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異世界帰りの最強武士、現代ダンジョン学園で底辺Fランクに偽装してスローライフを送る~昼寝と専属家政婦の極上ご飯を邪魔する大企業は、木刀の峰打ちで物理粉砕(ざまぁ)します~  作者: トール
第三章:ダンジョン体育祭と、もみ消し教官の誕生

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第038話:レベル20のステータス画面と、それぞれの現実

 


 第20階層のエリアボス『ウォーター・サーペント』を天ぷらにして美味しくいただいた翌日の放課後。

 魔道具研究会の部室で、鯖江録郎がスマホの「ステータススキャンアプリ」を起動し、絶叫を上げていた。


「う、うおおおおおおっ!? なんですかコレ!! 俺たち、とんでもないことになってますよ!」

「どうしましたの、鯖江くん。そんなに騒がしくして」

 極上のそよ風(魔道エアコン)に当たりながら紅茶を飲んでいた氷華と盾花が、鯖江のスマホを覗き込む。

 そこには、昨日の「海鮮採取のついでのおこぼれ経験値」を大量に吸った彼らの、最新のステータス画面が表示されていた。



【氏名】戌井いぬい 盾花たてか

【総合レベル】21

【職業】重装防衛騎士タンク

【体力】S

【筋力】A

【敏捷】C

【魔力】D

【装備】『絶対障壁イージス』(※重量:ほぼゼロ、防御力:測定不能、熱交換無効化システム搭載)

【称号】『無敵の壁』『底なしの胃袋』『トールの前衛』

【備考】Aクラスのエリート(Lv10〜12)の全力攻撃を受けても、かすり傷一つ負わない圧倒的フィジカル。ただし、食費のエンゲル係数も学園トップクラス。



「えええええっ!? わ、私、レベル21になってますよ!? しかも体力が『S』!?」

 盾花が目を丸くして自分のステータスを見つめる。

「ど、どうりで……昨日から、この大盾イージスどころか、自分の身体まで羽みたいに軽く感じると思ってました……! これなら、ホブゴブリンの群れ相手でも片手で押し相撲できますぅっ!」

「……本当に、Aクラスの連中が自慢していた『レベル12』が、まるで子供の遊びに見える数値ですわね」

 氷華が引きつった笑いを浮かべる。



【氏名】鯖江さばえ 録郎ろくろう

【総合レベル】18

【職業】魔物召喚術士/プロのパシリ

【体力】C

【筋力】D

【敏捷】B(※逃げ足と買い出し速度に特化)

【魔力】B

【使役魔物】SSR神話級『戦乙女ヴァルキリー』、SSR神話級『精神支配のサキュバス』

【特殊装備】自律型自動収集マジックバッグ(※総製作費500円)

【称号】『神話級の下僕』『伝説のカメラマン』

【備考】魔物はSSR神話級だが、忠誠心はすべて佐藤通トールに向いているため、本人の実質的な戦闘力はドローン操縦のみ。



「俺もレベル18ッスよ! エリートの教官クラスの魔力です! これで俺も学園のトップ層に……って、備考欄ヒドくないッスか!? 俺の召喚獣なのに、なんで俺が下僕扱いなんスかぁぁぁっ!」

 鯖江が涙目で床を叩くが、事実であるため反論できない。


「ふふっ、二人とも凄いですわね。……さて、わたくしもスキャンしてみますわ」

 氷華は少し期待に胸を膨らませて、自身のスマホでスキャンアプリを起動した。

 レベル20という「初心者卒業帯」の壁を越えたのだ。魔力量は圧倒的に増え、ハイブリッド指輪による制御も完璧。さらに、指輪の『発育ホルモン(微量)』の恩恵で、ステータス画面の下部にある【詳細身体データ】にも、劇的な変化が起きているはずである。



【氏名】神宮寺じんぐうじ 氷華ひょうか

【総合レベル】20

【職業】氷雪の魔術師(旧メジャー令嬢)

【体力】D

【筋力】E

【敏捷】C

【魔力】SS(※特級クラスのバケモノ数値)

【魔力制御】S(※ハイブリッド指輪装着時のみ)

【装備】『ハイブリッド・ファンネル魔法杖』『発育促進・魔力制御リング』

【称号】『氷の女王』『ポンコツ令嬢』

【詳細身体データ(スリーサイズ等)】

 ・身長:158cm

 ・体重:4Xkg

 ・胸囲:72cm(※入学時の測定から成長値 0.0mm。ホルモン蓄積中……)



「…………」

 部室の温度が、一瞬にして氷点下まで下がった。

「あ、あれ……? おかしいですわね……。魔力は『SS』という見たこともない数値になっていますのに……。なぜ、なぜ、胸囲の数値だけが、0.1ミリも動いていませんのォォォォォォォォッ!!?」

 ギリリリリッ! とスマホが凍りつき、氷華の目から大粒の涙が溢れ出した。

「あんなに! あんなに毎日、佐藤さんの唐揚げやドラゴンステーキを食べて、カロリーを摂取していますのに! なんで全部魔力に変換されてしまうんですのぉぉっ!」

「ひゃああっ! 氷華ちゃん落ち着いて! レ、レベル20になっても、まだ指輪のホルモン効果が微量だから時間がかかるんですよぉっ!」


 二人がステータス画面を見て泣き叫び、部室がブリザードと化している中。

「……五月蠅いな。せっかくの昼寝が台無しだ」

 特大ソファーの『絶対防音お昼寝結界』を一時的に解除したトールが、鬱陶しそうに起き上がった。

「数字が少し変わったくらいで一喜一憂するな。そんなものより、俺は今日の夕飯が『白身魚の極上天ぷらの余りを使った、特製天丼』であることの方がよほど重要だぞ」

『( ¯﹀¯ )ドヤッ! ちなみにトール様のステータスは、わたくしが学園サーバーをハッキングして、相変わらず【レベル3・筋力D・魔力E】のモブ数値に完全偽装してありますわ! 定時退社は絶対死守ですの!』


 レベル20という圧倒的な力を手に入れたにもかかわらず、全く報われないポンコツお嬢様たち。そして、規格外のバケモノでありながら、ひたすらにモブを偽装し続けるマイペースな武士。

 彼らのステータス画面には、それぞれの切実すぎる(そしてギャグ全開の)現実が、今日も残酷に刻み込まれているのであった。







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