団長による手当て
皆んなで医院に入り、
各自手当てを受ける。
幸い、皆そこそこ腕が立つ者達ばかりだったからか、
団長の加勢のおかげもあって、皆軽傷で済んだ。
皆が手当てを受ける間、私は廊下で待ってると、
「マグノリア、治療は受けたのか?」
「団長、私は大丈夫ですよ、」
「・・・足をみせろ。」
ギクッ。
団長に命令され、観念した私は椅子に座る。
ズボンの裾をまくられると、ふくらはぎに若干赤味がある。
「魔獣に吹っ飛ばされた時に、木に足ぶつけたろ」
「・・・気づいてたんですね」
本当、人をよく見てる人だ。
医師の診察を受けた時には、治療受けるほどでもないと断ったし、
私は、別に大した怪我じゃないからと医務室いくのを遠慮したが、団長に抱え上げられ医務室に連行された。
「・・・軽っ」と、団長が呟いた。
「お前、ちゃんと食べているのか?」
「食べてますよ、前は一日2食でしたが、騎士団に入ってからは一日3食になりましたし。」
「・・・もっとよく食え、」
イシスにも言われたことを、団長も言うのか。
今は医師も看護師も、人手が手一杯なため、
団長が手当てをしてくれることになった。
団長が、私の足を持ち上げ、隅々まで確認する。
「これくらい何ともないですよ、大げさですよ、あはは、」
それに、自分が駄目になっても、代わりの駒を組織が用意する。
だからだろうか、自分の多少の怪我は、
正直なところ、どうでも良いという部分もある。
そんな投げやりな態度が、ギルロイドに伝わったのか、
「・・・ミカ、お前は、もっと自分を大事にしろ」
そう、真剣な顔でミカエラに言った。
まるで、ミカエラの自滅的な心情を読み取ったかのように。
そんなギルロイドに、ミカエラは固まってしまった。
「勇敢であることと、無謀であることは違うんだ。
お前は何のために騎士になったんだ」
何のために、騎士に。
理由などない。
(ただ、組織の命令で、騎士団に入っただけだ)
初日の団長との挨拶で、騎士を志望した理由は、適当にそれっぽいのを考えたやつを言っただけだし。
(『僕が騎士を志した理由は、昔、騎士の方に助けられて、騎士に憧れたからです』)と、何となく思いついたのを理由にしただけ。
「昔、助けてくれた騎士に憧れたんだろう?」
私の志望動機を覚えているのか。
新入りの騎士は数十人居るし、初日の挨拶はもう1ヶ月前のことだ。
なのに、まだ覚えているのか。
(・・・人を、よく見ている人だな、本当)
ギルロイドは、ミカの足を見て、傷痕がずいぶん多いことに気付いた。
「ずいぶん、傷痕が多いな。」
相変わらず顔は怖いのに、痛ましく思うような表情。
「あー、それは、イシスと昔からヤンチャしてて、それで、あはは、お気になさらず」
「気にさせてくれ、俺はお前の上司でもあるんだから」
そう言った団長に、真っ直ぐな目で見つめられ、言葉に詰まった。
「・・・・・・」
(今まで言い寄ってきた男は、私の傷だらけの手足に気づくと、「綺麗じゃない」と言って、
つまんなそうに去っていったんだがな)
けれど、ギルロイド・スカーレッドという人は、
心配するのだ。
(まあ、私が男だと思ってるからか。私は団長からしたらヒョロいし)
ギルロイドによる手当てが終わり、
医務室を出ると、イシス達が待っていた。
(ーー団長相手だと、・・・何か、調子が狂うなあ)
私は、一応、貴方の命を狙う刺客でもあるんですがね。
夜、部屋にて。
私が髪を乾かしていると、イシスが
「ミカは、王族が嫌いなのに、団長のことは嫌いじゃないのか?」
「へ?あー・・・まあ、団長も王族ではあるけど、
団長ってそこまで王族の権力振りかざすタイプじゃないし、別に嫌いじゃないかも」
「へえ・・・、ずいぶん、団長を好意的に見てんだな」
「別に、そんなんじゃないよ」
「なら良いが、あまり情に絆されるなよ。」
「わかってるよ」
ふと、窓の外から声が聞こえてきて、
見てみると、
「フン!フン!フン!」
中庭で、半裸のオーガスタスが、木剣の素振りをしていた。
「・・・夜に何してんだよオーガスタス、、」
「おお!ミカ!剣の稽古だ!ミカも一緒にどうだ?」
「遠慮しとく、」




