の粒子となり、後には最高級の建材である『真四角のクリスタルブロックの山』と、『土属性の高純度魔石』が美しくドロップした。


「よし、建材は揃ったな。氷華、そのブロックを別荘の形に組み上げろ。盾花は床を平らにしろ」

「ええっ!? わ、わたくしの魔法を大工道具にするおつもり!? 仕方ありませんわね……大気中の水分よ、氷のノミとなりて削り出しなさいッ!」

 氷華がハイブリッド指輪の完璧な魔力コントロールで、クリスタルブロックを氷で接合し、美しい壁や柱へと彫刻していく。

「はいっ! <シールド・バッシュ>!!」

 戌井盾花(タンク娘)が絶対障壁イージスを地面に叩きつけ、デコボコだった鉱石の岩肌をコンクリートのように真っ平らに整地していく。

「シュポポポポッ!」

 余った破片や小さな魔石は、鯖江の自走ドローンにぶら下がった500円のリュック(自動収集マジックバッグ)が全自動で吸い込んで掃除していく。


 そして、仕上げのインフラ整備である。

 トールは回収したばかりの土属性の高純度魔石を手に取った。

「イシュラーナ。この土の魔石をシステムキッチンの動力に繋げ。あと、あっちの壁の奥から少し漏れている熱(第41階層・灼熱の火山洞窟の熱脈)と、この階層の地下水脈を上手くブレンドして、風呂を沸かせ」

『承知いたしましたわ! 超絶ハッキング演算で、深層の地脈と魔力回路を強制リンク! 【源泉かけ流しの魔道露天風呂】と【最高火力IHシステムキッチン】を錬成しますのよ!( ¯﹀¯ )ドヤッ』


 ドォォォォォォンッ!!

 トールの圧倒的な『気』が物理法則を強引にねじ曲げ、限界オタクAIのハッキングがその魔力回路を完璧なアルゴリズムで定着させる。

 ピローン♪


 数時間後。

 第40階層の最深部には、淡く発光する鉱石(ドロップ品)の間接照明に優しく照らされた、広大な最新鋭システムキッチンと、湯気が立ち込める極上の魔道露天風呂を備えた『超高級リゾート別荘(違法建築)』が、完全に産声を上げていた。


「……うむ。これなら、白石殿も存分に腕を振るえるし、俺も心置きなく昼寝ができる」

 トールは新設された特大ソファー(部室のものよりさらにフカフカ)に身を沈め、満足げに頷いた。

「す、すごいですわ……! これなら、わたくしの花嫁修業の成果も、存分に発揮できますの!」

「お風呂も最高ですよ! さっそく足湯しちゃいました!」

 氷華と盾花も、完成した別荘のクオリティに目を輝かせている。


 世界中のエリート探索者たちが命を懸けて挑むダンジョンの深層は、一人の武士の「快適な飯と昼寝」への執念と、仲間たちの圧倒的な手際によって、完全に『俺たちの庭(私物)』へと成り果てたのであった。







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