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団長の匂いとオーガスタスの野生の勘


団長からあらぬ誤解を受けた夜中、

私は部屋に帰ろうとすると、

私が夜中に宿舎を1人で歩いて帰ることを心配した団長に、「待て、部屋まで送る、」と言われてしまい、

遠慮したが、有無を言わさず送られた。


心外だ。

私は完全に、男に狙われることが多い、男受けする男だと団長に勘違いされている。

宿舎を歩いて帰るくらいで貞操の危機などあるものか。そこらの男の1人や2人、私は返り討ちに出来る。

しかし、団長の勘違いを解くのは叶わず、私は部屋まで送られた。


「うええ・・・勘違いなのにぃ〜・・・」

ゲンナリと部屋に入ると、イシスが起きた。

「ん・・・?何だミカ、どうしたんだ?」

「イシス・・・いや、ちょっとね」

カクカクシカジカと説明しようと、ミカに近付く。

すると、目を見開いたイシスが立ち上がり、私の肩をつかんだ。

イシスが私の首元に鼻を近づけ、クンクンと匂いを嗅ぐ。


「ミカ、お前、何でギルロイドの匂いがするんだ?」 

険しい顔をしたイシスがそう尋ねる。

「ああ、それはね・・・」

私はさっきまであった出来事をイシスに話す。

すると、険しい顔をしていたイシスが、次第に呆れた顔になっていく。

ハァ〜と頭に片手を当てため息を吐くイシス。


「お前なぁ、本当に団長が男もイケる奴だったら危なかったかもしれないんだぞ?」

イシスにこんこんと説教され、私は反省した。


「仰る通りです。団長が悪い奴だったら、服をひん剥かれて、私は女だとバレるところだった。」

「そうだぞ、全く、」

「反省してます・・。まあもし襲われてたら、その時は応じるフリして、団長の隙を狙うのもアリだったけど。

こう・・・『団長、実は僕、団長に憧れてたんです!僕を団長のモノにしてください!』みたいな感じでさ。」


「アホか。色仕掛け作戦が通じるような楽な相手なら、わざわざ俺達が騎士団に潜入しなくとも、とっくに失脚させられてんだろ」


それもそうだ。


私は頷いて、「やっぱり地道に弱味を探すか。」とベッドに横になった。

「おやすみイシス」

「おやすみ、今度は部屋抜け出すなよ?」

はーい、と返事をし、目を閉じる。


まだ自分の服や体に残る団長の匂いに、

少し落ち着かない気持ちになりながら、

眠りについた。





(ギルロイド、まだ、あのマグノリアの小瓶を持っていたんだな)

心の中で、そう呟いて。


ーーーーーーーーーーーーーーーー



翌日、

私達は今日は、鍛錬場で剣の打ち合いをしている。

鍛錬場を見下ろせる2階に副団長が立ち、私達の打ち合いを監督している。

私の打ち合い相手はオーガスタス。


「ハァ!でや!」

オーガスタスの気合いの入った掛け声と共に、

真っ直ぐに木剣が振り下ろされる。

私は木剣を横にし受け止める。

剣筋が見え見えではあるが、体格が良いだけあってまあまあ剣に重さがある。流石、騎士の家系の出なだけある。


(あまり本気を出しても、新入りらしくない動きをして変に目立ちたくないし、一旦負けようかな)

そう思い、オーガスタスが剣を斜めに振り下ろすのに合わせて、私は剣を手から話した。


「おっと、負けちゃった、強いなあオーガスタスは」

「ありがとう。ミカも結構やるな、鍛えていたのか?」

「ああ、まあ少しね」

「そうか・・」

オーガスタスが、私をじぃっと見つめる。

「・・・なあオーガスタス、何で僕のこと、ガン見してくるんだ?」

「え?あ、いや、そのだな・・・」

オーガスタスが、言いにくそうにモジモジとするが、

意を決したように顔を上げ、


「そ、その、、だな、不快にさせたらすまない、

俺は、ミカを初めて見た時、女性だと思ったんだ」

「え??」


ドッキーーーーーン!!!


「美しい女性だと思って驚いてな、だが騎士団に女性が居るわけないものな。そうとわかっていても、

つい、女性が居るように見えてドキドキしてしまってな、すまない、」

モジモジと顔を赤らめて言うオーガスタス。

私は冷や汗をダラダラとかく。


「あ、あはは、よく言われるよ、僕って華奢な方だし、中性的な見た目だから、女みたいってよく言われんだよ、」


(ガン見してきてた理由はそれかよ!!!)


・・ん?何やら強い視線を感じる。

視線がする方を見上げると、鍛錬場を見下ろせる2階の副団長の隣に、

ギルロイド団長が立っていた。


ギルロイド団長が、険しい顔をしてこちらを見つめている。

(やば、サボってると思われたかな?)


私はオーガスタスに声をかけ打ち合いを再会した。




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