色仕掛け作戦の練習
夜、部屋にて。
「私達以外に、騎士団で暗躍している奴が居る可能性かぁ・・・」
団長から聞いた件について、改めてイシスと話している。
「俺達以外にねぇ・・・この国の裏社会で、一番デカい組織は俺達のいる組織だから、他の組織が入る余地は無いと思うんだが、
隣国や周辺国の差し金ならちょっと面倒だな」
「だな。」
私とイシスが「うーん、」 と頭を悩ませていると、
「ふん!ぬぅん!!フンフン!!」と、
外で稽古するオーガスタスのデカい声が聞こえてきた。
「またやってんのかアイツ」
窓の外を覗くと、目が合ったオーガスタスが笑って手を振ってきたので、手を振り返した。
すると、ミカエラに手を振り返されて気分が上がり「フスーッ」と気合いを入れ直したオーガスタスが、「ぬぉおおお!!」と素振りを再開した。
「真面目だねぇアイツ。にしても、お前モテモテだなミカ。オーガスタスに、マーティン先輩に、ザガードに、次々ハートをゲットしてんじゃん。良かったな、」
「笑うなイシスっ・・・私は困ってるんだ。このままじゃ、ますます団長の勘違いが進むっ・・・」
私は頭を抱えた。
男にモテる男という勘違いが、最早勘違いと言えなくなりかけている。
「しかし、こんなに男にモテるなら、
もういっそのこと、ボスが言ってた色仕掛け作戦やってみようかな・・・。」
「無理だって、団長は女が恋愛対象だろ?」
「いや、もうこの際だからやってみる」
ミカエラはヤケクソになっていた。
無理だと止めるイシスに、諦めないミカエラ。
「はぁ・・・じゃあ、俺で練習してみろ」
「練習?」
「いきなりやっても上手く行かないだろ、具体的に練習しとかなきゃさ」
「なるほど、」
「ミカエラって、色仕掛けの仕方とか、訓練してたっけ?」
「いや、全く」
「・・・・・・・・・やっぱり諦めろよ」
「いいややってみせるさ。イシス、そこに座れ。イシスを団長に見立てて練習する」
イシスを椅子に座らせ、ミカエラは自分の椅子をイシスの隣に置き座る。
「・・・・・・」
色仕掛けか・・・。
顎に手を当て考えるミカエラは、ヨシ、と頷き、
イシスに顔を向ける。
「団長、僕、団長にずっと憧れてたんです。
団長は、僕のこと、どう思ってますか・・・?」
イシスの手に、自分の手を重ねる。
「ミカ・・・俺は・・・」
「団長・・・僕、団長のことが、」
イシスが、ミカエラの頬に手を添えて、顔を近付ける。
「はい駄目、」
「いてっ!」
イシスにデコピンをされた。
「全然駄目、演技がスカスカ過ぎる。んな演技じゃ団長レベルの真面目男は落とせねえよ」
「うーん、やっぱ駄目か・・・」
ミカエラは、やはり地道に弱味を探すか、と椅子を片づけた。
後ろで、イシスの耳がほんのり赤くなっていることには気付かず。




