野外訓練〜チームで魔獣を捕獲せよ!〜
「それでは、今から野外訓練を行う!!」
副団長の掛け声と共に、騎士団にピシリと緊張が走る。
今日は私達は、王都にある森に、野外訓練を兼ねた魔獣の捕獲に来ている。
王都の森は、隣国の魔獣の生息域である魔獣の森と繋がっていて、たまに魔獣が現れるのだ。
魔獣への対処も騎士団の仕事であるため、
今日は魔獣に対処するための訓練だ。
団長や副団長、ベテラン騎士達が監督しながら、
3人一組に分かれて、チームで魔獣を捕獲する。
魔獣といっても、新入りの騎士達が捕獲出来る危険度が低い魔獣だ。
私は、イシスとオーガスタスとチームだ。
ふと、ピリピリとした視線を感じ、見ると、
ザガード・アッガスが、こちらを見ていた。
(あの成り金野郎も居たのか)
アッガスは、あれから、
騎士団でオーガスタスとすれ違う度に、アッガスは睨みつけてきていたが、手を出してくることはなかった。
「相変わらず熱い視線を向けてくるなぁアイツ、」
イシスも気付いていたようだ。
「直接手は出してこないのに視線だけ寄越してくるのもウザいよね、手出してきたらコテンパンに出来るからスッキリするのに」
私の言葉にイシスがウンウンと頷いて、
それを見たオーガスタスが「コテンパンにはしなくても良いぞ、、」と少し引いていた。
私達は、指示された場所に向かった。
指示された場所に向かう途中、オーガスタスの横をザガードが通っていった。
何か、かすかに香りがした。
(アイツ、こっちの方の区域担当だっけ?)
ザガードの様子が何だかおかしい気がするが、
気を取り直して自分達のエリアへ向かう。
私達の担当する魔獣は、巨大なウサギに角が生えたような見た目の魔獣だ。
私とイシスは、組織の依頼をこなす中で、魔獣を捕まえたり仕留めたことはある。
だから、今回の依頼は容易だと思っている。
森に入り、指定された区域に入ると、
魔獣の足跡が発見出来た。
「今回のターゲットの魔獣だな。」
「ああ、足跡の形からしてそうだな」
「2人共冷静だな、緊張しないのか?」
「今回のターゲットは危険度が低い魔獣だから、大丈夫だと思ってるさ。オーガスタスは魔獣に関わった経験は?」
「俺はまだ無いんだ。だから、緊張している」
「大丈夫だよ、俺達と一緒ならな、」
「・・・ああ、そうだな」
緊張でこわばっていたオーガスタスの表情が少し和らいだ。
(・・・?)
まただ、何かかすかに匂いがする。
先ほどよりも強くなった匂い。
森の中を歩き続け、魔獣の痕跡を追う。
「2人共、魔獣の爪の痕だろうかこれは」
オーガスタスが、木についた大きな爪痕を指差す。
「お、これそうだな、」
「まだ新しい足跡もある。近いかもな」
すると、パキリ、と枝を踏む音が聞こえた。
3人で一斉に構える。
茂みの奥に、巨大な角ウサギ魔獣が居た。
フーフー、と、赤く光る目で鼻息荒くこちらを見ている。
「あれが角ウサギ魔獣だな。」
「・・・何か、やけに気が立ってないか?」
「ああ、あの魔獣、様子が変だ」
すると、角ウサギ魔獣が、地面を蹴り、オーガスタスの方向へと飛んだ。
「オーガスタス!!」
イシスがオーガスタスを突き飛ばす。
魔獣が、オーガスタスが居た場所にドン!!と着地する。
突き飛ばされたオーガスタスは、突然の事態が飲み込めずに、地面に倒れたままポカーンとしている。
魔獣が、再びオーガスタスを見る。
「オーガスタス避けろ!!」
私がオーガスタスに叫ぶと、オーガスタスはその場から走り出し、
魔獣がオーガスタスの方へ飛ぶ。
「イシス!!」
「ああ!!」
私とイシスは魔獣を止めるために、魔獣を両側から挟み込み、鎮静させる麻酔矢を放つ。
しかし枝木が邪魔して当たらない。
(この魔獣は、攻撃性が高くないはず、何故オーガスタスを追い掛ける?!)
オーガスタスが大木へと登る。
魔獣が大木に頭突きする。
私は魔獣の背中に飛び乗り、矢を突き立てる。
「ッ?!硬ッ?!」
魔獣の表皮は通常の動物よりは硬いが、
少なくともこの魔獣は突き立てた矢が刺さらないほど硬くはない。
すると、矢を突き立てられて怒った魔獣が顔を上げ、空に向かって「キイィィーーーー!!」と鳴き声を上げる。
「グッ!!」
両耳を塞いだ拍子に、魔獣が暴れ、私は魔獣から落ちた。
「ミカ!!」
イシスが私をキャッチしてくれた。
「サンキュー、イシス」
「ああ、しかし、様子がおかしいな。この魔獣」
魔獣が、大木の幹をガリガリとかいたり頭突きし、オーガスタスを執拗に狙う。
「ミカ!イシス!俺は救援信号を上げる!2人は逃げてくれ!」
「置いてけるかよ!」
私とイシスは、顔を見合わせ、「フーーッ」と気合いを入れる。
(仕留めるか、この魔獣)
2人共、鞘から剣を抜く。
2人は、騎士団では隠している殺気を放ち、
魔獣を両側から挟む。
(しかし、どうしてオーガスタスが狙われるんだ?)
何か理由があるのかと考えた瞬間、
ドドドド、と足音が響く。
足音のする方角を見ると、猛スピードで何か走ってくる。
巨大な角を持った鹿のような魔獣だ。それも複数頭。
「今度は鹿型?!」
事前の説明によると、
担当エリアには、一区域につき1頭の魔獣しか居ないはずだ。
(何かおかしい、、、ん?)
魔獣達が走ってきた方角に、人影が見えた。
「イシス、誰かいる、」
監督の騎士なら私達を助けるはずだ。
なら、あの人影は。
オーガスタスが救援信号を上げた。
私は素早く移動し、人影の元へ瞬く間に走り着く。
獲物を見定めた狩猟動物のような俊敏で鋭利な雰囲気を放ち、いきなり現れたミカエラに、
人影が驚き跳ねた。




